
2025年9月17日現在、最新号は967号。昭和から令和へと続く『モノ・マガジン』です。あと33号だせば、なんと1000号。目指せ1000号!!! ってなワケで、昭和57年に発行した創刊号から1号ずつ順繰りに見直していこうというこの企画。1000号が出るまでに終わってるのか、どうなんでしょうか。
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ハイ、これが16号の表紙です。この号では特集「サバイバルグッズ HOW TO LIVE」に掲載している、サバイバルグッズをずらり並べてます。あとで紹介しますけど、実に力の入った特集になってますんで、お楽しみに。
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表紙をめくって最初の広告は、マツダのカペラ。どーんと写っているのは、世紀の二枚目、アラン・ドロン(Alain Delon)さんですね。ちょうど顔の真ん中にノド(本の中央の綴じ目)がきちゃって、ドロンさんのファンの方たちは何とも残念な気持ちになったんじゃないかと思われます。
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続いての広告は、カゴメのrivella(リベラ)です。このリベラというのは乳清から作った炭酸飲料で、スイスの国民的な飲料のようです。左上に白フチのついた文字で「スイスは、明日へのアドバイスだ。」とあるのはそういうことなんですね。写真もスイスのようだし、牛も写ってますよ。現在、日本では取り扱いがないようで、スイスに行ったときはぜひ飲んでみたいですね。
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目次です。右のページは、服部セイコー(現・セイコー)の「フィールドマスター」の広告です。いきなり左に大きな字で「気がつきませんでした。」とあるんですが、いったい何に気が付かなかったんでしょうか。文字の配置が凝っていて、通して読むと以下のようになります。
「何故防水のマップメーターが
なかったのでしょう。
山の豪雨を知らないのですか」
気がつきませんでした。
(で、こうした。)マップメーターにも、防水(3気圧)を施した。雨中で道に迷っても、地図がチェックできる。また、歩きながらでも見られるよう、磁石はドライタイプにした。 デジタル時計は、アラーム付き。リューズ操作で素早く時間をセットできる。そして、夜光付きのアナログ(針式)時計(言うまでもなく高精度クオーツを内蔵)。変化する情況にあわせ、入手する情報を4つのパーツから選択できる。これが、コンポウオッチの強味だ。フィールドマスター。全てのパーツにアウトドアズマンの声が生きている。
広告の中にもいろいろと読ませるアイデアがつまってたんですね。
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で、今号も記事の初っ端は「LINE・・UP」。13ページで12アイテムを紹介してます。今回のラインナップは、
★世界中どこにいてもメッカの位置がわかるメッカ時計
★血中アルコール濃度を判定する飲酒運転テスター!
★特殊合金使用のタルボは未来を開く新素材ギターだ
★現代版の “てるてるぼうず” は今日の天気を予報する
★デンマーク生まれのレコードプレーヤー・Beogram
★TVが無くてもTVゲームができるバンダイ光速船
★居眠り事故はこれでおしまい! ドライブアラート
★お金も免許も無いアナタだってアメ車が持てる・・・?
★描いて塗って誰にでも創れる手軽なステンドグラス
★コンピュータギャル “GILL” は人工知能の恋人!
★大航海は男のロマン・・・月齢表示付き時計クルージング
★パラシュート射出装置付きライトプレーン国内発売
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続きまして、この左のページなんですがいわゆる自社広(自社広告)です。業界では自社広告と言わずに「告」だけ略して自社広と言うんですよ。それはさておき、『MR McCOY(ミスター・マッコイ)』という雑誌を創刊するんですね。どんな内容だったんでしょうか。とりあえずタイトル下にある文字を拾っときます。
◎「LIVE TALK」情報が生きているマッコイのドライバーズ通信
◎いざというとき役立つ人と車のファーストエイド
◎聖徳太子1枚でまかなえる東京発デート・ドライブ・コース
◎マッコイのボーイズレーサー研究 BOYS BE SPARTAN
◎女性ドライバー100人の自己採点
コンセプトは「車・生活マガジン」のようです。で、途中に「聖徳太子」とあるのは当時の1万円札のことなんです。発行開始が昭和33年12月1日で、支払停止が昭和61年。昭和の人ならすぐにわかるんですが、そうじゃない方のために、念のためになんですけど説明した次第です。
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「OVERSEAS NEW-PRODUCTS NEWS」で、ちょこっとだけ気になった記事は「あなたの胸で暖めてほしい」ですね。「そんなにしてまで走りたいか、と笑う者は笑えばよろし。霜降る冬の夜にだって、アメリカの熟年オジさんは走らねばならないのだ。冬の朝のジョギングは、肺に冷たい空気が飛びこんできて、冷凍人間速成法みたいなものだ。といって、冬の間ランニングをさぼるのは良心が痛む。ランニングひとつ続けられずに、どうして社長への道が開けるというのか。(改行)そこでこういう仕掛けを考えた人がいる。軽いプラスチック製の薄型タンクを、胸に巻きつけて走るのだ。自分の体温であたたまった空気を、マウスピースから吸う。バッテリーもソーラー・セルも不要の、人間ヒーターだ。戦前生まれのオジさんには、こういう安あがり製品はとても嬉しい。」。ホントに役に立ったのか、ちょっと首を傾げたくなるところもありますが、こういうアナログなアイデアはとても人間的で素敵だと思います。
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「WAKU WAKU WORLD ビックリするような珍発明」からは、「ボクの死に体を見て見て見て!!」という珍妙な記事です。「出たよ出た出た、ついに出ました! 現代文明のゆきつくところ、これぞ正真正銘のプラスチック製洋式棺。もっとも、中で死に体を演じているのは、カリフォルニアはバークレーの芸術家リチャード・クラインなる御仁。これでもご当人は大真面目で、“死の美学” を追求した結果、とつじょひらめいたのがこの作品とか。(改行)ところが毎回、クラインの作品を展示してくれるサンフランシスコ美術館もこればっかりは傑作と認められずと展示を拒絶。それではってんでクライン氏、同芸術館正面の路上で展示に及んだというわけ。この恰好でねばりにねばって6時間、ついに取材されてパブリシティに成功と大喜びとか。大した芸術家ですな」ということ。う〜ん、芸術って難しいなぁ。
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「PEOPLE & SHOP」では、渋谷にあったビデオソフト専門店「ICBMビデオランド」さんを4ページで紹介。それにしても「ICBM」ってスゴイ店名ですね。アメリカの輸入ビデオやレーザーディスクが合わせて3000種以上揃ってたということで、「品揃えが大陸間弾道ミサイル級!」みたいなことだっったのかどうかは、今となってはわかりません。ふたつ目の見開きの両脇に縦3分の1広告が入ってるとこもいいですね。
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「My Novelty」の第6回。この「6」にかけてクローズアップしたのは「東京6大学」です。東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学、明治大学、立教大学、法政大学、それぞれの大学生協で販売されていたグッズを紹介してます。
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「FACTORY REPORT」でレポートしているのはサントリーの「山梨ワイナリー(現・登美の丘ワイナリー)」。カラー4ページで構成してます。
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そして、この号の特集「サバイバルグッズ HOW TO LIVE」。初っ端にみんな大好きだった『ランボー』の写真です。まずカラー20ページでシチュエーションごとに、サバイバルギアを紹介してます。
ACT.1 アクシデントで、閉じ込められた。脱出しなければ、死を待つしかない。
ACT.2 アクシデントの現場から脱出したら、ファーストエイドキットで傷の手当て
ACT.3 安全地帯まで歩き着くには、はき心地のよい靴を選ぶことが第一である。
ACT.4 1日、950ccの飲料水を、アイデアものの浄水器で確保する
ACT.5 湯、食、暖の3要素を欲しければ、自らの手で火を起こす以外に方法はない
ACT.6 非常用とは思えない豪華なフリーズドライフーズでサバイバル
ACT.7 体のコンディションを保つためには、効果的な睡眠をとることが大切だ
ACT.8 絶対必要なサバイバル・グッズがコンパクトにまとまったA&Fキット
ACT.9 スポーツウェアを科学する “フェニックス” がパリダカのラリーウェアに挑戦
で、モノクロになって、A&F創業者の赤津孝夫さんとTeam ACPを立ち上げた横田紀一郎さんによる「サバイバルトーク 男達の生き残り術」を5ページ。続いて無人島で野宿する「慎之介の実録サバイバル・レポート 現代人はどこまで孤独に耐えられるか!?」を4ページ、「兵隊さんに学ぶサバイバルテクニック」を2ページ、「サバイバルに使えるサープラスカタログ」を2ページ、最後に「和風防災グッズカタログ」を4ページ。カラーとモノクロあわせて37ページという、かなり力の入った特集でした。このあと、1986年には弊社から『サバイバル・マガジン』が創刊されてます。




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最後に紹介するのは、モノクロ12ページの「愉快痛快摩訶不思議 だまされるよりだましたい 手品入門」。リードは「手品の謎を謎として満喫できる人は、心にゆとりある人だという。確かに、目の前でわけのわからないことが起きた場合、理由が知りたくなるのは当然なのだが、まずはその鮮やかさに酔いしれるだけの器量かなければ、手品はただのだまし合いになってしまう。科学が宗教にとってかわってからというもの、非科学的なものは次々に排除され、神秘は白日のもとに色あせて行った。手品のもつミステリーも印象がうすくなって来ている。しかし、非現実的な出来事が、ほんの目の前で、コツ然と行なわれる手品の世界は、誰もが大好きなはずだ。タネ明かしではなく謎を謎として、手品を見つめ直してみよう。」。ということで、イラストを使ってえんえん手品グッズを紹介してます。
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では、次回の昭和58年11月(17号)をお楽しみに!