〜駐日スペイン大使館デザイン展示会 “Substance – the power of the essential”〜 サステナブルなスペインのデザイン

情熱の国「スペイン」は、世界的な画家ピカソや建築家ガウディを生み出してきた、芸術の国として有名だ。芸術はもちろん、デザインにも力を入れており、建築やインテリア分野で注目を集めている。

そんな中昨年12月に、駐日スペイン大使館にて、スペイン貿易投資庁ICEXおよび駐日スペイン大使館主催のインテリアや建築分野の展示会が開催された。

開催を記念して、オープニングに登壇し挨拶をしたスペイン大使館経済商務部のゴンサロ・ラモス経済商務参事官。

「スペインの様々なプロダクトが披露される場として、新たなビジネスチャンスが創出されることを期待しています」と語る、ゴンサロ・ラモス経済商務参事官。

展示会では、「Substance」という言葉をコンセプトに、家具やインテリアファブリック、セラミックタイルに建築資材など、クリエイティブなスペインインテリアが紹介され、プロダクトの魅力を展示空間によって引き出すことを試み、スペインのデザインと日本のデザインが出会う、新たな機会を創出。

今回の展示のキュレーターを務める「シオアリトルデザイン」は、日建設計に16年勤めた塩島康弘氏とデザイナーのMIHO氏からなる、多領域越境デザインユニット。

建築、スペース、インテリア、プロダクト、3DCG、フォトグラフなど多分野に活動の起点を持ち、2025年4月設立と間もないながらも多くのコラボレーションを通じて、新たな価値を生み出し、活躍をし始めている新進気鋭のデザイナーだ。

展示会では、日本におけるオフィスの非ワークスペースと、スペインからみる日本の伝統技法への学び、働き方と手仕事をテーマにした、2つのセミナーが開催された。

1日目のセミナーでは、変容し続ける日本のオフィスワークについて、スペインのシエスタ習慣や働き方などを、空間デザインの視点から多角的に考察。

「展示会では、光と影を使って、スペインのセンスが宿るプロダクトが主役になるような空間を演出しました。自然の目線の先に美しい作品が映ることでしょう」と語る、シオアリトルデザインのデザイナーであり代表取締役社長を務める塩島康弘氏。

オカモトヤ

オフィスの物件調査・レイアウト・移転計画などを手がけ、第37回日経ニューオフィス賞を受賞した「オカモトヤ」の代表取締役社長の鈴木美樹子氏が、これからのワークスペースの価値を考える、パネルディスカッションを実施した。

オカモトヤが手がける「ライブオフィス」は「Palette(パレット)」は、セルフメンテナンスブースを備える、画期的なプライベートオフィス空間だ。これからの未来、こうした個人を尊重した働き方が注目されるだろう。

kenma

スペインのシエスタ文化や時間のあり方をヒントに、これからのワークスペースの価値を、企業の新たなシンボルとなる “フラッグシップ” を開発するビジネスデザイン会社「kenma」のビジネスデザイナーと代表取締役社長を務める今井裕平氏によって示された。

「Japanese office design + “siesta” = non-workspace ?」と題し、働き方が多様化する今、日本のオフィスに “働かない場所(非ワークスペース)” がなぜ必要とされているのかを話し合った。

また人をコミュニケーションの中心に据える「個人」が、未来の社会に重要な要素になると示された。

会場では、“Substance – the power of the essential”をテーマに、スペインと日本の美意識が交差する作品が展示された。

Aquaclean

水だけで汚れを落とすことができる革新的な生地「Aquaclean(アクアクリーン)」。『環境や人間に100%無害で便利な生地』としてスペインで生まれたものだ。

この生地を使えば、洗剤や化学薬品を使わずに、水だけで一般的な汚れを落とすことができるため、リビングのソファやラグなどのマテリアルとして、採用されている。

Crevin

スペイン・バルセロナ近郊のテラッサで生まれたプレミアムテキスタイルブランド「Crevin」。

持続可能性とデザインを重視し、住宅や商業施設、アウトドアにも調和するテキスタイルを世界60か国以上に届けている。

150年を超えるテラッサの織物製造の伝統と先進技術を融合させ、長く愛される、クッションなどのインテリア製品を展開している。

RS BARCELONA

1975年に、バルセロナの小さな金属工房から始まったブランド「RS BARCELONA」は、それまでになかったデザインのフットボールテーブルや、オフィス、ダイニングで使用できる卓球台、エレガントなビリヤード台など、美しく遊び心のあるオリジナルプロダクトを作り続けている。

好きなものに囲まれた心地よい時間、楽しみながら生きることを提案し、その場に自然と人が集い、笑顔が生まれる、そんなユニークなインテリア製品を多く手がける。

MOREL

「MOREL(モレル)」は、スペインのバレンシア州アルクディアに拠点を置く、貴金属を用いたアート作品や彫刻の制作、修復を専門とする工房。

一貫したスペイン生産にこだわり、デザインから施工までを手がける。照明、家具、ショーウインドウ、特別なサイン(案内表示)に至るまで、唯一無二の作品を製作している。

BATHCO

スペインならではの素材を採用した、有名メーカー「BATHCO(バスコ)」の手洗器シリーズ。多くの素材とデザインバリエーションがあるのが特徴で、芸術性の高い、美しいハンドメイド製品が多く揃う。

LZF

「LZF(ルシフェル)」は、1994年にスペイン・バレンシアで設立された、照明専門ブランド。

特許技術「Timberlite™」による、木目の美しさを活かしたしなやかで温かみのある光が特徴で、職人の手仕事と環境配慮を重視し、国際的に高く評価されている。

代名詞と言えるのが、木製のシェード。天然のべニアを特許技術「ティンバーライト」で加工して、柔軟性と耐久性を兼ね備え、熟練したデザイナーの手作業により、伝統的な工芸品とも称される、美しい独自の照明を製造している。

さらに、「〜職人との出会い:日本の手仕事を巡る旅〜」と題して、機能性と美しさを追求し続ける、スペイン人デザイナーのアンドレウ・カルーヤ(Andreu Carulla)氏がイノベーションやサステナビリティとも結びつく、新しい手仕事の魅力を考えるセミナーを開催。

アンドレウ・カルーヤ氏は、伝統的な日本の職人文化に魅せられ、各地をめぐって出会った手仕事の世界を紹介。

素材、技術、受け継がれる技法の背景にあるストーリーを、“外側の視点” だからこそ見える切り口で語った。

21年間にわたり、機能性と美しさを追求し続ける、アンドレウ・カルーヤ氏。スペイン国内外で高い評価を得るインダストリアルデザイナーで、アンドレウ・カルーヤ氏は、「クラフトマンシップ」「サステナビリティ」「イノベーション」「スペインの文化的遺産」を基軸に独自のデザインアプローチを展開してきた。

この10年間に数多くのアワードを受賞し、MUJI(Idée)、BBVA、The Macallan といった世界的ブランドとの協働実績を持つ。

会場にずらりと並ぶのは、アンドレウ・カルーヤ氏の手によって生まれ変わった、世界中の貴重な手仕事の数々。「日本を含め、世界中の伝統的な職人技を、現代に甦らせるプロジェクトを、これからも手掛けていきたい」と語る、アンドレウ・カルーヤ氏。その根底には、常にサステナブルな精神が根付いているという。

スペインと日本は、異なる文化圏にありながらも、社会性や美意識、精神性に共通点があり、未来におけるビジョンを共有している。

そのため、環境に配慮した、スペインの美意識が宿る手仕事の数々は、これからの “サステナブルな社会” を語る上で、欠かすことができない。

自然や伝統から技術を学び、素材の質感を尊ぶ姿勢を持ち、日常に宿る美しさや豊かさを、デザインの世界に昇華させるクリエイティビティは、常に新たな時代を切り開く原動力に繋がるだろう。これからも、独自のセンスとウィットに富んだ、スペインのデザインに注目してほしい。

スペイン大使館経済商務部-ICEX

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