

世界的にも高い評価を得て大人気継続中の緻密精巧な日本のミニチュアトイだが、今回、『モノ・マガジン』のプロデュース企画でエンジニアブーツの世界最高峰であるウエスコ・BOSSのミニチュアトイ化が実現。味わい豊かな革の表情や特徴的なディテールの忠実再現は圧巻だ。いま“BOSS”なワケを4回に分けて徹底紹介!
写真/藪崎 大(WPP) 文/下川冬樹
ウエスコ・BOSSが世界最高峰たる所以がココに!
ゴツい無骨なスタイリングに、あらゆるハードワークに耐えうるタフボディ。エンジニアブーツは男心を擽ぐる永遠の憧れアイテムのひとつだが、その最高峰に君臨しているのが、アメリカの老舗ブーツブランド・ウエスコのアイコン的モデルであるBOSSだ。そんな世界の傑作品が今回、『モノ・マガジン』のプロデュース企画でミニチュアトイになってリリースされる。しかも、ディテールの隅々までBOSSの真髄を忠実に表現。ブーツファンにとってはザワザワがとまらない状況なのだが、まずはウエスコとBOSSについて簡単に紹介しておきたい。
アメリカ・オレゴン州で1918年に設立されたウエスコは大量生産に舵を切ることなく、ブーツの品質を最優先するという創業以来のモノづくり哲学を貫いていることで知られる。現在も創業の地と同じ場所にある自社工場では徹底した品質管理のもと、裁断から縫製、ソールの取り付けまで昔ながらのハンドクラフトによる155もの工程を実施。ブーツ一足一足に真摯に向き合い、丁寧につくりあげている。なかでもウエスコが創業当時から頑なに守り続けているのがステッチダウン製法だ。
2枚の革で構成されるブーツのつま先部分に型崩れを防ぐトゥキャップを挟み入れ、その内側の革はインソールに吊り込まれる仕組みになっている。外側の革はミッドソールに沿ってそのまま引っ張り出され、アッパーレザー、ミッドソーツ、さらにはビムラム社製のラバーソールを直接縫い合わせていく。この製法によってソール剥がれの耐久性や、高い機密性をキープすることで防水性を向上させている。実際にBOSSを履いてみると、無骨な外見からは想像できない履き心地の良さだが、シンプルな構造ゆえに余計なパーツを必要とせず、足馴染みのよいフィッティングを実現しているというわけだ。加えて、一足からのカスタムオーダーも可能。BOSSを筆頭に主要16モデルでレザーカラーやハイト高、トゥ、シャフト、ソール、ライニング、ストラップ、ステッチなど多彩なカスタムパーツを用意し、ユーザーにとっての最適な一足を提供している。
渾身のブーツづくりを続けるウエスコがエンジニアブーツの製造をスタートしたのは、第二次世界大戦がはじまった1939年。ポートランドで建造された船舶の溶接作業員用に特別に設計したのがきっかけで、その安全性の高さから船の荷積みを行う労働者にも愛用された。戦後もハードワーカーたちが愛用し続けた結果、エンジニアブーツが大流行。その後、ウエスコの無骨で堅牢なつくりはバイク乗りたちの熱狂的な支持を集め、1990年代にBOSSのモデル名に改名された。
今回はそんな濃密な歴史を持つウエスコ・BOSSがミニチュアトイ化された。詳細はPart2で。