ホンダ、ホンダ、ホンダ is Back!!
2025年の英国で行われたイベント、「グッドウッド」でお披露目されたホンダ・スーパーワンがついにデビュー! 同車は昨年のモビリティショーでも展示され「楽しそう!」「面白そう!」「待ってました!」と話題をさらった1台。


クルマ自体のベースはN-ONE e:。軽EVがベースなのだが、スーパーワンはボディサイズが軽自動車枠を超えるため登録車扱いになる。ちなみにスーパーワンの3サイズは全長が3580mm、全幅が1575mm、全高が1615mm。軽自動車規格は全長が3400mm以下、全幅は1480mm以下、全高は2000mm以下と決まっているので、全長、全幅がソレを超えてしまうのだ。
1980年代、ホンダはシティというコンパクトカーを作っていた。イギリスのバンド、マッドネスがムカデダンスをしながら「ホンダホンダホンダ」と連呼するインパクトのあるTVCMと相まって一躍人気車種に。
そのシティ、何がスゴかったのか? それはコンパクトサイズ(現行の軽自動車よりも短い約3.3m)ながらもトールボディで室内広々。車重は600kg台と軽く、ドライビングのダイレクト感(超初期モデルはパワステさえ未装備)も魅力。モデル後期にはピニンファリーナのボディを持つカブリオレもラインナップするなど、扱いやすさ、運転の楽しさが詰まったクルマだったのだ。そんなクルマをターボで武装し、走りにフォーカスしたモデルがターボIIで愛称は「ブルドッグ」。ノーマルボディにオーバーフェンダーで武装し、ホンダらしさがギッチリと詰まっていた。

スーパーワンはそんなシティ・ターボIIの雰囲気に通じるモノがあり、オトーサン世代ではシティの再来といわれたり、若人世代では人と被らないクルマだったりして話題になっている。特長的なオーバーフェンダーなどの話題が先行しがちだけれど、エクステリアがうまくまとまり、体育会系なチューニングカーというよりは可愛い雰囲気を纏うコンパクトスポーツカー的雰囲気だ。
そのメカの本気度は高い。基本的なメカニズムはベース車同様なのだが、オーバーフェンダー化に伴ってトレッドを拡大。ロアーアームは専用のアルミ鍛造製だし、リアアクスルビームは強化品を採用するなどかなり贅沢な作りになっている。
スーパーワン in City!!
インテリアはN-ONE e:ベースがわかるモノだけれど、カラーコーディネートがアクセント。9インチのセンターディスプレイはGoogle搭載で音声操作も可能なのは最近のクルマ流。しかしながらエアコンの操作がボタン式なのは筆者には嬉しい。余分なトコロをお触りしてしまうストレスとは無縁だ。


メーターは7インチのTFT液晶ディスプレイ。画面下半分は任意に変更可能。トリプルメーターにするとバッテリー温度、瞬間電費計、出力計などドライブモードによって表示が変わる。

シートはコレまた往年のシティ・ターボIIのソレをオマージュしたようなモノで、専用のスポーツシート。パッと見では、なんとなく薄っぺらいシンプルシートのようだが、コレが座るとかなり具合がいい。ホールド性もあるし座面もなかなか座り心地が良かった。

このシートにも密かな(?)こだわりがあって、座面で約35mm、背もたれ部分で約20mm、N-ONE e:よりも大きくなっている。ただ最近は日本人の体格もかなり良くなっていることを考えるともう少し調整の範囲はあったほうがいいのかもしれない。なんせ同車は海外でも販売予定というし。
後席のスペースは、このサイズカテゴリーならば間違いなく広い。使い勝手も上々でシートバックは分割可倒式採用だし、ベビーカーをそのまま載せられると評判の座面だけをはね上げられるホンダの便利機能、チップアップもある。


走り出せば、乗り心地はN-ONE e:より若干硬いかな、と感じたけれど街乗りでも十分快適。隣にゲストを乗せても気を使わない、いや心が痛まない。
クルマに用意されたドライブモードはノーマル、エコ、シティ、スポーツの4つ。それぞれに明確なキャラ付けがされているのもわかりやすくて、楽しい。例えばシティモードはいわゆるワンペダル系な操作が可能で停止もOK。

エコモードにすると、力を押さえている雰囲気が強く感じられ、むしろアクセルを深く踏み込みそうだった。ただし高速などの巡航ならこのモードにしておけばスーッと進む印象で電費に貢献しそう。
ノーマルモードはデフォルト。シティモードとノーマルモードは好みの範疇だと思われる。スポーツモードでは仮想のMTシフト制御や作られたエンジン音を車内に流すアクティブサウンドコントロールがオンになる。最高出力自体はどのモードを選択してもは変わらない。
私にもラインが見えるゾ! 的走り
スーパーワンに搭載されるモーターはN-ONE e:同様の47kW。これをフロントに載せる。高速の合流といった全開加速でもモーター特性の厚いトルクで遅さは感じない。しかしもうちょっとパワーが欲しいなあ、という時もある。そんな時はステアリングの「魔法のスイッチ」をポチッとな、とすると俄然パワフルに。これがスーパーワンの目玉のひとつ、ブーストモードだ。


このスイッチを押すと通常の最高出力47kWから一気に70kWまでパワーが開放される。加えて7速DCTによる変速、シフトアップ時のちょこっとしたショック、回転と同様に高まるエンジン音などスポーツカーを操っている感が得られる……。もちろんこれらはバーチャルな演出なのだけれど、コレがなかなかに楽しい。
標準装備のBOSEのプレミアムサウンドシステムは運転を楽しむためにの需要な要素である音の情報をクリアなサウンドで伝えてくれる。エンジン音が高まり、メーターを見ずともシフトアップをする、内燃機関車ではこのごく当たり前のことが楽しさにつながることを開発陣は熟知している。さすがホンダ。
切り返しの続くクネッた道では広げられた車幅と、内燃機関同様のセンタータンクレイアウトの発想で床下にバッテリーを搭載しているので重心が低く安定したコーナリングが楽しめる。速度が大幅に落ちるタイトなコーナーでも同様。ベース車両と比較するのは間違いと重々承知しているのだけれど、コーナー進入の安心感がまったく違う。

低重心化の目安で申し上げれば、内燃機関車でワンメークレースなどが開催されるN-ONE RSよりも70mmも重心高が下げられているのだ。そしてブレーキも大きくなりフロントは14インチサイズに、リアのドラムピストンも径が拡大している。車重の軽さも特筆だ。それは内燃機関車として考えても軽く、EVとして考えればびっくりな1090kg。現在販売されている小型EVのおおよその車重相場的なモノは1300kgくらいだからいかにスーパーワンが軽いか。
それでいて公道で楽しめる出力なので、楽しくないわけがない。自分の車線の中でもキチンとアウトインアウトのライン取りをして、コーナーを抜けていく。気分は風吹裕矢か藤原拓海か、な気分。
ヒョーロン家のせんせー方からすると、絶対的なパワーがもう少し欲しいとかなるのだろうけれど、最近の600PS、700PS級のスポーツカーを考えると公道で楽しめる速さはコレで十分以上な気がする。出力を上げるのは簡単だろうけれど、冷却やバッテリーの増大など重量だけでなく価格も増えそうなことを考えれば、ベストだと思う次第。なお速度リミッターの介入は135km/hという。もっと出そうな雰囲気だけれど。

楽しくてチョー実用的
スーパーワンの一充電での航続距離はカタログ値で274km。しかし200kmくらいとあらかじめ思っておきたいのはEVあるある。「お楽しみ」を長時間してしまうと150kmくらいと思えばほぼ間違いなく精神衛生上もいい。
コンパクトEVとして流す分ならば電費も良く、筆者が試乗中の最高電費はメーター表示で9.6km/kWhだった。イケイケにすると4km/kWh代になってしまう時もあるけれど。充電は普通、急速に対応する。
流行りのSUVふうでもないのにV2H、V2Lにも対応するなどアウトドアでの家電使用もいけるし、災害時の非常電源としても使えてしまうのだ!
そしてこれだけのこだわりながらもお値段はなんと339万円から。しかも国の補助金を使うとびっくりな209万円。これに自治体で異なるけれど車両購入の費用が出る自治体ならばもっとお安くなる。ベースとなったN-ONEe:よりもお安い! コレを爆安と言わずなんと言おう!
流行りで販売台数がある程度確保できるSUVふうでなくこだわりのメカニズム満載、これは間違いなくホンダしか作れないクルマ。チョー気持ちいいっす!

Super-ONE
| 価格 | 339万円から |
| 全長 × 全幅 × 全高 | 3580 × 1575 × 1615(mm) |
| モーター最高出力 | 70kW(95PS) |
| モーター最大トルク | 162Nm(16.5Nm) |
| WLTCモード燃費 | 274km |



































