Decipher the watch #05
ミリタリーウオッチ(軍用時計)は、過酷な環境での使用を前提としたハードな耐久性と堅牢性、瞬時に時刻を確認できる高い視認性を求められ、開発され続けている。つまり、ミリタリーウオッチを追うことは、腕時計の進化の一端を見ることでもある。世界的に有名な高級メーカー、ロレックス、ブランパン、IWC、オメガ等がそれぞれ独特の機能を持つ時計を生産してきた。ここではアメリカ軍で採用されてきたミリタリーウオッチの一部をご覧いただきたい。
写真/WPPアーカイブ 構成/ワールドムック編集部
スイスの一流メーカーがアメリカの工兵部隊からの発注を受け製作。精度の高いポケットウオッチ。CORPS OF ENGINEERSはアメリカ陸軍工兵隊を示す。大きな刻印が印象的である。
米海軍の一般使用、看護婦等に支給された小型のポケットウオッチ。アメリカ軍兵站部の刻印とUSNの文字が刻印された珍しいもの。
第2次大戦中に陸軍の陸軍航空隊の航空機用に開発されたナビゲーション・ウオッチ。ハミルトン製のAN5740ナビゲーション・ウオッチ。Aは陸軍、Nは海軍、共同開発の時計だ。G.C.Tはグリニッジ標準時の意。裏ぶたに刻印が見られない。
ハミルトン製のナビゲーション・ウオッチ、AN-5740。12時間表示で文字盤を昼夜に色分けしている。本来は4本のスプリングが組み込まれ、時計を中央で保持し、衝撃を吸収するケースに納めて使用するナビゲーションウオッチである。
腕時計初期に作られた陸軍兵士用のウオルサム製ソルジャー・ウオッチ。風防を保護するためにグリッドを備える。ラグの取り付け方が懐中時計から腕時計への移行期を物語る。
ポケットウオッチの両サイドにラグを付け、リストウオッチとして使用した。ムーブメントは17石のスイス製。裏ぶたには大きな文字でUSとSIGNAL CORPSの刻印。裏ぶたには大きな文字でUSとSIGNAL CORPSの刻印。
ウオルサム・デポリア防水時計。デポリア社製の防水ケースは性能が高く、多くの時計メーカーが採用。防塵、耐震性にも優れる。裏ぶたにはU.S.Aの文字とシリアルナンバーが刻印される。1917~1919年製。
エルジン・デポリア防水時計。防水ケースで有名なデポリア社のケースにエルジン製ムーブメントを搭載し、支給された。ケース全体がブラック塗装で文字盤は陶製。刻印はない。
タバネス製の第1次世界大戦頃の通信部隊用。懐中時計から腕時計への移行期に作られたもの。
ハミルトンの軍用時計、ダイアルにプロペラとウイングマーク入り。ORD.DEPT.は兵站局を、ODは15~17石のムーブメントを搭載することを示す。
WWⅡで、ドイツやイギリスのミリタリーウオッチを多く生産していたグリシンのドイツ陸軍用。時計不足の米軍がグリシンにあったドイツ軍の時計を接収してOHの刻印でアメリカ軍のものとした。
ウオルサムタイプA-11ナビゲーションウオッチ、ハック機能付き。文字盤内の赤いダイアル文字が珍しい。裏ぶたに刻印がないのは修理の時に取り替えられたものである。
ハミルトン、アメリカ陸軍一般用、最も多く生産された腕時計のひとつだ。バックには防水ケース、15~17石のムーブメントを使用していることを表すOFの刻印。
ブローバのタイプA-11。ハック機構付き。12時間の目盛りの内側に小さな24時間表示がある。修理時に裏ぶたが取り替えられたと思われる。
非常に珍しい文字盤といわれているエルジン製。文字盤に「米海軍所有」と記される。メーカー名は入っていない。裏ぶたには刻印が入っている。ただし、シリアルナンバー等が入っていないのはテストサンプルの可能性がある。
ウイットナー製のウイームス・タイプのA-11。セコンドセッティングができ、陸軍航空隊用。裏ぶたの刻印は海軍の士官に海軍航空隊から贈られたもの。
1940年代のハミルトン製の海軍特殊部隊用ダイバーズ・ウオッチ。防水性能が高かった。刻印は米海軍兵站部による調達を示している。
MIL-W-6433Aで生産されたタイプA-17Aナビゲーションウオッチ。ブローバ製ブラックダイアルで12時表示の内側に24時表示もされている。特に防水性能がアップしてピッチ数の多いねじ込み式の裏ぶたが使用されている。スペックがぎっしり刻印されている。
エルジンのタイプA-17。文字盤が白と黒に塗り分けられ視認性向上の効果を高めている。ウオッチリスト、セコンドセッティング、ナビゲーションハックの刻印がある。
エルジンが米海軍の特殊部隊UDT(水中破壊部隊)用に開発した。リュウズカバーで防水300フィートを確保。特殊竜頭カバーは、防水性能を一段とアップさせた。モデル539の16石ムーブメント使用。刻印はUSNとシリアルナンバーが入っている。
ハミルトン、アメリカ海兵隊モデル987-A。17石ムーブメント、ステンレススチールケース、スクリューバック。裏ぶたにはUSMCの刻印。OFの略号は15~17石のムーブメントの時計で防水性能を示している。
エルジンのタイプA-11ナビゲーションハックウオッチ。テストしていたタイプA-10が中止になり1940年に制式採用された。裏ぶたには、指定されたすべての刻印が入っている。
ロンジン・ウィームス。タイプA-11。17石のムーブメントを搭載し、リュウズを引くと秒針が止まり、押すと再スタートするハック機能付き。裏ぶたの刻印は軍用であることを詳細に語っている。
ブローバ製ナビゲーション・ウオッチ、タイプA-11。1940年5月1日に標準支給品として採用された。裏ぶたはねじ込み式である。TYPE A-11の文字は1段目あるいは2段目に刻印される。
MIL-W-6433に準じたウオルサムのナビゲーション・ウオッチ、タイプA-17。ニッケルプレートでピッチ数の多いねじ込み式の裏ぶたを備える。非防水。裏ぶたの内側にケースメーカーのスター・ウオッチ・ケース社の刻印が入る。
ロンジン。米海軍のオーダーにより製造した17石のムーブメント搭載。刻印のU.S.N BUSHIPSはビューロー・オブ・シップス(艦船局)を意味する。海軍用はUSN、海兵隊用はUSMCの刻印。
MIL-W-3818Aによって生産されたブローバの軍用時計。このスペックは、途中で改定され、スモールセコンドから中央3針になった。裏ぶたにはミルスペックが細かく入っている。24時間表示と赤い中央秒針を持つ。
Part2に続く