SUVといえばボルボ!?
ボルボXC60に試乗

ブランドのイメージリーダー

モテる要素のない筆者と違い、SUVのモテっぷりは今も健在。加えてそれがスタイリッシュなモデルだと令和の御代においても女性ウケがいいという。

ではスタイリッシュでイヤミに見えず、それでいてミーハーに見えないクルマは、というと北欧のボルボは最有力候補だ。ボルボといえばスェーデンの自動車メーカー、いや世界中の自動車メーカーで高い安全性を持つブランドとして認識されている。

以前当サイトに違いのわかるオトナのクルマとしてフラッグシップモデルのS90に登場願ったが、何といっても今の売れ筋はSUVだ。

そんな中にあってXC60は世界で大ヒット街道を爆進中。この大ヒットの波は世の善良なユーザーにボルボ=SUVというイメージを植えつけたと言っても過言ではあるまいて。

それくらい支持されるクルマはどこがいいのか、XC60を連れ出してその人気の秘密を探ってみた。

東京ー横浜間なら電気でOK

連れ出したXC60はリチャージUltimate T6 AWDプラグインハイブリッド。お値段999万円ナリ。リチャージは外部から充電できるモデルを表すのだが、完全EVかPHEVかの判断がつきかねるため、車名最後にプラグインハイブリッドがつく。

どこぞの料亭の「豪華弁当お新香付」、みたいなモノかもしれない。クルマの装備もドイツ勢をはじめとするライバル車に対して劣らないどころか、充実感も高い。

現行のXC60のデビューは2017年。XC60としては2代目になる。何度かマイナーチェンジを繰り返し、最も最近の仕様改良は2022年7月。この時にプラグインハイブリッド車のバッテリーとモーターが強化され、EVらしさが前面に押し出された。

走り出すとプラグインハイブリッド車らしく、バッテリー残量がある場合はエンジンがかかることはほぼない。つまりモーターメーンで走行する。

その可能走行距離は81kmとマイチェン前よりも大幅に伸びている。81kmといえば東京ー横浜を往復できる距離。

これって片道2、30kmならばエンジンを使うことはないし、出先で充電できる設備があれば往復100km以上はバッテリーのみで走りきれる勘定だ。つまりEVとしてセールス的にEV走行可能というのではなく、実用的なEVとしても魅力。

充電は必要案件……じゃない! ナヌ!?

充電は200V16Aの普通充電に対応し、約4時間半から5時間で満充電になると発表されている。今回の試乗にあたり、懸念は筆者の周りには普通充電できる環境がない!

そこで今回はバッテリーを最大限に使えるよう、ゴー&ストップの多い街中ではオートモード、必然的にエンジンがかかる高速道路ではバッテリーチャージモードを使い分ける作戦を実行。

この作戦が功を奏したかは別として片道200kmくらいの行程では充電の必要に迫られることは一度もなかった。

全速度域で安心安定

試乗車のパワーユニットは235PSを誇る2リッターの直4ターボエンジンにフロント71PS、リア145PSのモーターを搭載する。

カタログ値で2180kgという車重を事前に知ってしまったから、いくらモーター付でも2リッターターボでは、高速の合流はベタ踏みか、と構えたのだが、どうしてどうして。

ゴーストップの頻繁なタウンスピード域から高速道路の120km/h巡行まですこぶるパワフルに走る。特に高速巡航では抜群の安定感を披露してくれ、腰の座ったフィーリングで悠々のドライブだった。

もちろん加速体制に移れば体がシートに吸い込まれる、と表現すると大げさだが強力な加速を体感できる。

その時でもエンジン音は大きくキャビンには入ってこない。そして背の高いSUVながらもフラフラすることなく文字どおり一直線に進んでいくのだ。一言で言うなれば「安心」なのだ。

快適すぎるSUV

快適な乗り心地を提供してくれるXC60のエアサス。あまり書かれていないことだが、このサスペンションはジツは車高が若干変化する。いわゆるスポーツモードに相当するパワーモードでは車高が落ちる。

もともと試乗車はXC60の中でも地上最低高が最も低い200mmなのだけれど。この状態でクネッタ道を行っても不安は感じないのが嬉しい。体感的には乗用車チックなのだ。

そしてオフロードモードにすると車高が上がる。未舗装路などではすごく便利で、オフロードモード ではヒルディセント機能も作動する万能っぷり。

一方、室内は抜群の安定感でシートから離れたくなくなる雰囲気。運転席はボルボ車に共通する自然なドライビングポジションが取れるし、後席足元スペースも広いからどの席でもリラックスできる。

仕様変更では音声でいろいろ操作できるグーグル搭載のインフォテインメントシステムが搭載された。

ライバルブランドのように派手な豪華さを求めずに質の良いものをふんだんに使うボルボはスウェーデンのラゴム精神の塊なのだ。そんなXC60は739万円からの価格設定。

XC60リチャージUltimate T6 AWD プラグインハイブリッド


価格999万円から(2023年モデル)
全長×全幅×全高4710×1915×1660(mm)
エンジン1968cc直列4気筒ターボ
エンジン最高出力253PS/5500rpm
エンジン最大トルク350Nm/2500-5000rpm
モーター最高出力52kW(前)/107kW(後)
モーター最大トルク165Nm(前)/309Nm(後)
WLTCモード燃費14.3km/L

ボルボ
問 ボルボ・カスタマーセンター 0120-55-8500

  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。

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