特撮ばんざい! 第9回:本誌「ウルトラセブン大特集」発行記念 平成ウルトラセブン対談―完全版―後編


●クランクアップとイベント

――ご自分のラストシーン、クランクアップした撮影は覚えていらっしゃいますか?

鵜川 私はグリーンバックでグルグル回りました。

山﨑 ロケの最後は覚えてないなあ。スタジオは、日活で撮影があったのは覚えてる。

鵜川 ウルトラホークの操縦席とかあったよね。でも、自分は終わっても他の人は続いていたから、「終わりです」って感じがないんですよね。

山﨑 俺はよく、現場で最後ひとりだったんだけど、すげえ寂しかった。

鵜川 そう、いっつも一番最後、一人ぼっちで撮ってたよね(笑)。

山﨑 みんなみんな、帰っていくんだよね。でも、あの寂しい気持ちも、作品によかったんだと思うんだよ。

鵜川 「じゃあね!お疲れ!よいお年を!」とか言って(笑)。

最後のほう、ずっと言ってたよね。「俺だけ、ウルトラ警備隊に外れて寂しい、寂しい」って。

でも「私みたいに死ぬよりいいだろう!」って(笑)。


山﨑 確かに(笑)。

鵜川 私がよく覚えてるのは、最後が合成用のグリーンバックだったんだけど、サトミがグルグル回ってね。

山﨑 円盤竜ナースのところね。

鵜川 そうそう、ナースの中に吸い込まれていくシーンを撮るんだけど、あれは妙な台の上に、制服着て、自分で体育座りして、クルクル回されるんですよ。

それで終わったの。

――球体のようなものに入った、宇宙空間のシーンですね。

鵜川 私、動かないでクルクルクルクル~~って。知ってる?

山﨑 見てた。俺いたもん。商品紹介みたいだった。

それで「はい! おつかれさま~」って(笑)。

――イベントも多かったと思いますが、記憶に残るものはありますか?

鵜川 奈良ドリ(奈良ドリームランド)とか、九州の三井グリーンランドとか行きました。

山﨑 ああ、奈良ドリね。九州も覚えてる。

鵜川 握手会で並んでもらったり、写真も撮ったりも、いっぱいあったよね。三井グリーンランド(現:グリーンランド)は山﨑くんとは一緒に行ってないんだよね。

山﨑 うん。俺はルミ(ホンジョウ・ルミ隊員役のあだち理絵子)と行った。

鵜川 それぞれたまに組み合わせが違ったりするんです。

――三井グリーンランドは、当時は同じ敷地にウルトラマンランドがありました。

鵜川 そうそう、ウルトラマンランド。

山﨑 メリーゴーラウンドのウルトラマンバージョンがあってね。

鵜川 あとコイン入れると、ペーペーポーポーみたいな音が出て走る、ゴーカートみたいな。

山﨑 はいはい、よくパンダのとかあるやつ。

鵜川 ウルトラ警備隊のコスチュームであれに乗りました。お客さんに珍しがられて、写真もすごく撮られました(笑)。ちゃんとセブンをチョイスしましたよ。

山﨑 三井のとき、プロジェクションマッピングのはしりみたいに、照明がすげえカッコよかったのが印象強いよ。

鵜川 最近、ファンの人に聞いたんですけど、大人のファンの意味で「大きいお友達」って言い方があるじゃないですか。あの言葉を最初に使ったのが、三井グリーンランドのショーをやった時の私じゃないかって(笑)。

山﨑 えーっ!? でも、確かに言ってた言ってた。

鵜川 もしかして発祥の地? 私が大きいお友達発祥の地?! やった!(笑)

――ショーではマイクで話すこともあったんですか。

鵜川 そうなんです。私けっこうMC的なことをやっていました。なんだか、私たちの時って「やれる人間がやる」みたいなことが、けっこうあったんです。

MCさんもいるんだけど、隊員の私たちも「みんな声出してーー!」「セブンを応援しよう!」とか合いの手を入れてたんですよ。そこで言ったのは覚えてます。

山﨑 いやー、もしかしたら、ホントに発祥の地だよ!
……地???(笑)

鵜川 地?!(笑)

●“平成ウルトラセブン”は今がスタート!

――山﨑さんはアニメ『ULTRAMAN』にモーションアクターとして出演なさっていたり、鵜川さんはセブン55周年でのメディア出演も多く、ウルトラマンとの関係は今も続いていると思いますが、あらためて25年経って『ウルトラセブン』はじめウルトラマンというのはどんな存在になっているか是非お聞かせください。

鵜川 私は、ウルトラマンについてほとんど何も知らないままで入ってきたんです。

でも25年も関わってくると、それなりに詳しくなってくるし、最初わからなかったお話とかが、時間が経つにつれて分かってくる。『ウルトラセブン』っていう世界も、それなりに分かってきたつもりです。

神澤監督と話すと、今でもあそこはもっとこうすれば良かったっておっしゃるんですね。ウルトラマンに関わったみんなが、そうやっていろんなことを考えながら作り上げてきたんだな、ということも分かってきました。

平成ウルトラセブンに関わってきた私の記憶というのは、私だけのものなので、それを発信していかないと無くなっちゃうじゃないですか。だから、私の知っていることは、これからもイベントなどで発信していきたいなと思います。

平成ウルトラセブンは、今がスタートだと思うんです。

最初はビデオリリースで、見るだけでもハードル高かったじゃないですか。

かつては一握りの人しか見られなかったものが、サブスク(TSUBURAYA IMAGINATION)でみんなが見られるようになって、オメガファイルじゃないけど、やっと世界に向けて開示されたんです。

だから、今年は平成セブンの新たな一歩だと思っています。

――山﨑さんはいかがでしょうか?

山﨑 え――っと……、まったく一緒です(笑)。

鵜川 ずるいよ(笑)。

山﨑 でもたしかに今までは、見せたくても見せられないというもどかしさは凄くあったんです。

正直、見られないと言う人に、自分の持っているビデオを貸したこともあるんですよ。

それが、今はサブスクで見られるようになったというのは嬉しいですよね。

それに、最近は平成セブンを先に知ったっていう世代の方がいらっしゃるんですよね。

平成セブンでウルトラセブンを知って、そこから昔の作品を知ったというパターンもあるっていうのは、すごいなと思います。

こんなに幅広い世代のファン層の人たちに愛される作品って、無いんじゃないかなって思います。

モーションアクターとして出演したアニメ『ULTRAMAN』でも、ウルトラマンを好きだった人たちが大きくなって関わっているんですよね。本当に、ウルトラマンって回っている、繋がっているんだな、と。

そういう作品に関われたことで、歴史に名前が刻まれたのかなと、嬉しく思いますし、責任も感じますね。

鵜川 他の作品は無くなっていっても、ウルトラマンって絶対消えないですよね。

私たちがいなくなっても、作品はずっと未来まで残っていく。

そういう作品に出られたことって、やっぱりすごいことなんだと思います。

(了)

写真撮影でも息ピッタリ。ウルトラセブンを示すウルトラサインがデザインされたTシャツなど、山﨑さんは全身セブンアイテムで現れた。鵜川さんもセブンを思わせる赤いニットに、アイスラッガーをかたどったペンダントがキラリ。ふたりともさすが!

山﨑勝之(やまざき・かつゆき) 
1976年群馬県出身。1998年に“平成ウルトラセブン”のカザモリ・マサキ隊員役で俳優デビュー。数々の映画やドラマ出演のほか、ゲームやアニメのモーションアクターとしても活躍し、アニメ『ULTRAMAN』(2019年~)では主役の早田進次郎を演じている。

鵜川薫(うかわ・かおる) 
1975年東京都出身。10代からアイドル、女優として活動し、“平成ウルトラセブン”シリーズのハヤカワ・サトミ隊員役でファン層を広げた。人形特撮番組『ゴジラアイランド』のレギュラー出演も。近年はウルトラセブン関連イベントや特撮イベントでも活躍している。

【聞き手・構成】
タカハシヒョウリ 
ミュージシャン、作家。ロックバンド「オワリカラ」のボーカル・ギターとして活動。特撮、映画、漫画、ゲームなどサブカルチャーに造詣が深く、特撮音楽をバンドで表現する「科楽特奏隊」も結成している。現在、TSUBURAYA IMAGINATIONで『タカハシヒョウリ のTSUBURAYA DIVE』を連載中。

聞き手のタカハシヒョウリ氏と、キリッと敬礼スリーショット!

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