懐かしいけど新しいクーペ誕生
2ドアクーペが保護種(?)となって久しい昨今、ホンダのプレリュードが2025年9月に復活。月販300台目標なのに1ヶ月ですでに2400台以上の受注するほどの盛り上がりなのだ。数字だけで見るとそんなに騒ぐほどか! とお叱りを受けそうだが今や国産、新車で買える2ドアクーペは絶滅危惧種。メーカー側もSUVのように数を見込めるかどうかわからないモデルには冒険できないってことを踏まえても想像以上の販売台数だ。そんな盛り上がっているプレリュードのシートをゲットしたのでご報告。
試乗車はオプションの新色ボディカラー、ムーンリットホワイト・パールを纏う一台。好みはあるかもしれないけれど、落ち着いた印象でクルマのキャラに似合っているような気がする。


スタイリングはワイド&ローのスポーツカーの王道中の王道的シルエット。ドアハンドルはポップアップ式で、空力だけでなくカタマリ感のあるボディラインを強調する。テールランプは一文字ですっきり、ワイドさを印象付ける。またクルマ全体のパッケージングにもこだわって、全高に占めるタイヤ外径の割合を50%にしており、視覚的にもより低く感じられる。
キーを持って近づくと競り上がるドアノブを引いて車内へ。囲まれ感のあるセンターからドアまで繋がる水平基調のダッシュボード。コレよコレ、この雰囲気ヨ、と昔のオヂサン世代はテンションが上がる。ふと見ると助手席側には車名のロゴ。ホールド技が決まったようなモノだ。このロゴがワンポイントでオシャレさんなのだ。センターの9インチディスプレイはGoogle搭載で音声でも操作可能。車内で独り言が増えるアイテムでもある(笑)。


シートポジションはヨッコラショと座る低さ、これも気分が上がる。やっぱりスポーティクーペだよね、というやつだ。余談だが運転席はホールド性を高め、助手席はほどよく包まれるような仕立てで、左右異なる作り方などシートにもこだわりが。ただしシート調整は手動だった。ビンボー人の筆者からするとこの価格帯なら電動化して欲しいと思ってしまう。前席のヒーター機能はついているけれど。


こだわりいっぱいの走り
パワーユニットは2リッターの直4に2つのモーターを内蔵したCVTを組み合わせた、ホンダのハイブリッドシステム、e:HEVだ。エンジンのスペックは141PS、182Nmだがモーターの方が184PS、315Nmとパワフル。基本的に低中速域だとエンジンは発電用でモーター駆動、高速域や力を欲しい時はエンジンも駆動用になる。

走り出しからいわゆる「ふんわり加速」をするように優しくアクセルを踏む。するとスーっと速度が伸びていく様は気持ちいい。ただの真っ直ぐの加速、しかもエコを意識した踏み方をしても、だ。クルマのコンセプトの一つである「グライダーの滑走する様子をイメージ」はまさに言い得て妙。もちろんグライダーの経験はないけれど。おそらく風に乗る、感覚に近いのかもしれない。クルマの方は走らせた瞬間から余裕が感じられ、日本の法律で許されるどの速度域で踏んでも加速に困ることはないし、瞬時に加速を求めてもクルマは答えてくれる。
ドライブモードはコンフォート、GT、スポーツ、インディビデュアルの4つ。プレリュードにおいて通常、つまりノーマルの走行モードはGTになる。筆者の体感だと乗り心地という面ではコンフォート以外は初期入力が硬めだった。しかしながらコンフォートモードだからフニャフニャでコーナリングに気を使うとか、加減速で必要以上にクルマの姿勢が変わることもないのでコンフォートのデフォルトもありかも、と思ってしまった。むしろコンフォートモードの方が「デートカー」と言われた頃の味わいに近いのかもしれない。そう書くとただのナンパなクーペと思われるかもしれないが、それは少し違う。
お楽しみのスポーツモードにするとエンジンレスポンスに磨きがかかり、右足の動きにより忠実に。室内に聞こえてくるエンジン音もレーシーだ。アクティブサウンドコントロールの擬似音でスピーカーからの応援が大きいといわれればそれまでかもしれないが、ステアリングを握っている方からするとテンションは間違いなく上がる。
クネッた道では目玉のS+シフトのボタンを押す。一際目立つボタンで、「押すなヨ、押すなヨ」と言われている感じがするが、でも押したくなるのが人情でしょう的にポチっと押す筆者。

すると、禁断の楽しみを見つけてしまいましたね、とこれまたクルマに言われているよう。このS+シフトは復活したプレリュードの最大の見どころと言っても過言ではない。ミッションはCVTであるからして無段なのだが、S+シフトは擬似的に8速ミッションを体感できるボタンになる。シフト操作はステアリングに備わるパドルで行う、まさにレーシングカー然としたモノ。
シフト操作は電光石火。メカニズムの気が早過ぎる時も若干ある。例えば強めに減速した時。ブレーキを強めに踏むとパドルを操作してないのに、勝手にギアがなんと2速も落ちる。しかもブリッピングをともなって。自分で操作してないのになぁ、と思う面もあるが、こ、これは素直に気持ちいい。そこからの加速も抜群のエンジン音を伴うとなれば、ニヤニヤが止まらない。それに足回りはあのシビックタイプR譲りのモノだ。ナンパなデートカーという枕詞が付きまとうプレリュードだけれども、コーナリングも楽しい。このS+シフトはスポーツモードにしていなくても使える、「お楽しみ」でもある。
なおS+シフトを選択していなくともパドルで回生ブレーキの調整が可能。概ね2回以上パドルを引くと後続車にもわかりやすく、キチンとブレーキランプが点灯するようだ。メーター内にもプレユードがいて、ブレーキランプやライトの点灯が連動する。

前席ファーストだけれど
さて、プレリュードといえば後席の存在も忘れてはイケナイ。筆者は後席も少し体感したが、身長175cmで座高、血圧、血糖お高めの筆者だとリアガラスにアタマが当たってしまい、座るには腰の位置を前に出すか、若干ハテナのポーズ気味に頭を横に傾げる必要があった。なお、キチンと座った同行者(身長164cm)によると座って仕舞えば狭く感じることはなく、リアガラスがオープンカーみたいで窮屈さはなかった、そうだ。

しかしながら2つの問題は感じたという。一つは頭の上がリアガラスなので暑さ、寒さ、直射日光に弱そうなのと、位置的にすぐ荷室なので前席との会話がかなり厳しい、とのことだった。
まあ、後席は短距離エマージェンシー用と割り切るべきなのかもしれない。
荷室の容量は通常で264リッター。後席を倒すと663リッターになる。後席を倒せば、カタログ写真にあるようにゴルフバッグを2つ乗せることができる。ちなみに後席を倒した時の荷室長は1585mm。考えようによっては小柄な女性なら後席を倒してしまえばリアガラス越しに星を眺めながら車中泊も行けるのかも?


2人乗車の実用性は上記の印象。今回は高速5割(コンフォートモード、GTモード、スポーツモードを使い分け)、渋滞2割(コンフォートモード)、流れている幹線道路2割(コンフォートモードのまま)、山道1割(スポーツモード)の行程で500km少し走破した。その最終的な燃費は20.1km/L。カタログ燃費には届かなかったけれど、20km/Lの大台を超えたのにはびっくり。
回生ブレーキやエンジンによる充電が早めにバッテリーに溜まる印象で、街中で流れに乗っている範囲では燃費の悪化はあまり感じなかった。
かように楽しいし、乗り心地もいい、S+シフトといった最新技術も装備する。まさにプレリュードの歴史を受け継ぐモデルだった。人によってはS+シフトが人工感出過ぎという意見も聞いたがそう思わなんだ。少なくとも筆者には「速くなった気分」の演出は大変気持ちいいモノだった。もしより本気モデルが欲しかったら、シビックタイプRがある。そちらは120万円近く安く買える。
あくまでも本気すぎないから楽しい。そんな草野球的なクルマなんだけれど奥は深い。ただ若干本気の草野球なのかも。

プレリュード
| 価格 | 617万9800円〜 |
| 全長 × 全幅 × 全高 | 4520 × 1880 × 1355(mm) |
| エンジン | 1993cc直列4気筒 |
| エンジンスペック | 141PS /182Nm |
| モータースペック | 184PS /315Nm |
| WLTCモード燃費 | 23.6km/L |


































