Re:STYLING MONO #17 アメカジ不朽の定番ウェア「チャンピオン」

#17 チャンピオン


 綿花栽培は昔から米国の保護産業だった。その歴史は長く、最高の技術開発がその時代ごとの綿花に注がれてきた。したがって綿製品はアメリカのプライド、アメリカという国そのものを体現する文化ともいえる。Tシャツとスウェットというシンプルで着心地のいい綿製品は、20世紀最高の衣服文化を作り上げた。チャンピオンというブランドがその嚆矢であったことは誰もが知っている。

 チャンピオンといえばこのCマーク。チャンピオンの頭文字から取ったマークだが、たとえばスウェットの袖口に光るこのマークが、高い品質を表すアイコンとして知られる。チャンピオンとのコラボレーションを企画する他ブランドにとっては印籠のようなもの。

コレクター垂涎のチャンピオンの伝統を受け継ぐ名品。物語はまだまだ続く


 Tシャツ、ジーンズ、スニーカーといった70年代のファッション・アイコンの中に、間違いなく入ってくる『チャンピオン』のスウェット。60~70年代当時に青春時代を経験した人なら、映画や雑誌に掲載された大学キャンパスの風景の中で、必ずと言っていいほど目にした憧れの存在だったことだろう。

 ブランドの歴史は1919年に始まるが、襟部分の伸縮補強用V字ガゼットや2本針ステッチといった、後のスウェットシャツの定番となったディテールの製品が同社から発表されたのは1940年代。第二次世界大戦時は兵士の訓練用として採用され、その保温性の良さは高く評価されていた。同時期に大学などのアスリート向けに商品を提供していたことで人気となり、50年代にはカレッジスウェットの主流となる。アスレチックウエアとキャンパスウエアという、つまりスポーツ学生と一般学生両方へのアイテムを提供して広く知られる存在となった。チャンピオンを語る上で欠かすことの出来ないリバースウィーブ製法は1934年、創業当時のメンバーであるサム・フリードランドが考案。驚くことに現在もこの製法は受け継がれており“不朽の定番”の名をほしいままにしている。

 1970年には女性ラインも追加され、あらゆる人が気持ちよく着用できる、本当の意味でのユニバーサルデザインを体現したウエアになった。その価値観は21世紀のいまも変わらない。

『ウールカーディガン』/チャンピオンの創業地ロチェスターの名を冠したクラフトマンシップ溢れるシリーズ。
現在、ヴィンテージ市場でも希少価値の高いチャンピオンのウールカーディガン。同シリーズには他にスナップジャケット、メルトンジップフーデッドジャケットなどがラインナップされている。要チェック!

ヴィンテージコレクター注目のランナーズタタキタグを採用。そもそもこのランナーズのアイコンは1940年代の製品に、すでに使われていた同社の最も古いタグデザインのひとつ。

Cマークだけではなく、このアイテムにはサガラ刺繍ワッペン、インディアンモチーフのフェルト刺繍ワッペンが配されている。全体のカラーバランスが絶妙。


『リバースウィーブ ジップフーデッドスウェットシャツ』/カラーはネイビーとオックスフォードグレー。70年代のアメリカのカレッジ・キャンパスを彷彿させるデザインと存在感。

コレクターの間では常に人気の的である赤単タグを採用。リバースウィーブの70年代製に付けられていたこの赤タグはチャンピオン愛好家ならば必ず手に入れたくなる、キラー・アイテム。

チャンピオンとの深い関わりがあった名門校UCLAのグラフィックは背中にも。バックプリントは、USメイドのジップフーデッドスウェットシャツでは初めての試みである。

ジャンパーなどと同じように、フロント全体をジップアップにさせたスタイルは、着脱の容易さとTシャツなどとの組み合わせで新しいコーディネートを可能にした。

ハンドウォーマーを備えたシャツ、という点ではこれも当時から画期的なアイデアだった。洗いざらしのパーカーのポケットに両手を突っ込んでキャンパスを歩く姿はまさに70年代のスタイルそのもの。

チャンピオンといえばこのリバースウィーブ製法。サム・フリードランドによって1934年に考案された画期的な製法で、従来の縦織りの身生地を横向きに変えて、洗濯などによる縮みを解消した。

21世紀のチャンピオンは洗練されたアメカジを展開


アメカジの定番であるチャンピオンの新しい表現力を、いまの時代の感覚で捉える面白さに注目したい。ただ、スタイルの新しさだけではなく基本的なチャンピオンクオリティはよりいっそう高められている。この安心感こそがブランド力だ。

『PEANUTS AWARDJACKET』USA製のボディにピーナッツのサガラワッペンや刺繍を施したスペシャルな一着。PEANUTS ⓒ UnitedFeature Syndicate,Inc.


父親である創業者サイモン・フェインブルームから社業を受け継いだエイブ&ウィリアム・フェインブルーム兄弟。

建物写真はニューヨーク州ロチェスターに構えられた創業当時の本社ビル(ロチェスター大学の女子寮だった建物をオフィスに改築した)。

『WINDSTOPPER® RW ZIP HOODED SWEAT』GORE社のWINDSTOPPER®を使用したリバースウィーブ製法のスウェットパーカ。耐風性がアップされ、着用可能な季節を伸ばした。ショップ限定商品の証はフロント部分にプリントされた「ARMY」の文字。WINDSTOPPER®,GORE®はW.L.Gore & Associatesの商品です

『REVERSE WEAVE PULLOVER HOODED SWEAT』70年代のチャンピオンのアイテムをその当時のままに復刻した、EXPANSIONライン。定番のネイビーのプルオーバーは着回しの利くアイテム。

『REVERSE WEAVE CREWNECK SWEAT』こちらも70年代のヴィンテージ感に満ち溢れたEXPANSION(復刻)ラインのアイテム。グリーンのクルーネックタイプのスウェットは、定番中の定番としての存在感。

『MICKEY PULLOVER RAGLAN SWEAT』クラシカルなラグラン袖のフード付きパーカ。1950年代に使用されていたランナーズタグのロチェスターラインで“立ちミッキー”のプリントと、ストーンウォッシュ加工のヴィンテージ感がたまらない魅力。ⓒDISNEY

『IVY DUFFLE JACKET』裏起毛の定番スウェット素材をベースにしたダッフルジャケット。スウェットをアッパーにコーディネートできる斬新なデザインが楽しめそう。

『WINDSTOPPER® RW HOODED PULLOVER』右上のフードパーカーと同じく、WINDSTOPPER®採用のモデル。こちらは襟元の2つのスナップボタンが風の侵入を防ぎ、インナーとの組み合わせが遊べそうなデザイン。同じくショップ限定モデル。


初出:ワールドフォトプレス発行『モノ・マガジン』2011年10月2日号


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●#13 歴史的な衣料品としての道を歩み始めたアロハシャツ

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土居輝彦(teruhiko doi)
  • 1982年より㈱ワールドフォトプレス社の雑誌monoマガジン編集部へ。 1984年より同誌編集長。 2004年より同社編集局長。 2017年より同誌編集ディレクター。 その間、数々の雑誌を創刊。 FM cocolo「Today’s View 大人のトレンド情報」、執筆・講演活動、大学講師、各自治体のアドバイザー、デザインコンペティション審査委員などを現在兼任中。