鵜川 薫×山﨑勝之
テレビスペシャルを切っ掛けに、オリジナルビデオシリーズ3シーズンの大河シリーズに発展し、新たな宇宙人と地球人の物語を築いた平成ウルトラセブン。
シリーズ完結から20年。カザモリ・マサキ隊員とハヤカワ・サトミ隊員が帰ってきた! 大好評発売中の本誌11ー16号『史上最大のウルトラセブン大特集』掲載のスペシャル対談ノーカット版を大公開。
平成ウルトラ警備隊の秘話と本音が炸裂する痛快トーク、ここにファイナル!
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平成ウルトラセブンとは?
●超能力を使うシーンは夢だった!
――お二人それぞれ、印象に残っているシーンをお聞きできますか?
鵜川 私は、すごい好きなシーンがあって、最終章6部作最終話のアクションシーンなんです。
カザモリ救出作戦で通路での一連の銃撃戦があって、カメラを振ると下の階にいる古賀くんが写るところまで、全部ワンカットなんですよ。
弾着もあるし、本番は一回しかできない。
動きも複雑で、タイミングも合わせないといけないんですけど、一発OKだったんです。
何か自信につながった、印象的なシーンですね。
山﨑 あ――、すごい鮮明に思い出した。よくやったね。
そういえば、リハの時は銃を撃つとき時に口で「バン!」って言うんですよね。
鵜川 それで一回、シマ隊員役の正岡さんが本番でも「バーン!」って言っちゃったことがあったの(笑)。
最初、誰も気づかなくて、「はいOK!」ってなって。「あれ? 俺、今、言っちゃったな」って。
山﨑 あれ、どアップのシーンでもやってなかった?
鵜川 あー、あった! じゃあ2回やってるんだ(笑)。
山﨑 やっちゃうのわかるよ。直前のリハまで「バンバン!」って言ってるんだもの(笑)。
鵜川 あと印象的なことと言えば、「はるかなはるかな星の物語」で使う原稿の文字を書いたことですね。
最初は助監さんが書いたんですけど、「鵜川は字が綺麗だから、ちょっと書いてきてよ」って言われて。ペンも原稿用紙も指定されて渡されて、休みの間に書いて持っていったんです。
そしたら、原稿用紙が間違っていたというので、もう一度書き直しました。
――サトミが火炎放射器をぶっ放すシーンも印象的ですね。
鵜川 ボラジョ(1999最終章6部作・第3話)のときでしょ?
山﨑 高性能火炎放射器ストラグル7000!
鵜川 あれは、本当に重いんですけど、「重く見えないように走れ!」って言われて(笑)。
「どいてどいて!」のセリフも、もっとドスをきかせてって。
でもあのシーンは妙に人気があって、ファンの方にも良く言われますね。
――ちなみに、鵜川さんはポインター運転のために免許を取ったんですよね?
鵜川 3部作の時にも運転するっていうシーンがあったのに、私は免許持っていなかったので、出来なかったんです。それで6部作をやることが決まって、免許を取ることになったんですけど、決まった時には、クランクインまで2ヶ月しか無かったんですよ! でも3部作では出来なかったから悔しいと思って、教習予約を入れられる時間に全部入れて、なんとか取りました。
だから、免許取って初めて運転したのもポインターだし、あれから運転してないのでポインターしか乗ったことが無いです(笑)。
――ポインター専用免許みたいになってるんですね(笑)。山﨑さんは、お好きなシーンはありますか?
山﨑 たくさんあるんですけど、EVOLUTION5部作で超能力を使うシーンはめちゃめちゃ嬉しかったですね。これは、夢だよね。
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●実力派、個性派との共演
山﨑 あとは、後半にいくにつれてシラガネ隊長(演:南条弘二)と絡むことが多くなっていくんですけど、大人のお芝居をぶつけ合ってる部分が、役者として本当にめちゃめちゃ面白かったですね。
――隊長の奥さんが亡くなっている、という過去が分かるエピソード『パーフェクト・ワールド』も印象的ですね。
鵜川 スタッフの皆さんが、あのワンカットで泣いてたっていうのを聞きました。
南条さんは、本当に渋いですよね。でも、私たちも、あの頃の隊長の年齢になっているのよね。
山﨑 でも、全然隊長じゃないよね(笑)。
――他にも、カザモリが屋台で酔っ払ってクダを巻いてるシーンも印象的です。
山﨑 あれは僕、初めて酔っ払ったメイクをしましたね。でも、ああいう風に飲んでいるのは日常でしたけど(笑)。
鵜川 あのシーンでは、「飲み屋のお客さんとして後ろ姿だけ出ない?」って言われたんですよね。帰りましたけど(笑)。
――カザモリは、シリアスなシーンが多い分、コミカルなシーンは楽しそうに演じられていますね。
山﨑 そういうとこで、はっちゃけてるというか、もう楽しくてしょうがないですね。
だって、みんなずるいんですよ。正岡さんの豆腐のシーンとか。古賀さんなんか、カザモリが帰ってくるシーンで、椅子に膝乗っけてクルクルまわってるんだもん。知性派隊員の設定だけど、ぜんぜん知性派じゃない!(笑)
鵜川 寒いロケで、山﨑くんが鼻水垂れてることもあったよね。
山﨑 垂らしてないよ。それはイメージに関わるよ(笑)。でも出そうなことはあった(笑)。花粉症だから。
鵜川 真冬だよ! 花粉飛んでないでしょ(笑)。でも本当に寒かった。山﨑くんの後頭部ナメのシーンで、「鼻水が……」って思いつつ、寒さにも耐えて、よくやれたなって思う(笑)。
山﨑 それは立派だよ。
鵜川 寒いといえば、山﨑くんがダウンジャケット買って、「買っちゃった~買っちゃった~」って喜んでいたら、(”EVOLUTION”5部作でキサラギ・ユキ隊員役の)勝村美香さんが焦がしちゃった。
山﨑 グラウンドコートね。あれは着ていいよって言ってたの。いないときは着ていいよって。でも寒過ぎてガンガン(撮影現場で暖を取る一斗缶の焚火)に近づき過ぎて、火の粉が、ちょっと飛んだんろうね(笑)。
穴が開いた日は、俺いなかったんだよ。翌日行ったら、みんな妙に親切で、気持ち悪いの。
「ははぁ、なんかやったな……」って思ったら、案の定(笑)。
――個性派のゲストでは、赤星昇一郎(1999最終章6部作・第2話「空飛ぶ大鉄塊」キュルウ星人役)さんとの共演もありましたね。
鵜川 面白い方なんですよ。洞窟の中で二人きりのシーンだったので、いろんな話をしてくださったし、ベテランの方なのに、こちらがプレッシャーを感じるようなこともなく、淡々としてらして、素敵な方だなって。
それに辺見のおじさんという役柄とよく合っていて、ああいう優しい気持ちを本当に持ってらっしゃるのが、とても表れてる方でした。
山﨑 僕は憧れです。控室とかでも優しく話してくれて、「役者ってこうだ!」みたいな雰囲気をお持ちで、本当にプライベートまで話してもらって。
「俺はネクタイをしたくないから、この世界に入ったんだ」
「そうなんですか! でも、僕は今度、友人の結婚式でネクタイします」って言ったら、「俺は結婚式にも、ネクタイしていかないよ」っておっしゃって。
ああ、カッコいいって。で、本当に僕もネクタイなしで、結婚式に行ったんですよ。そしたら、メチャクチャ恥ずかしい思いをしました。
はい、以上です!(笑)
鵜川 何それ?(笑)
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