フランス流のアートな暮らしを体感する「アール・ド・ヴィーヴル」展!:中編 〜ライフスタイルを彩るキッチン&インテリア〜

いつの時代も人々を魅了してやまない、フランス流の優雅なライフスタイル。そんなフランスのライフデザインの今を体感できる「アール・ドゥ・ヴィーブル」展を見ていくことで、美意識をめぐるフランスのデザインを、紐解いてみよう!

まずは、テーブルウエアからチェックしよう。1874年創業のメゾン「Tissage Moutet(ティサージュ・ムテ)」は、南西フランス オルテズの工房でデザインから織り、縫製まで全ての工程を手がける。希少な100%フレンチメイドのリネンブランドだ。

Tissage Moutet

5世代により受け継がれてきた職人技により、ジャガード織とバスク織というふたつの伝統技術を駆使して、高級テーブルリネンやキッチンリネンを製作している。

その卓越したノウハウは、フランス政府より「無形文化財企業(EPV)」、「地理的表示(IG)」に認定されている。

ピカソ、マティス、レジェらの名画に、インスピレーションを得た「巨匠たちの布コレクション」や、Mini Labo、エレーヌ・ドルヴェール、イマジュリー・デピナルなど著名なデザイナーとのコラボにより、芸術性の高いコレクションを展開している。

デザイン性に優れるカラフルなカラーのコースターやキッチンリネン類が揃う。いつもの食卓に添えるだけで、テーブルが一気に華やかになる美しいコレクションだ。

フランスを代表するステンレス調理器具メーカー「CRISTEL(クリステル)」は、1826年からフランス東部フランシュ=コンテ地方ドゥー県フェッシュ=ル=シャテル村の歴史ある拠点で、活動する伝統的なブランドだ。

「料理をもっとおいしく作れる鍋が欲しい」という、創業者、ポール・ドダン氏の想いから生まれた堅牢な調理器具は、多彩な調理に活躍し、お手入れも簡単。ハンドルを簡単に着脱でき、コンパクトに収納することができる優れものだ。

CRISTEL

フランスならでは機能的で美しいデザインを備えており、表面は美しい鏡面に磨かれ、若干丸みをもった安心感のあるフォルムの「グラフィット」、表面にヘアライン加工を施したスタイリッシュなモデル「エル」から成り、多様な形の鍋やフライパン、ソースパンなどが揃う。

また、1818年創業の「PILLIVUYT(ピリヴィッツ)」は、200年以上の歴史を誇るフランス最古の磁器ブランドだ。

フランスの中心部ベリー地方に独自の工房を構え、ヨーロッパ産の天然原料を使用し、伝統製法に基づき、工房で磁器の素地から創造している。2009年から無形文化財企業(EPV)に認証され、時代を超えて愛される磁器を生み出している。

PILLIVUYT

1400度で焼成される「ビリヴィッツ」の磁器は、耐久性の高い釉薬を採用していることから、オーブンや電子レンジ、食洗器にも対応。衛生的で風味を損なわない食器として高く評価されている。

1993年にパリで創業したカトラリーブランド「SABRE PARIS(サーブル・パリ)」は、「もっと自由に、もっと型破りに」をコンセプトにした、斬新なテーブルウエアコレクションを発表している。

SABRE PARIS

ポップなカラーでありながら、エレガントな雰囲気を醸し出すカトラリーがラインナップ。カラフルで飽きのこないシンプルなデザインは、食卓を優雅に彩ってくれるのはもちろん、毎日の生活を印象的な時間にしてくれそう!

テーブルウェアと調和するデザイン、使いやすさと心地の良さを追求した結果、日常に溶け込むカトラリーを作ることができたという。最近では、万博のフランスパビリオンのレストランのカントラリーにも採用され、多くの人に愛されている。

1969年にフランス南西部のバスク地方で創業した「ARTIGA(アルティガ)」は、伝統織物「バスク織り」を用いたリネン製品を手掛けているテキスタイルブランドだ。

ランド県マジェスクにあるアトリエでは、クラフトマンシップと唯一無二のノウハウが受け継がれている。

フランス国内で、デザイン、織り、縫製までを一貫して行い、熟練の職人たちが一点、一点丁寧に仕上げている。そのこだわりは、細部にまで及び、どのアイテムにも確かな品質が宿っている。

ARTIGA

見た目も華やかなテーブルクロスやキッチンクロス、ミトンやエプロンといったキッチン周りのアイテムが揃う。

伝統的なエスパドリーユなどのファッションアイテム、バスタオルやクッションといったインテリアグッズ、アウトドアコレクションまで、幅広く揃うのがポイントだ。

耐久性と実用性を備えつつ、モダンで温かみのあるデザインが特徴。バスク地方の伝統的なスピリットを、色彩豊かに再解釈してフランス製ならではの上質な世界観として、表現している。

1902年にBlaise Dozorme氏により設立された「Claude Dozorme(クロード・ドゾルム)」は、「Le Loup」(=狼)の名で知られる、フランスの有名なカトラリーメーカーだ。

6世紀もの歴史を持つフランスの刃物の都、ティエールに本社を置き、工業的なノウハウと職人技を融合させ、厳選した上質な素材を使用し、大胆で独創的な製品を、120年にわたり生み出している。

キッチン、アウトドア、セラー用など、様々なシーンに適した、上質なナイフやアクセサリーを製造している。

刃の切断からレザーマーキング、研磨、組み立て、成形、研磨まで、ナイフ製品の全工程を、自社で丁寧に行う数少ない刃物メーカーだ。

製品には常に職人技が宿り、2009年に、フランス無形文化財企業(EPV)に認定されている。

また、フランス流の優美なライフスタイルに欠かせないのが、上質な家具やラグなどのインテリア。インテリアの主役にもなるような、デザイン性に優れた製品が多く揃い、いずれも高品質で長く愛用することができる。

フランスの高級家具工房「ENP Ébénisterie Contemporaine(ウー・エヌ・ペー エベニストリ・コンテンポレンヌ)」は、フランス国内を始め、世界中の著名デザイナーや建築家と協業し、特別な家具を手掛けている。

ENP Ébénisterie Contemporaine

フランスの伝統と日本の美意識が融合した、ベンチ「L’entretemps(ラントロタン)」は、素材にオーク材を採用。デザインは、フランスの第二帝政時代の象徴的な腰掛け椅子「コンフィダン」を現代的にアレンジしたものだ。

その他、シダの木や白松、檜なども素材に使用し、温もり感のあるオリジナルなチェアを生み出している。

1984年に創業した、フランスを代表するラグ専門店「Serge LESAGE(セルジュ・ルザージュ)」は、オーダーメイドラグの先駆者だ。

専用デザインスタジオで、特注品を製造しており、直感とインスピレーションに重点を置いた多彩なコレクションを展開している。

ウールやテンセルなどの天然素材を使用し、全てのラグを機械織りではなく、インドの専用アトリエでひとつひとつ丁寧に手織りしているのが最大の特徴だ。その技術と精度の高さが高く評価されている。

Serge LESAGE

「仕上げのカッティングまで手作業で行うことで、独自の奥行き感のある陰影が出るのです。単なる装飾ではなく、環境にも配慮して“美しい物語”を紡ぐ芸術作品を生み出しています」と語るのは、Zeina Lassade(ゼイナ・ラサーデ)さん。

展示されたラグは、アートピースとして壁に飾られており、上質な空間に芸術的な感性を生み出している。

さらに、フランス製にこだわった照明器具のクリエイターブランド「LAFABLIGHT(ラファブライト)」の照明も注目だ。

ブナ、シナノキ、オークなど厳選された上質な天然素材を使用し、職人が手作業で作ったもので、全てフランスのシャルトルにあるアトリエで製造されるという、匠の技が際立つサステナブルな照明だ。

LAFABLIGHT

厚さ5mmの薄板に加工され、天然オイルで染色されたフレームに、綿100%でできた、細いロープを巻きつけていくことで、強度が高く幾何学模様に張り巡らされた照明が完成するという。

独自に開発した手編み技術によるもので、ロープの交差によって異なるデザインを見せ、照明の点灯時と消灯時で光の印象が変わるのが魅力だ。

こぼれ落ちる温かみのある光は、和洋問わず調和する空間を演出してくれる。置き型タイプから、ペンダントタイプまで揃うので、好みやスタイルに合わせて選ぶことができるのも嬉しい。

またフランスといえば、荘厳な教会を美しく輝かせるステンドグラスも有名だ。「A&O Vitraux(ヴィトロー・オンフルール)」は、1976年にノルマンディーの港町オンフルールに創業した、オーダーメイド専門のステンドグラス工房だ。

A&O Vitraux

ノルマンディーの古いガラス職人たちが培ってきた高度な技術を駆使し、古い作品の修復を通して、その貴重なノウハウを積み上げてきたそう。

図面の設計から最終的な取り付けまで、10以上の工程を経て、一枚一枚が、細部に至るまで精巧に丁寧に仕上げられる。

「ステンドグラスは、太陽の光でガラスの色が幾重にも変化する様が美しく、その場所を特別な場所にしてくれます」と話すのは、Amandine Steck(アマンディーヌ・ステック)さん。

このステンドグラスを通して、中世以来変わることがない、貴重な伝統技術をも垣間見ることができるだろう。

会場では、ヨーロッパを始め、世界各国で愛用されているインテリアブランド「PIERRE FREY(ピエールフレィ)」のファブリックスを纏ったソファも展示された。

フランスの伝統的な装飾と現代的な感性が融合し、洗練された温もりのある空間を生み出している。

「PIERRE FREY」トミタ
alki」住商インテリアインターナショナル

バスク地方生まれのハンドメイド・モダン家具「alki(アルキ)」によるベンチは、無垢材加工により生み出されたもので、職人技が宿る温かみがあるのが特徴だ。

また、屋外で使えるファニチャーも発見! フランス発のストリートファニチャーブランド「Concept Urbain(コンセプトユーバン)」のアウトドアファニチャー「BUBBLE(バブル)」だ。

ステンレススチール製のワイヤーを、コイル状に巻いて組み立て、座席のフレームに巻きつけることで、仕立てた弾力性のあるチェアだ。

Concept Urbain」ミズシマ工業

人間工学に基づきデザインされたシートは、弾力性があり快適に座ることができる。ひとりがけのアームチェアとふたり掛けソファ、ローテーブルのラインナップがあり、都会的なデザインが際立つ。こんなチェアがあれば、屋外で過ごす時間がより楽しくなりそう!

インテリア製品は、地域に根ざした伝統技術を活かしながらも、現代のライフスタイルに寄り添ったフレンチメイド製品が多く揃った。後編では、フランスならではファッションやコスメもお届けしよう!

(後編へ続く)

前編はこちら

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