フランス流のアートな暮らしを体感する「アール・ド・ヴィーヴル」展!:前編 〜藤本壮介氏&グエナエル・ニコラ氏が語る現代の建築デザイン〜

ファッションやグルメなど、世界のおしゃれが集まるフランス。そんなフランスのライフデザインの魅力を体感できる展示「Art de Vivre(アール・ド・ヴィーヴル)」が、6月に開催された。

フランス流の暮らし方を提案するもので、スタイリングを手掛けたのは、フランスで活躍する、若手インテリアデザイナーのジュスティーヌ・フェルナンデスさん。

暮らしの中にある芸術に注目し、匠の技や美の感性が宿るプロダクトが多く紹介された。日本ではまだ知られていない、名品も数多く登場したので、その様子を紹介しよう!

「Art de Vivre(アール・ド・ヴィーヴル)」展

展示会場は、1952年に創立された東京日仏学院。建築家の藤本壮介氏が設計した新校舎を舞台に開催された。

東京日仏学院

会場では、建築家の藤本壮介氏とインテリアデザイナーのグエナエル・ニコラ氏が登壇し、『商店建築』の編集長 塩田健一氏が司会を務め、トークセッションが開催された。

現代の「建築」、「デザイン」、「ライフスタイル」をテーマに、藤本氏とグエナエル氏は、自ら手がけた建築を中心に、日本とフランスのデザインの魅力を語った。

まず、藤本氏が設計を、グエナエル氏がインテリアを手掛けた、世界最古のシャンパーニュメゾンとして知られる「ルイナール」の建物に言及。2029年のメゾン創設300周年に先立ち建設された建物だ。

「ルイナール」の外観のデザインは、シャンパングラスのバブルを表現したといい、白いバブルが浮いているようなフワっとした雰囲気のあるデザインが特徴。全面ガラスの上部は、曇りガラスになっており、強い日差しを遮る効果もあるという。

「シンメトリーを崩すインパーフェクションなデザインが特徴の建築です。ちょうど、日本とフランスの感性が、調和しているかのようですね」と語る藤本氏。

「フランスの建築デザインの特徴は、まずパーフェクトであることにこだわります。一方で、日本のデザインは、“完璧の先を超えたもの” じゃないかと、私は思います。少し物足りなかったり、どこか壊れていたり、不完全な美しさを象徴していると思います」と話す、グエナエル氏。

そして、藤本氏が新校舎を設計した、日仏学院の建物の設計にも触れられた。東京の中でも稀有なフランスらしい雰囲気の中に佇む旧校舎は、20世紀を代表する近代建築の巨匠ル・コルビュジエに師事した、坂倉準三氏が一棟目を設計したものだ。

「新校舎の設計にあたり、ル・コルビュジエ、坂倉準三氏、丹下健三という近代建築の系譜において、どんな建物なら調和するか? ということを念頭に考えました」

「その結果、“自然と建築が融合した建物” を考案するに至りました。美しい南仏の村をイメージして、建物であると同時に街でもある、ちょうど庭園が広がる “緑の中に入っていく” というイメージです。元々教室があった回廊は、オープンなデザインに作り変え、建築的なプロムナードを表現することができました」と話す藤本氏。

藤本氏の設計により、2021年に造られた新校舎は、各教室、講演会ホール、レストラン「ロワゾー」などを併設し、人々が学び集うことができる場となった。

トークイベントの最後には、フィリップ・セトン駐日フランス大使、藤本壮介氏、グエナエル・ニコラ氏らを囲み、出展者一同が集合! 開催を記念して記念撮影が行われた。

続く中編では、フランス流の優雅な生き方を実践することができるような、上質なインテリアアイテムをご紹介!

(中編へ続く)

フランス大使館
フランス貿易投資庁-ビジネスフランス

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