織本知之のデジカメ紳士論
マイクロフォーサーズ回帰 【ルミックスG9proⅡ】


モノ・マガジン誌の長期連載「織本知之の電子写真機恋愛」がいよいよモノWEBに登場! 最新機種から懐かしのレトロ機種まで、掲載当時の熱量真空パックでお届け。誰もが立ち寄れる「デジタル一眼レフ、ミラーレス一眼情報の道の駅」だぞ!

写真と文/織本知之

LUMIX G9ProⅡ

ルミックス/G9ProⅡ

【野鳥撮影オススメセット】
(G9ProⅡボディ+LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400㎜ F4.0-6.3 II ASPH. POWER O.I.S.+テレコンバーター DMW-TC20Aのセット)価格49万4670円

【G9ProⅡボディ】
価格オープン(実勢23万円前後)

こんなトコロに戀をする!

こんなレンズで引き寄せたい

離れた被写体をグッと引き寄せることができる換算200㎜~800㎜をカバーする超望遠ズームレンズ。鳥などの野生動物、スポーツ等々では強力な威力を発揮する頼りになるレンズです。2倍テレコンバーター(DMW-TC20A)をセットすれば1600㎜ものロングレンジ撮影が可能になる異次元の超望遠ズームです。驚くのは約985gの軽量コンパクトさ。マイクロフォーサーズにだけ許された軽快な超望遠撮影を体験くださいませ。

完成された操作性

ルミックスのフルサイズ機種S5Ⅱと同様のインターフェースを備えたG9proⅡ。違いはマウント周りのサイズとペンタ部の冷却用の吸気排気スリットの有無くらい。一度使うと忘れることのない直感的で優れた操作性能は数値で表せない信頼感。シャッターボタン上のホワイトバランス、ISO、露出補正ボタンはただ並べたように見えてこれが一番迷わない戸惑わない最良配置ということが撮って握って実感できます。

ライカレンズから始めたい

LEICA DG SUMMILUX 15㎜/F1.7 ASPHは換算30㎜相当の画角がスナップ風景日常撮影にぴったり。広すぎず狭すぎない上品な画角、F1.7の開放値を活かし、室内やローライト時でも活躍。ライカの厳しい光学基準をクリアし、フレアやゴーストを低減するナノサーフェイスコーティング、非球面レンズ3枚で絞り開放から安心して撮影できるシャープさとボケを両立した1本です。

こんな寫眞に戀をする

LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400㎜ F4.0-6.3 II ASPH. POWER O.I.S/価格22万円

35㎜判換算で200-800㎜相当の画角が得られる超望遠ズームレンズ。非球面EDレンズ1枚、EDレンズ2枚、UEDレンズ1枚を採用し高解像と高コントラストな描写力でライカの厳しい光学基準をクリアしている。ズーム全域で素晴らしい描写を実現したにも関わらず、小型軽量でフィールドで扱いやすい超望遠レンズに仕上がった。「野鳥撮影オススメセット」ではさらに2倍テレコンバーター「DMW-TC20A」を組み合わせ、焦点距離を2倍の最大1600ミリ相当の超々望遠撮影もOK。

【撮影DATA】
シャッター速度:1/1600秒/絞り:f7.1/撮影感度:ISO800/フォトスタイル:スタンダード

LEICA DG SUMMILUX 15㎜ F1.7 ASPH. /価格7万7000円

この小型な15㎜レンズとがっしりした頑丈なボディをもつG9proⅡの組み合わせではカメラを握った手元に重心バランスがくるのでものすごく軽快にスナップできます。高倍率ズームなどの便利レンズはそのカバー範囲が魅力ですが反応速度がイマイチ。その点、出来の良い単焦点レンズの素早くリニアな反応は撮っていてとても気持ち良いものであります。描写のほうですか? もちろんピント、ボケともにカンペキ。

【撮影DATA】
シャッター速度:1/2000秒/絞り:f1.7/撮影感度:ISO200/フォトスタイル:ポートレート

ルミックスG9ProⅡで撮ってみた!

2023年暮れ、一部カメラ界隈がSNS上でザワザワしたデジカメセンサーサイズ論争。どえらく大きなお世話を日K……いえ忘れましょう、そして前へ進むのです。争いよ、さようなら。

そもそも我々カメラファンはデジタル時代の各種フォーマットにシーンごとにカメラ買う言い訳できたじゃん! と歓喜したものです。 

そんな不毛なフォーマット論争を尻目に本日はマイクロフォーサーズマウントから静止画画質と動画撮影能力をブラッシュアップし、クラスを超える描写を実現したルミックスG9proⅡをご紹介!

新開発2521万画素Live MOSセンサーを搭載し、ヴィーナスエンジンは最新世代を積み込んでシリーズ初の像面位相差AF+コントラストAF+空間認識AFのAF大盛り大盤振る舞いでピントはどこでも合います合わせますという気概満々。測距点は像面位相差AFで779点、コントラストAFで315点と幅広いエリアをカバー。被写体認識AFは人物、動物に車やバイクが加わり、人物動物は瞳もキャッチ。ボディ内の手ブレ補正は、最大でシャッター速度8段分の補正効果。広角レンズでワキヒジ締めて息止めれば秒単位での露光が可能になり撮影の幅が広がりました。三脚要らずとは立場上言えませんので察して。

チャンスに強いといえばSHプリ連写、これはシャッターを押し込んだ瞬間から最大1.5秒まで遡って記録しますので多少どんくさくてもチャンスは逃しませぬ。フォーカス固定で約75コマ/秒、AF追従で約60コマ/秒、RAW+JEPGでも最大200コマのバッファ容量も確保してありますのでどうぞ存分に連写くださいませ。

ボディは兄貴格フルサイズモデルのS5Ⅱとほぼ同じボディ筐体を採用しサイズも幅約134㎜、高さ約102㎜と同一。センサーの違いで質量は575gと約80gほど軽くなっていますがほとんど一緒。S5Ⅱと同じとてもコントロールしやすい操作性能が素晴らしく、直感的に操作できるジョイスティック、シャッターボタン手前にはホワイトバランス、ISO感度、露出補正のボタンが配置され、ファインダーから目を離さず素早く操作できるデザインが僕は好き、大好き。

背面モニターは3.0型で約184万ドットのフリーアングルタイプ、EVFは高精細な約368万ドットの有機ELディスプレイを採用。動作環境も-10℃から40℃までOK、シャッター耐久は約20万回と頑丈さも流石はパナソニック。職業写真家が一番気にするメモリーカードスロットはSDXC/SDHC/SD対応のダブルスロットですのでどうかご安心ください。

さて、このG9proⅡにメーカー公式通販サイトからおススメの「野鳥撮影オススメセット」を私もおすすめ。ボディに「LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400㎜ F4.0-6.3 II ASPH. POWER O.I.S.」と2倍テレコンバーター 「DMW-TC20A」をセット販売し最大で1600ミリ相当の超超望遠撮影を可能にしたセットです。35㎜換算1600ミリ相当って……大半のプロカメラマンでも未知の領域。距離や露出以外に「気温と湿度による大気の揺らぎ」も考慮しないといけない焦点距離であります。野球場の真反対側からバッター撮るのに800ミリあれば充分なのにその倍の焦点距離がぶっささるヒトにはぶっささるレンズです。それでいて約985gのレンズ質量。この軽快超望遠セットでフィールドを駆け巡るのはさぞ楽しいと思いますぞ。

超望遠撮影にはロマンを感じるが、日常を描写できる素直なレンズが気になるな……という方には善意の上澄みのような正統派レンズ「LEICA DG SUMMILUX 15㎜ F1.7 ASPH.」はいかがでしょうか? ピント面のシャープさとアウトフォーカスの柔らかさを活かした撮影が楽しめる標準よりやや広角、広すぎない画角と充分なボケ味が心地よいライカの光学基準「SUMMILUX(ズミルックス)」をクリアしたF1.7の換算30ミリのレンズです。アルミ削り出しのリング、金属外装の高品位な質感が心地よい小型単焦点レンズは1本あると写真生活の質が豊かになります。

そして当方スチールカメラマンゆえ動画性能の充実ぶりを言及するに至りませんでしたが、ソッチ方面も相当な出来栄えであると聞いております。さすがGシリーズフラッグシップ!

※本企画の情報、コメントはすべて、機種発売当時のものです。ご了解ください。

  • フォトグラファー。1972年千葉県出身。1999年平凡社動物写真アニマ賞の最年少にして最後の受賞者、撮影テーマは「ニホンザル」。以降、カメラ誌、情報誌、タウン誌、ミリタリー誌など幅広く撮影・執筆。私鉄協会誌「みんてつ」表紙などを長年担当。monoマガジンではこれまで150機種300本を超えるデジタルカメラ、交換レンズをレポート中。甘党下戸。You Tubeの「サバ三ちゃんねる」@sabasan 鋭意更新中!

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