monoという名のタイムマシン 43年前に創刊、昭和58年8月のモノ・マガジン(14号)

2025年8月22日現在、最新号は965号。昭和から令和へと続く『モノ・マガジン』です。あと35号だせば、なんと1000号。目指せ1000号!!! ってなワケで、昭和57年に発行した創刊号から1号ずつ順繰りに見直していこうというこの企画。1000号が出るまでに終わってるのか、どうなんでしょうか。
ちなみに昭和58年(1983年)8月の出来事はというと・・・
◎ フィリピンのベニグノ・アキノ元上院議員が暗殺される
です。

※画像はクリックすると拡大表示されます。

ハイ、これが14号の表紙です。この毒々しい色のパスタみたいなモノは一体なんなんでしょうか? 「LINE・・UP」で紹介している、ヴァーネル社製「レッド・レース」。ヒモ型キャンディですね。原稿には材料の一部が書かれていて「コーン・シロップ、小麦粉、ココナッツ・オイル、クエン酸、人工香料、ヴィネガー、人工着色料・・・」とあるんですが、肝心の味についてが書かれていない。誰も食べなかったのかな。食べたいとは思わないけど、どんな味なのかは知りたいような・・・。

■ ■ ■

表紙をめくって最初の広告は、3号続けて「KAGOME朝市」。今回は、メインの絵柄がほうれん草です。鉄分が豊富ってことで、隣に鉄アレイが描かれてます。

■ ■ ■

続いてELEHOBBYの「MOVIT サーキュラ」の広告です。キャッチに「トロン感覚のムービット」ってあるんですが、1982年公開のSF映画「トロン」のことですね。シド・ミードやメビウスがコンセプトデザインに参加してるっていうんで、40年以上前に観に行きましたけど、主人公がコンピュータの中に送り込まれてしまって、どうにかする話だったような気がします。そんな昔のこと、覚えてられませんよ。2010年には「トロン:レガシー」、そして今年、2025年には「トロン:アレス」(10月10日、日米同時公開)と、続編が2本も作られてるんですね。人気があるんですかね。思い返してみると、味わい深さもあったような気がしてきました。「トロン」一作目、見直したいなぁ。

■ ■ ■

次も広告です。富士写真フイルム(現・富士フイルム)のカセットテープ「GT-I」です。「世界初、熱に強いカーステレオ専用カセット 新発売。」だそうです。そうなんですよ、熱でテープがびろびろに伸びちゃったなんてことがよくあったんですよ。今の人が聞いても、「何の話?」って具合になりそうですけど。キャッチコピーは「地獄で、グッドサウンド。」。シビれますね。

■ ■ ■

目次です。右のページは、立川ブラインド工業の広告です。天地を90度傾けてるところが、当時としては新しかったんじゃないでしょうか。キャッチが凝ってますね。上に「彼氏は美しい風景を見るために、シルキーカーテンを買った。」。そして下には「彼女は美しい生活を守るために、シルキーカーテンを買った。」。うーん、80年代ですね。

■ ■ ■

で、今号も記事の初っ端は「LINE・・UP」。13ページで12アイテムを紹介してます。今回のラインナップは、

★1万2000ボルトのセルフディフェンス・ウエポン上陸
★こんな便利なファーストエイドキットが欲しかった
★マクロス・ファン必携のゼントラーディ語スタンプ
★カラーフイルムも遂にASA1000の世界に到達した
★今年のマリンスポーツの主役はこの水中モーターだ
★これがアメリカ人の発想です。レッドレースキャンディ
★空の男達の熱い興奮 “ノーズアート” をキミの部屋に
★ブラウン管を使わない世界初の液晶カラーTV登場
★バイオテクノロジーが産んだスーパーテニスラケット
★あのスプリンターが1600ccツインカム搭載車に変身
★キーの閉じ込みにもサヨウナラ・・・ミニ・スペアキー
★プレイ要素が満載!東芝の「パソピア7」に注目せよ

■ ■ ■

続きましてシチズン時計の夏向きのウオッチを4ページで紹介してます。「プロ用ダイバーの血筋『スポルテダイバー』」のベルトに付いた減圧表がカッコいいです。

■ ■ ■

「世界のデザイン」で紹介されているのは、GKインダストリアルデザイン。タイトルに「世界の」とあるんですが、日本のデザイン研究所の登場です。この辺りから日本発の世界に誇るモノが、どんどん増えていったんですね。

■ ■ ■

「OVERSEAS NEW-PRODUCTS NEWS」で気になった記事は「こう言ってしまっては身もフタもないのだが、これが何のためにある機械なのか、ほとんどわからないのである。」という一文から始まる「太陽光線の量を測る。記録もできるTR224」。記事の続きはといいますと、「何をはかるかというと、太陽光線の量をはかり、自動的に記録もできる。一般的には、ソーラーセルを使う際に、光線量や強さを計測する。あるいはもっと科学的専門分野で、太陽の観測に使用する。(改行)がっちりしていて、雨にも強く、熱にも耐えられるしっかりもののメーター。温室を利用している促成農業家にも、使えそうだ。恋人が〈サンシャイン〉みたいな熱い光線を放出している人にも、いいかな?(改行)ま、ようするに使い方がイマイチわからないのである。シリコンと水銀を使用した測定計なのだ、ということは自信を持っておすすめできる。(改行)同封のパンフレットにはいろいろと数式やグラフ、表みたいなのが付いていて、不可解な感じをいっそうかき立ててくれる。BTU ft-2.271.02×10-3だそうだ。I radiant =57.3° なのだ。すごいだろう。」とのこと。本当に読んでもわかりませんでした。

■ ■ ■

「WAKU WAKU WORLD ビックリするような珍発明」からは、「これちょっといいんじゃない」と思った椅子の記事です。見出しは「ぐるりと回って1,2,3,4」。内容は「『ややっ、いかす、いかすぞよ!』だなんて、おたくなんに見とれてるの? こちとらが見ていただきたいのはチェアーのほう。イタリア製で、いまやヨーロッパ中の一流家具店に出回っている人気商品。アメリカでもニューヨークでは、ライブラリー・チェアーとして売られている。ご覧のように背を倒すと、あーら不思議(でもないけど、ともかく)4段のステップに早変わり。これを講して “ステップアップ・チェアー” という。お値段は$395プラス税金、だいたい10万円前後といったところ。これ東京のデパートにきたら、まんず¥300,000の値札をつけられるだろうね。それでも『安い!』なんてのがいるから怖いよね日本人は。高けりゃいいってもんじゃないなんていいながら、高いもん買うからね。GNPが増えるわけだよ。写真の美女は、ブルックリンに住むマリア・モンテーロ嬢。」。美女も気になりますが、ステップに早変わりするイス、いいんじゃないでしょうか。

■ ■ ■

「PEOPLE & SHOP」では、2024年に蔵前に移転された「ガラクタ貿易」さんを4ページで紹介してます。リードは「フラッと出かけたアメリカに、何と7年間も居ついてしまった青年が、突然日本に帰ってきた。そしてはじめたのがガラクタ貿易。あのころボクらの欲しかった本場のブーツ、使いこんだ皮ジャン、安いTシャツ―――この店だけが売っていた。」。小見出しを順に拾っていくと「LAの匂いがする店の中からゴキゲンなDJが聞こえてきた」、「ガソリンスタンドって美しい これ、ガラクタ貿易風の発想」、「糸を切るなんてヤボ! といわれるアメリカ製Tシャツ」、「楽しんで金儲けがしたい そしたらこの店ができた」。当時の人たちが本当にワクワクしながらこの店に通っていた様子が伝わってくるようです。

■ ■ ■

「My Novelty」の第4回は、アメリカはテネシー州に本社を置く「ジャックダニエル」のノベルティを紹介してます。ウイスキーメーカーが作るノベルティだけあって、実にオトナな感じのアイテムが揃ってますね。

■ ■ ■

「SUPER・GOODS これが米国通販(アメリカン メール オーダー)のスーパーグッズだ! ニーマンマーカスX’マスカタログの世界」は、実に目を惹くまさにスーパーグッズのオンパレード。「高度消費社会を主導してきたアメリカでもニーマン・マーカスのD/Mや通販カタログのメイリング・リストに載るくらいでないと『消費者は王様』の “王様” の部類には入らない。もっとも、ニーマン・マーカスが、“王様” と考えているのは同社のクリスマス・カタログの配布対象となる約150万人だけ。ただし選はれるには、飛行船や成牛1頭まるごと又は以下紹介のスーパーグッズを気軽にメールオーダーできる財力が必要なのだ」とリードにある通り、ラインナップされているのは、ミニサブマリン、ジェット推進グライダー、純銀製鉄道模型、水陸両用スポーツ車、純血種のバッファロー(生きてるやつですよ)、飛行船、家事ロボットなどなど。

■ ■ ■

そして、カラー14ページでお送りするのが、今号の特集「’83夏、男のサングラスカタログ 似合う人も、似合わぬ人も、ブランドもので構成した9つの絵物語をごらんあれ。」です。サングラスをずらっと並べて撮った9枚の写真で構成してるってことなんですけど、この撮影、ホントに大変だったと思いますよ。今みたいにフォトショも無いから、カメラマンも大変、印刷所も大変、今よりもずーっと大変な時代でした。

■ ■ ■

最後に紹介するのは、モノクロ13ページの「贋物学入門」。扉には1億円札。贋物を使っていかがわしいことをしようというワケじゃないんです。「はっきり言ってニセモノという言葉から連想するイメージは “偽造品” の印象が強い。粗悪品、詐欺、安物買いの銭失いと暗い言葉が次々と浮かんでくる。だけど本当にそれだけなのだろうか。少し視野を広げ、明るく見まわせば、ニセモノも又楽し。今回は “ニセ” のレッテルの裏側をいろんな角度からのぞいてみよう。」という目論見であります。

■ ■ ■

では、次回の昭和58年9月(15号)をお楽しみに!

関連記事一覧