
靴下は、消耗品ではなく靴と同じくらい大切なギアだ。さまざまな研究・検証を重ね、立つ・歩く・走るのバランスを保つため小指の機能に注目したのがまぼろし工房の『ラクちんソックス』。小指の独立軸を確保する独自設計で、日常の足元を支える一足だ。
靴下で “小指が消える”? 足の三点支持を取り戻す発想
人の身体は、かかと、母指球、小指球の3点で支えられている。ところが靴下を履くことで、足の形が変わり、荷重バランスが変化してしまうことがあるという。まぼろし工房が開発した『ラクちんソックス』は、ここに着目した。


同社代表の近藤祐司さんは、「靴下を履くことで、足の小指が一本消えてしまうことがあります」と表現する。小指が内側に押されて独立性が失われると、立位姿勢での重心変化が起こり、歩く・走る・しゃがむ・立ち上がるといった動作に“モーションロス”が生まれやすい。そこで必要だったのが、小指の「リ・モデリング(再配置)」だ。

見た目にも特徴的なのが、小指側だけ切り替えになった構造。靴下という身近な道具に、足の骨格と荷重を前提とした設計思想を持ち込んだところが面白い。
足元の負担を減らすために。素材は “和紙の撚糸” というこだわり
『ラクちんソックス』は、生地の伸縮性と方向性を部分的に変えることで、小指側から親指側へ荷重誘導が起きるよう設計されている(特許取得)。開発で譲れなかったのは「自然が作った足の仕組みを理解し、自分本位の発明を加えないこと」だったという近藤さん。

小指部分の切り替え構造によって想定されるのは、運動効率の向上による筋肉疲労や関節負担の軽減。ランナーだけの話ではない。デスクワーク、現場で安全靴を履く人、介護・看護など、日常の中で足を酷使する人にも向けて開発されている。

素材もユニークだ。吸湿性の高い“和紙から作った撚糸”を使用。複数の糸を捻って作る撚糸ならではの、着物のようなザラっとした肌触りが特徴で、濡れたときでもベタつきを抑えるという。足元の快適さは、機能設計だけではなく素材の選択にも支えられている。
2025年にはクラウドファンディングで20日間に2600足を販売。だが近藤さんは「20日間で生まれたものではない」と語る。街の治療院として10年以上ブログで発信し続け、足の悩みの声を拾ってきた積み重ねが、共感として広がった結果だという。
小さな困りごとを、ギアに仕上げた『ラクちんソックス』は、その真面目さが伝わる一足だ。
価格2970円
素材:ポリエステル綿混
サイズ:M、L
レディース:22.0〜25.5cm(ワイズ3E)
メンズ:25.5〜27.5cm(ワイズ4E)


































