monoという名のタイムマシン 番外編/医学の雑誌「BEING」昭和58年5月号

monoという名のタイムマシン 43年前に創刊、昭和58年5月のモノ・マガジン(11号)」でもちらっとふれましたが、昭和58年(1983年)5月に弊社、ワールドフォトプレスから医学系の雑誌が発刊されてました。社内の人に聞いても、誰も覚えていないというので、倉庫を引っ掻き回したら現物が見つかりました。弊社の本なので、もっとエンターテイメント寄りの内容かと思っていたら、結構真面目な内容でした。そんなワケで、今回は「monoという名のタイムマシン」の番外編として、「BEING」を紹介したいと思います。

この40年で医学の進歩は著しいのでしょうが、専門的な知識のなさゆえに、それぞれの記事を評することはできないことは、前もってお伝えしときます。面目ないです。

ちなみに昭和58年5月の出来事はというと・・・
◎『スター・ウォーズ エピソード6 ジェダイの帰還』公開
です。

※画像はクリックすると拡大表示されます。

「医学的世界を中心に、現代人の心理、性、バイオテクノロジー、生物学、環境問題などを動員して、人間の解明医に挑み、人間を考えていく、まったく新しいポピュラー・サイエンス・マガジンです」と銘打ってスタートした「BEING」。その表紙がこれです。

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まずは目次。

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そして、ヒトの卵子の表面を電子顕微鏡でとらえた2枚の写真で構成された見開き。タイトルは「ヒトが旅立つ」。17世紀イギリスの生理学者ウィリアム・ハーヴェイが唱えた「すべての生命は卵子から生じる」からインスピレーションを得た記事のようです。

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続いて、「報告/燃えつき症候群 ワーカホリックたちの終焉」。リードは「いつも成功しなくてはという圧力がのしかかっている、仕事以外の自分を見失っている、友人たちに親しくするひまがない——こんな人には、いつの間にか燃えつき症候群が迫っている。高度成長時代の働き中毒(ワーカホリック)たちが低成長期に入って方向を失ったときの、悲しい結末」。6ページ構成。

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アメリカの精神生理学者、オーガスティン・デラペナ博士をインタビューした「■情報化時代の人間の適応力に心理論 “退屈した脳が人を殺す”」。リードは「われわれの脳は斬しい知覚情報を得られないと退屈し、反対に情報が多すぎると過熱する。このような状畢を長く続けると、脳は指令を出してがんを発生させたり老化を促遣するーーテキサス大学の新鋭学者が展開する新しい人間織に『ピーイング』が迫る」。6ページ構成。

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同じく6ページ構成の「USAレポート 家庭が崩壊する 1983年・アメリカ合衆国の横顔」。リードは「アメリカの社会は絶えず劇的な変化をくり返している。この10年間に、古いアメリカの家庭、古いアメリカ人家族のかたちは音を立てて崩れた。だが彼らは、この変化を平黙と受け入れようとしている。日本の社会に先行するアメリカ社会の最新報告」。

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Being Close-up 心臓手術、全米に生中継」は、アリゾナ州ファニックスにあるセントジョセフス病院で行われた心臓手術の模様が、約50局のテレビを通じて全米に生中継されたという記事。見開き構成。

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8ページ構成の「新薬開発 抗生物質新世代を追う」。リードは「いま、われわれの周囲には大量の薬剤があふれ、健康維持や病気の治療に重要な役割を演じている。だが反面、薬の実体は意外なほど知られていない。薬とは何か、どのようにして生まれてきたのか。いりくんだ薬の世界の明暗を追う」。

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■ヒト生殖細胞を追う 女の卵子の不透明な世界」は、6ページ構成。「卵子は、人間にかぎらず、あらゆる動物誕生の原点である。しかし、医学や生物学が著しい進歩をとげた現在でも、この徴小な世界には、厚いベールに閉ざされた部分があまりにも多い」。

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心理学を専門とするエール大学準教授(当時)のロバート・スタンバーグ氏による記事で、「“知的” なのは誰か 知能指数論争のあとで」。リードは「”日本人はアメリカ人より知能指数(IQ)が高い“ などという論文が海外の著名な雑誌に登場して、しばし喜んだ日本人も少なくなかった。しかし、人間の知能はIQテストで判定できるほど単純なものだろうか」。6ページ構成。

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ニューズ・ウィーク誌特約記事で、8ページ構成の「記憶・感情・思考の正体 接近する大脳」。リードは「近年、生きた人間の頭蓋内を詳細に調べる技術が次々に登場したおかげで、人間自身の最大の謎、脳の働きがわずかずつ見えてきている。とりわけ、脳全体の “指揮者” の存在が浮かび上がってきたことで、従来の脳理論は新局面を迎えそうだ」。

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「特集/死の判定」は、この号でいちばんのボリュームの24ページ構成。全5章からなり、それぞれの見出しは[第1章]今なぜ死の判定か、[第2章]欧米人はいつ死ぬのか、[第3章]脳が死に、人間が死ぬ、[第4章]心臓移植の方法とプロセス、[第5章]私の腎臓、誰かの腎臓。

「特集/死の判定」内の「心臓移植のプロセス」のページ。

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歯そう膿ろうが街を行く 歯ぐきの憂うつ」は6ページ構成。リードは「先進国化するにしたがい、若いうちに歯ぐきが病気におかされたり、歯が抜け落ちたりする傾向が強まる。調理しすぎた食ぺものばかり好み、清涼飲料を飲んで、そのうえ口内を不潔にしていると、一億総歯そう膿ろう時代は選けられそうにない」。

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最後はやはり6ページ構成の「[生体工学]人体の中に機械を見る 右手と左手/究極のメカニズム」。機械工学を専門とするルイジアナ州立大学教授(当時)、デビッド・トンプソン氏による記事で、リードは「重量挙げ遍手の手も、血管外科医の手も、基本構造はまった<同じである。自然は、この小さな容積に、想像を絶する巧妙さで精巧な部品を組み込んだ。今、その “機械度” を分析する」。

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最終ページに次号、7月号の予告があったんですが、どうやら2号目は出なかったようです・・・。が、せっかくなんでその内容だけ、以下にリストアップしておきます。

本誌単独インタビュー/ラリー・ドーシー博士 “人生観が健康を左右する”
量子物理からみる近代科学 特集/不妊・不妊・体外受精
ボクシング殺人の衝撃
レーザー・キャンサー・コネクション
“水爆の父” E・テラー博士講演録
不眠症から過眠症への大移動
秘史/エジソンとアメリカの電力産業
森林破壊・傷だらけの日本列島
報告/末期がん 編集部取材・延命装置

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