織本知之のデジカメ紳士録
大画質ドラマ、どうするEOS⁉
【キヤノン/EOS R8】


モノ・マガジン誌の長期連載「織本知之の電子写真機恋愛」がモノWEBに登場! 最新機種から懐かしのレトロ機種まで、掲載当時の熱量真空パックでお届け。誰もが立ち寄れる「デジタル一眼レフ、ミラーレス一眼情報の道の駅」だぞ!

写真と文/織本知之

CANON EOS R8

キヤノン/EOS R8

こんなトコロに戀をする!

こんなボディが愛おしい

女性的とさえ思えるそのなめらかなボディラインはどの角度からどう握っても、ぴったりと肌に吸いつくように掌に収まります。そのまま目の高さまで構えて約236万ドットの電子ビューファインダーで撮るもよし、背面のバリアングルモニターを使って自由なアングルを求めるもよろしいかと。

こんな機能に恋しちゃう

約30コマ/秒のプリ撮影機能を搭載しました。シャッターチャンスに対して本気もホンキですという姿勢です。これで飛び立つ鳥の飛翔の瞬間、ふりかぶったバッターがボールをとらえるインパクトの瞬間などなど、慌ててシャッターを押してもぜったいに間に合わない瞬間を捉えることができるのです。

このパンケーキレンズに一目惚れ

好きに理屈なんか要りません。ひと目みてズキュンドキュンときたらキメていいのです。約120gの軽快さや、大口径高精度プラスチックモールド非球面レンズによる優れた描写性能やステッピングモーターによるフォーカスの素早さなんかは付き合った後から気が付くご褒美のようなものです。レンズとマリッジの決め手は勢いとフィーリング。

こんな寫眞に戀をする

RF15-30㎜ F4.5-6.3 IS STM

いいですね。こういう描写のレンズが大好きです。恐れることなく光源をファインダーに入れられる頼りになるレンズコーティング。ゴーストやフレアーに強いワイドなレンズはそれだけで写真家の強い味方になります。超広角15ミリから準標準レンズ的画角30ミリまでをカバーするこのズーム1本あれば広大なランドスケープからモチーフに肉薄するドキュメンタリーまでR8と共に幅広く活躍してくれるに違いありません。

【撮影DATA】
シャッター速度:1/80秒/絞り:f22/撮影感度:ISO125/ピクチャースタイル:風景

RF 28㎜ F2.8 STM

なんかいいかも! ……そんなシーンをパチリとスナップできる気安さと、期待に反しない描写力とカメラボディのレスポンス。これが両立してないと思うような写真が撮れずにストレスばかりが積もるのです。そんなもどかしさを微塵も感じずにクリエイティブな映像制作に打ち込めるレンズがこちらのRF 28㎜ F2.8 STM。パンケーキレンズの愛らしさと相反するシャープな切れ味レンズです。感性にリニアに響く小気味良さを体験してくださいEOS R8。

【撮影DATA】
シャッター速度:1/1250秒/絞り:f6.3/撮影感度:ISO100/ピクチャースタイル:オート

キヤノンEOS R8で撮ってみた!

今年の夏はお暑うございました。まだまだ残暑厳しいなか、皆様は健やかなカメラライフをお過ごしでしょうか?

こんな猛暑に耐えながら撮影できるカメラとはいったいどのようなカメラなのでしょう。やはりここは全天候に耐えうる頑丈タフネスフラッグシップ? それとも小型軽量なコンパクトエントリー機種? ……正解は軽くコンパクトなボディにフラッグシップ機並みの高性能を一台に凝縮したカメラなのです! なぜなら重くてかさばる大きなカメラボディに耐えながらこの暑い中うろうろしていると熱中症の危険があります(筆者経験による)。

また、コンパクトだけど機能限定的なエントリー機種でより良い写真を撮るにはとにかくトライ&エラー! で、もたもたしてるうちに熱射病にもなりかねません(筆者経験による)。地球温暖化の今こそ最高機種に準ずる高機能とエントリーモデル並みに小型軽量なEOS R8の出番なのです!

最近はテクノロジーの進化により小でも大を兼ねるようになりました。このEOS R8はボディのみ質量約414g。サイズは幅132.5㎜×86.1㎜というボディサイズ。厚み70㎜とされていますが、これはグリップ部分で本体はずいぶん薄くコンパクトに感じます。で、今一度驚くのがこの重さとサイズでフルサイズフォーマットということ。

ここに初心者向けのAPS‐Cサイズエントリー一眼レフとして一世を風靡したEOS KISSシリーズより2020年発売モデルX10iのサイズ質量を引用いたしますと、幅131×高さ103×奥行76.2㎜で質量471gです。この小さく軽いカメラの代名詞的存在よりもより軽量コンパクトなフルサイズミラーレスR8は、上位機種R6 MarkⅡと同等のAF性能や連写速度を与えられているのです。優れたトラッキングAFは一度とらえた被写体を追尾し続け、被写体認識AFは人物、動物、乗り物とそれぞれの対象を正確に認識。電子先幕シャッターでは6コマ/秒、電子シャッターにおいては40コマ/秒の連写が可能。プリ連写も搭載し「RAWバーストモード」では約30コマ/秒でレリーズ0.5秒前まで遡っての記録が可能なのでシャッターチャンスは逃しません。まさにミニR6 MarkⅡといっても過言ではない動体撮影能力を備えているのであります。

そして搭載したフルサイズCMOSセンサーの約2420万画素の映像は最新エンジンDIGIC Xが素晴らしい高画質に仕上げてくれるのです。ここまでR8はなんの弱点もない完全無欠なミラーレスと感じるでありましょうが、容量がシェイプされているライトなバッテリーだったりメディアスロットがシングルであったり、ボディラインがとってもキュートだったりと荒くれ現場に連れ出すにはちょっとためらう一面もあります。ここでいう荒くれ現場とは雨でずぶ濡れ、レンズのフードが落ちて転がっているなか、気が付けばストロボの基部がもげてリード線1本でぶら下がってるねアハハ! という場合です。撮影としては最低のコンディションですね。

どうかR8はよりクリエイティブでよりロマンチックな撮影に一緒に連れ出しましょう。

レンズは単焦点がいいですね、なによりスマートです。

本日おすすめの1本目はRFレンズとしては初のパンケーキレンズRF28㎜ F2.8 STM。こちらはボディキャップ代わりにカメラに装着して楽しめる質量約120gの超軽量な28ミリ単焦点。大口径高精度なプラスチックモールド非球面レンズを使用したこのコンパクトなレンズは驚くほどシャープな画質を誇っているのでございます。ステッピングモーターによるスムーズなフォーカス駆動により、静止画に良し、動画に強しの楽しいレンズでありますぞ。

個人的にはワイドレンズ好きなのでもう1本推したいレンズはRF15-30㎜ F4.5-6.3 IS STM。フルサイズフォーマット15㎜の超ワイドな画角はぜひ一度味わっていただきたいダイナミックな描写。またズーム30ミリではより自然なパースの描写を楽しめるレンズなのでワイド好き人向けの標準ズームとしてお楽しみいただけたらと存じます。

ここまでワイドレンズ推しておいてなんですが、レンズラインナップ絶賛拡大中のキヤノンRFレンズ群。スポーツや野生動物撮影分野においては益々充実される超望遠レンズにも期待が寄せられますね。これほどまで深く広いとレンズ沼にあらず、もはやレンズ海。

嗚呼、キヤノンレンズオーシャンにR8と漕ぎ出したい!

※本企画の情報、コメントはすべて、機種発売当時のものです。ご了解ください。

  • フォトグラファー。1972年千葉県出身。1999年平凡社動物写真アニマ賞の最年少にして最後の受賞者、撮影テーマは「ニホンザル」。以降、カメラ誌、情報誌、タウン誌、ミリタリー誌など幅広く撮影・執筆。私鉄協会誌「みんてつ」表紙などを長年担当。monoマガジンではこれまで150機種300本を超えるデジタルカメラ、交換レンズをレポート中。甘党下戸。You Tubeの「サバ三ちゃんねる」@sabasan 鋭意更新中!

関連記事一覧