ジャパンモビリティショーを見てきたゾ!!

モーターじゃないのモビリティ

1975年の第21回大会より隔年に開催されるようになった東京モーターショー。開催予定だった2021年は世界的なコロナ禍の影響で中止に。そして2023年、ネーミングも新たに「ジャパンモビリティショー」として再出発。

モビリティの枠を超えて他産業やスタートアップなど新しい仲間も参加しての開催になった。今までの乗用車や商用車をメーンとした展示から大きく変わった今回のショー、独断と偏見で一部の注目車種とイベントをご紹介なのだ。

「クルマ屋」のコンセプトカー

現トヨタ自動車の佐藤社長が「クルマ屋らしいバッテリーEVをつくる」とコメントし、発表されたのがFT-Se。完全BEVのスポーツカーで、モーターを前後に搭載するツインモーターのAWDモデル。

BEVといえば生粋の自動車メーカー以外の参入も多く発表されているが、FT-Seは佐藤社長の「クルマ屋」としての矜持を感じるモノだ。「今までにない低重心と広い空間を両立するクルマをつくること。

そのためには、基本コンポーネントを徹底的に小型化、軽量化し、それを最適なパッケージングにつなげていく「クルマ屋の力」が必要です」と佐藤氏は続けた。

そしてもう一台注目したいのは近未来のワーキングビークルとしても期待できそうなBEV、KAYOIBAKO(カヨイバコ)だ。個人で使う場合は趣味趣向に応じたカスタマイズで自分スペシャルに仕上げることも楽しそうだ。

この箱っぽいクルマは先行画像の公開時には「bB+CONCEPT」とあったクルマ。bBは若人(死語?)がバンをカスタマイズして乗り回すアメリカの文化を具現化し、大ヒットモデルになった。未来のbBはより幅の広いカスタマイズを可能にしているのだ。

こんなクルマも!

日産、三菱のブースではご長寿モデルの次期型コンセプトカーが展示。エルグランド、デリカといえば両メーカーの個性派1BOXだ。現行モデルがデビューして10年以上経過するクルマだが、今回のショーではいよいよコンセプトモデルとはいえ、次期型のスタディモデルと目されるモデルが発表された。

日産のハイパーツアラーはEVの滑らかな走りと力強さをより高めるため、アリア譲りの電動駆動4輪制御技術、E-4ORCE搭載するミニバン。コンセプトモデルはヘッドレストに搭載したバイオセンシング付AI機能が乗員の脳波や心拍数などから気分を判断、空調や照明を自動調整するというおもてなしの心満載で滝川クリステル嬢もうっとり間違いなしなのだ。

そして三菱からは近未来のデリカをイメージした「D:X Concept」が初公開。現行モデルでも採用されるリブボーンフレームをさらに強化し、大空間のキャビンと高い安全性を両立。気になるパワートレーンはプラグインハイブリッドシステムで、駆動方式は4WD。パワートレーンなど現実味があるコンセプトモデルでブランドとしてもデリカの次期型を強くアピールしていると思う1台。

クルマはいいモノだよ

ひときわ目を引く鮮やかなヴィオラレッドのコンパクトクーペはマツダのアイコニックSPだ。このモデルにはマツダらしさが濃縮一番絞り状態で、初代ロードスターの赤をイメージさせるボディカラーに意気込みを感じるモノ。

そしてメカニズムはマツダの真髄、ロータリーエンジン搭載……なのだがジツはこれは発電用に搭載される。MX-30と同じと言わないように。こちらは2ローターなのだ!

そしてホンダも40代以上に刺さるコンセプトカーがあった。それはプレリュードコンセプトにサステナCコンセプトだ。ご丁寧に後者はモトコンポの再来ともいうべきポケットコンセプトも合わせて展示。

また現世利益的なモデルとして注目したいのは、BYDの上位ブランド、「仰望(ヤンワン)」の高級SUV、U8。これは全長5mを超える堂々とした体躯の持ち主。さらに3.5tと重量級ながらも4モーターシステムで最高出力1100PS以上を誇り、0-100km/hの加速は3.6秒と驚異的。このモデルに注目したい理由はふたつある。

ひとつは4モーターシステムを駆使し、その場で360度の回転が可能。船舶でいうところの「その場回転法」を陸でやってのけるのだ。もうひとつはちょっとした水上も走行可能という点。水深1.5mまでは普通に走行し、それより深くなるとボディが浮いて進むという。

水に浮く、ということならば日本のベンチャー企業も負けてはいない。FOMMが発売中の軽自動車規格のEV、ONEも水に浮くことができる。

motorならぬmeatも

今回のショーの目玉はクルマ以外にもあるのだ。Japan Meat Show(以下ミートショー)も同時開幕。これはグルメ総合プロデューサー「フォーリンデブはっしー」氏の声がけで実現した日本を代表する肉14店舗が集結。

筆者、会場を渦巻く香りに負け、タン焼肉専門店、タンだけ神田店のとろけるネギタン塩をこっそりつまみ食い。これが肉のうまさだけでなく、オリジナルのタレと相まって「まいうー」で、その後の仕事がなければぜひビールを、的なうまさだった。このミートショーのサブエリアではご当地グルメやワールドグルメもあり、クルマの知識欲だけなく、食欲も満たされるのだ。

エンタメも楽しい!

モビリティショー期間中はエンタメも充実した。どこがモビリティなんじゃい、と言われそうだがこのステージ会場の電源は、すべて水素を活用した研究機関や企業と連携しまかなっているのだ。

屋外会場ではモータースポーツ車両によるデモランが行われ、クルマをメーンとした濃いイベントになっていた。他にも魅力的なブースやイベントが盛りだくさんで次回のモビリティショーも期待度100%なのだ。

ジャパンモビリティショー

  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。

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