より速く、より大空の彼方へ。人間は昔から大空の向こうに憧れていた。しかし、空を飛ぶということを、鳥の羽ばたきに注力して研究してきたために、なかなか実現しなかった。1903年12月17日、ライト兄弟がはじめて翼を持った航空機に乗り、初飛行に成功した。初回の飛行時間は12秒、飛行距離は36.5メートルだった。そこから風と翼の戦いが始まりついには宇宙に飛び出す速度を獲得した。スピードに魅せられた人間は、テクノロジーを進歩させてより速く、遠くへと限界を押し上げてきた。その過程を伝えてくれる数々の道具が残されてきた。それらは高く、速く、遠くへ飛びたいと希求してきた夢の航跡そのものなのである。
構成/ワールド・ムック編集部 写真/NASA, WPP Archives, USAF, US Army, US NAVY, Imperial War Museum, Smithsonian Institution, US Air Force Museum, Kesaharu Imai, PHOTOGRAPHY COLLECTION, HARRY RANSOM HUMANITIES RESEARCH CENTER, THE UNIVERSITY OF TEXAS AT AUSTIN
オクターブ・シャヌートのトリプルウイング・グライダーによる1902年の飛行実験。シャヌートは実験を重ねるなかで、翼を複数枚重ねれば揚力獲得につながると確信を得た。ライト兄弟の人類初の有人飛行前夜には、多くのグライダーの試験が重ねられていた。
NASAのスペースシャトルのリフトオフ時の姿を再現したデスクトップモデル。オビターは、自身の本体よりも巨大な赤い外部燃料タンクに背負われ、両脇に2基の固体燃料補助ロケットをしたがえている。これらが生み出すすべての推力が合わさって宇宙へと飛び立てるのだ。
工学技術が発展途上にあった1950年代、人はいかに高く、いかに速く前に進むかを希求していた。そこに流線型が、未来のかたちとして立ち現れた。チントイの旅客機の世界でも、流線型はあこがれのスタイルになっていた。その滑らかなかたちを造形したくて、ペイントを工夫し、リベットにいたるまで心を尽くし、工夫を凝らして未来を表現した。
NASAのジェミニ5号で使われたサバイバルミラー。海軍が使っているものと同一。
計算尺方式の米陸軍航空隊のD-4型航法用コンピュータ。
ロシアの宇宙飛行士が使用したスイスのオメガ製クロノグラフ、スピードマスター。
マーキュリー、ジェミニ、アポロそしてスペースシャトルとつづく宇宙計画を実施してきたNASAのロゴ入りケネディ宇宙センターのショットグラス。
米海軍空母CVN-68USSニミッツのデッキクルー用ジャージ。グリーンは整備クルー用。
アリソン、ロールスロイス共同開発によるTF41ターボファンエンジン。米空軍のLTV A-7Dに搭載された。
米空軍のインシグニアが入ったミニマグライト。
米陸軍のサバイバルキットに含まれるホイッスル。
ロシア民芸人形のマトリョーシカ。顔はどうやら軍人のよう。
旅客機搭乗員が機内で行なう飛行に最低限必要なチェックリスト項目を記したボード。
カナダ空軍のパイロットの制服。
米陸軍航空隊のタイプF-2フライングスーツ用GE製のヒーターが組みこまれた飛行ブーツのインナー。
NASAのアポロ17号で使用した工具類。すべて面ファスナー留めになっている。
NASAアポロ17号用のツールのひとつ、スクリュー。
NASAアポロ14号(1971・1・31~2・9)の記念メダル。乗組員はシェパード、ルーサ、ミッチェルの3宇宙飛行士。
NASAアポロ15号(1971・7・26~8・7)の記念メダル。着陸船ファルコンはハドリーアペニン山脈に降りた。司令船はエンデバー。
整備員のパーソナルアイテム。カウリングを開けるためのレンチ。
原子力エンジンのR-1(リアクター)とP-1(プロパルション)。
爆弾のシェルの下半分を利用した灰皿。かつてはあちこちの米軍基地に置かれていた。
ハミルトン製ポケットウオッチ。24時間表示で航空ナビゲーション用のマスターウオッチとして使われた。「ハック」の合図とともに腕時計の時間合わせにも使用。
ソ連の宇宙計画ソユーズに参加したアナトニー・ベレゾフォイ宇宙飛行士が着用した飛行服。
米ソ協同のソユーズに参加したソ連のタエペゾフ宇宙飛行士が着用した飛行服。
世界で最初に音速を突破したベルX-1のデスクトップモデル。グラマラス・グレニスとは、同機のテストパイロットだったイエーガーの妻の名前から。
飛行機の高度計を模した時計。
NASAがアポロ7号で使用したパイロット用サングラス。ナイロン製ケースの内側にはプラスチックのガード入り。
NASAアポロ8号で使われたサバイバル用ナイフ兼ノコギリ。マチェーテタイプ。
1926年12月18日、パノラマカメラの前でラテンアメリカに向かって飛び立とうとしているパンアメリカン航空機。
1926年1月20日、テキサス州サンアントニオ、ケリーフィールドにて。人でインシグニアを模した様子。
米海軍のロッキードXFV-1垂直離着陸戦闘機。ただし垂直離陸にまだ自信がなかったためエドワーズ空軍基地の滑走路を走って離陸。
米海軍空母CVN-65USSエンタープライズのパッチをつけたG-1フライトジャケット。パッチ内の赤い糸の刺繍が世界初の攻撃型原子力推進空母であることを誇示。
第二次大戦時代に米陸軍航空隊で使用したヘッドセット。
米陸軍航空隊の夏季用フライングスーツの生地とスタンプマーク。
米陸軍航空隊のレザー製手袋とキャップ。爆撃機クルーが着用した。
NASAアポロ12号の回収にあたった空母ホーネットのクルーから、ゴードン宇宙飛行士に贈られたキャップ。
NASAアポロ15号で使われていたジェネラル・ダイナミックス製2段スピードインターバル・タイマー。ステンレススチールでできている。
ロシアの宇宙飛行士が使用したロシアのポレオット製クロノグラフ。
第二次大戦時代の米陸海軍と英空海軍が教材として使用した飛行機の早見表。このチャートで飛行機の平面シルエットを覚えた。
パンナムのブルーグローブ・ロゴ。ホーロー製看板。
ジョンソン&ジョンソン製軍用のファースト・エイド・キット。
米陸軍航空隊のタイプB-8ゴーグル用のレンズ一式。コンバットシチュエーション別に使用するポラロイド製のセット。
米空軍ヘリパイロット用ヘルメット。
第一次大戦時代の英空軍が調達した腕時計。
NASAで研究開発を進めていた船外活動用スペーススーツEX1-A。
NASAで研究開発を進めていた船外活動用ハードスーツ。
NASAアポロ宇宙船の帰還カプセル。大気圏に再突入する際の摩擦熱で焼けこげ状態で帰還し、その後、空母に回収してもらう。
NASAスカイラブ2用のカセットテープキットについていたタグ。
米陸軍が1926年に新規導入したツーピース式の上着についていたブラス製のボタン。
第二次大戦中の米陸軍航空隊第487戦闘飛行隊のインシグニアパッチ。
第二次大戦中の米陸軍航空隊第399爆撃飛行隊のインシグニアパッチ。
ロシアの宇宙飛行士が使用したセコンダ製クロノグラフ。
ディズニーのテレビ番組をもとにつくられた4段ロケットのプラモデル。
NASAの宇宙飛行士用グローブ。
NASAのジェミニ計画で使用されたサバイバルスイッチ・ブレードナイフ。ボディはプラスチックで、ブレードはステンレススチール製。
ソ連のRD-301ロケットエンジン。
航空機のセンターコンソール。下の赤いレバーは燃料タンクを投棄するなど、緊急事態が発生した時に使用する。
飛行クルーが所持するサバイバルキットに入っているシグナルガン。
米海軍の空母のフライトデッキクルーのヘルメット用インナー。職務別に色分けされたジャージと同じ色のものを着用する。
NASAはジェミニ、アポロといった初期の宇宙計画ではオメガのスピードマスターを宇宙飛行士用の時計に採用した。そのスピードマスターの名を持つ代表的モデルは多種多様。
第二次大戦時代の米海軍のグラマンTBF/TBMアヴェンジャー雷撃機の機首、エンジン。
コダック製の偵察用カメラ。
米空軍のロッキード製SR-71。マッハ3で飛んだ戦略偵察機。耐熱塗装のため黒かったのでブラックバードと呼ばれた。沖縄に駐留した部隊はハブと呼んだ。