インテリアライフスタイル展 世界の流行を牽引するイタリアンデザインの今 前編〜デザイナー 伊藤節氏&伊藤志信氏 トークイベント〜

ライフスタイルにおいて重要な役割を果たす、住空間に興味があるという人なら気になるのが、家具や照明、ラグなどを使った、最新のデザインやインテリア製品だろう。

昨年、世界中から、ギフト商材や家具、服飾雑貨まで「衣・食・住」に関わるブランドが集まった、ライフスタイルを提案する商談見本市「インテリア ライフスタイル」が開催されたので、その様子をリポートしよう!

「インテリア ライフスタイル」展は、ドイツ・フランクフルト市に本社を構え、世界最大級の見本市会場の運営と国際見本市を主催している「メッセフランクフルトジャパン」が手がけるイベントだ。

デザインといえば、世界の流行を牽引するイタリア。イタリアパビリオンには、計16社が参加。機能的かつデザイン性の高い家具やインテリア製品を始め、カトラリー、タイル、水性ペイントなど、メイド・イン・イタリーの粋を実感できる製品が幅広く紹介された。

会場では、イタリアパビリオンの開催を祝して、ジャンルイジ・ベネデッティ (Gianluigi BENEDETTI)駐日イタリア大使が登壇し挨拶を述べた。

ジャンパオロ・ブルーノ (Gianpaolo Bruno)イタリア大使館 貿易促進部 部⻑か登壇し、ゲストとして、国際的デザイナーとして活躍する、ミラノ工科大学及び東京大学特任教授で筑波大学教授の伊藤節氏、ミラノ工科大学、東京大学特任教授で多摩美術大学客員教授の伊藤志信氏を紹介。特別なトークイベントが開催された。

世界的なデザイナーである伊藤節氏と伊藤志信氏は、長年デザインの本場であるイタリアで活躍している。ヒューマンセンタードなデザインを学び、第一線で活躍し続ける伊藤氏らが、デザインの現場を通して紡いだ、インクルーシブ・サステナブルデザインの今とは、どのようなものだろうか。

「イタリアと日本のシナジー」をテーマに、より良い人生のためのデザインとその可能性が語られた。

最初に紹介されたのは、イタリアが世界に誇るデザインの巨匠達の作品。1960年代に戦後復興の合理主義からラディカルデザインを経て、ポストモダニズムへと発展し、革新的な家具やプロダクトがミラノを中心に生まれた。

その後、1980年代には、ミラノを中心に「Alchimia(アルキミア)」、「Memphis(メンフィス)」というグループのデザイン活動が興り、イタリアデザインを代表するEttore Sottsass(エットーレ・ソットサス)やAlessandro Mendini(アレッサンドロ・メンディーニ)を中心に盛り上がりをみせた。

そんな多くの建築家やデザイナーが参加し、カラフルで自由な表現が世界を席巻した様子が語られた。

1960年代、マルコ・ザヌーゾ(Marco Zanuso)とリチャード・サパー(Richard Sapper)らによる革新的な電話機「Grillo(グリッロ)」。

1969年に「Olivetti(オリベッティ)」が発売した、Ettore Sottsass jr(エットーレ・ソットサスJr)がデザインを手がけた、ポータブルタイプライター「Valentine(バレンタイン)」は、当時画期的なものだった。

Mario Bellini(マリオ・ベリーニ)が手がけた革新的なクルマ「KAR-A-SUTRA(カーラ・スートラ)」は、車の中で人々が楽しむことができるユニークなデザインが魅力だ。

さらに、こうしたイタリアのデザイン哲学を取り入れた伊藤氏らが、これまで国内外で発表した作品も披露された。

FARAONE-TIFFANY社(イタリア)の「銀製ハーブティー・ポット」は、銀という高価な素材が箔状の薄い板として使われる特性を強調し、素材に偽りなく、表裏の見える箔で包みあげる折り紙的なフォルムコンセプトに仕上げられたもの。

1998年に「ミラノ国際家具サロン」で発表されたのが、スチール製テーブル「SAITA Table」。鉄錆入コールテン鋼加工でできており、鉄板を折り曲げて構成する折り紙的なコンセプトにより、鉄という素材の持つ表現力を引き出し、新鮮な形と質感のモチーフを与えている。

「ISOLA S 可動式アイランドキッチンユニット」は、「トーヨーキッチン&リビング」から、2004年に発売された未来志向のキッチンだ。

調理用の「Isola Cook」とドリンク用の「Isola Bar」の2対のエレメントで構成された、オールステンレス製のアイランドキッチンシステム。リビングの中央に置かれ、その時々の集まるパーティの人数、関係性や目的、空間に合わせて、2対の距離や方向を自由に変化させることができるのが特徴だ。

インテリアスクリーン「SHIKI」 は、De Padova Italyから、2004年に発売されたパーテンションだ。

日本美術に於ける装飾の伝統「屏風」を想起することができるデザイン。デパドヴァのブランドイメージに適う知的で優美な趣と、昼間の陽の光や夜の照明の明かりによって生じる陰影の美しい効果を享受するために、素材にアルミニウムパネルを採用したという。

人工大理石を扱う「デュポン™コーリアン®」とディズニーがタッグを組んだ、ウォルト・ディズニーの映画「トロン:レガシー」を題材とした 「TRON designs CORIAN®」も、伊藤氏らがデザインを手がけた作品。

また、組み合わせ式アンフォーマルソファー「AU」は、Edra Italyから2003年に発売されたもの。

名前の由来は「出会う」「融合する」の “あう” で、ふたつの有機的な形が合わさりひとつになるという、ユニークなコンセプトソファーだ。

一緒に座る人同士の関係性、その時々の人同士の感情、場のもつ空気を反映してソファーが直に形や表情を変えていく、インタラクティブなオブジェでもある。その形は、螺旋状に上昇していく力を表し、シンプルでありながら同時にエルゴノミックでオーガニック!

さらに、石のスパ空間モジュールコンセプト「STRATUM」は、2011年にヴェローナで開催された「Marmomacフェア」(国際石材見本市)にて、Grassi Pietre Italyから発表されたもの。

後期ルネッサンスに建築家Andrea Palladio(アンドレア・パッラーディオ)が愛用したことで知られる、ヴィチェンツァのライムストーン(石灰岩)のモジュールで構成されるスパ空間だ。

ティーテーブル「MARG」は、伊藤志信氏の創造性とジョルダーノ・ヴィガーノの卓越した才能の結晶だ。

2013年に開催された「フォーリサローネJ+Iショー」のために構想されたプロジェクトで、6人の日本人女性デザイナーが6人のイタリア人職人の協力を得て、それぞれのプロジェクトを開発したものだという。

特殊な製造工程を経て、竹とMDFパネルで作られテーブルで、不規則な円周と天板の雰囲気が特徴的な独特な形状をしている。互いに完璧に調和するふたつのピースで構成されており、組み合わせることで唯一無二の作品に仕上がる。

トークイベントの終盤では、デザイン分野におけるサステナビリティについても言及。イタリアを始めとする欧州では、既に「サステナブル」という意識が、全ての分野に浸透しているという。

Setsu & Shinobu ITO

1980年代に、伊藤志信氏の恩師であるミラノ工科大学のEzio Manzini(エツィオ・マンズィーニ)教授が初めて経済用語であった「サステナブル」をデザインに結びつける考え方を唱えた。さらに近年では、地球環境問題へのデザインへのアプローチも始まっているそう。

そんな中、伊藤節氏と伊藤志信氏も、「West to Art」をテーマに、廃棄物をアートへと変換させる活動に力を入れている。

「サステナブルなプロダクトは、まさに職人の手とコミュニケーションから生まれる創造性と共生の結晶です。これは、手の知力すなわち『メイド・バイ・ハンド』といえます。こうした環境に配慮したプロダクトが、今後イタリアでもメインストリームになっていくことでしょう」と語る伊藤志信氏。

製品・建築・サービスなどの企画から廃棄・再利用までのライフサイクル全体を通じて、環境負荷を最小限に抑えるデザインが主流になれば、単に環境に優しい素材を選ぶことができるだけでなく、ライフスタイルそのもののクオリティが上がることだろう。

美しさや機能性に加えて、「未来に残せる仕組み」を創造することが、今後美しさの新基準となり得るのだ。

会場では、トークイベント終了後に、伊藤節氏、伊藤志信氏と、イタリアパビリオンの主催者であるイタリア大使館 貿易促進部の関係者らが、開催を祝して華やかに祝杯を挙げた。

ライフスタイルとデザインが密接に関係し、常に洗練されたプロダクトを生み出し続けるイタリアの革新的なデザイン。後編では、会場に展示された最新のプロダクトを紹介しよう!

イタリア大使館 貿易促進部
メッセフランクフルト「インテリアライフスタイル」公式サイト

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