千年コメッツ復活! 今年35年の眠りから覚めたロックバンド「千年コメッツ」の最新取材記事、シメの3回目は、担当ディレクター吉田晴彦さんへのQ&Aだ!(全3回の第3回目)


千年コメッツ復活! 今年35年の眠りから覚めたロックバンド「千年コメッツ」の最新取材記事、シメの3回目は、担当ディレクター吉田晴彦さんへのQ&Aだ!

文/モノ・マガジン編集部

第1回第2回とお届けしてきた祝・千年コメッツ復活特集もいよいよフィナーレ。3回目の本稿では、千年コメッツを生み、美しいロックの可能性を求めて共に駆け抜けたCBSソニー(当時)ディレクター、吉田晴彦さんへの「あのアツい80年代」のQ&Aだ。

吉田晴彦
1958年札幌出身。音楽ディレクター。1982年CBSソニー入社。宣伝部に所属。1984年に第4AV事業部に異動して千年コメッツを手掛け、のちにX、電気グルーブ等に携わる。現在はビクター所属のSNARE COVERに注力しつつ、再び千年コメッツとタッグを組む。

Q1
モノ・マガジン

エピックでは84年頃にバービーボーイズやTMネットワークがデビューしていましたが、87年2月の千年コメッツのデビューにあたり、それら先行バンドや、シンガーにおいて理想の成功事例のようなものはありましたか? ランドマークのような目標地点はありましたか?

A1
吉田晴彦さん

僕のいたCBSソニーにくらべ EPICや当時の東芝EMI、ビクターINVITATIONなどは、新しい音楽に前向きでした。TMNは音楽性やコンセプチュアルなアルバム作りなど好印象をもって観ていましたがまだ苦戦しており、逆にこういうプログレPOP的なものをどう売ればよいのか考えるヒントをもらいました。遊佐未森、くじら、ZELDAなど、耽美的な世界観をもったアーティストも出てきており刺激を受けましたが、やはりマーケットは限られている実感を再確認しました。CBSソニーは米米クラブ、ユニコーン、プリンセスプリンセスなど、ロックエンタテインメントの「明」の部分をけん引していました。唯一無二とも言える千年コメッツの「陰=ダークネス」は難しいなと予感しつつも、ホラーやサスペンスのようにエンタテインメントの半分はダークネスと確信していましたので、ブレはありませんでした。そのあとXやラルク・アン・シエルなどにいたり、ダークネス路線の成功が生まれます。 

Q2
モノ・マガジン

タイムレスガーデン、ノスタルジア、エッジ、の3作それぞれのアルバムコンセプト、タイトル名の由来など。

A2
吉田晴彦さん

「タイムレス」はバンド名にも組み入れようと思ったくらい気に入っていた、このプロジェクトのキーワード。そしてたびたび出てくる「ガーデン」は、千年コメッツがいる風景です。「こんなに見晴らしの良い庭で 僕たちは迷子になってしまった」というコピーをたびたび使いました。これは アラン・レネ監督作品「去年マリエンバードで」というモノクロ映画の冒頭のシーンです。この「ガーデン」という言葉に想起されたヨーロッパ的なモダン、ロマン、神秘性などを音楽の背景にしました。タイトルの2語がコンセプトの集大成です。

「ノスタルジア」はタルコフスキーの映画のタイトルでもあり、バンドの作品に重要なキーを与えるワードです。作詞の川村真澄さんはここをよく理解してくれ、またあらたなイメージを喚起させてくれました。1曲目のタイトル「WELLCOME TO MY GARDEN」で明確に1作目と連結されます。

「THE EDGE」は様々状況がまさにぎりぎりでその緊張感を自虐的に表現した部分もあり。YESの「Close to edge」というアルバムタイトルそのまま。またこのアルバムをミックスしたWinmillLaneというダブリンのスタジオはU2のもので、当時唯一無二のギタリストだったエッジへのリスペクトも僕なりには込めています。

タイトルもそうですがコンセプトありきの作品制作において千年COMETSの心臓部は作詞家です。高鍋も良い詞は書きますが自作以上にそのメロディや声の可能性を高めてくれたのは作詞家です。

印象深いのは1作目では松本一起さん、2作目は川村真澄さん、3作目だとうべせいじさんです。

Q3
モノ・マガジン

当時の新人ディレクター吉田さんが手掛けた千年コメッツとの経験が、その後の吉田さんのディレクター人生に与えた影響は?

A3
吉田晴彦さん

すべてが糧となり大きく影響をもらいました。ですが、これほど理想的にディレクターをつとめられたのはこれっきりです。

Q4
モノ・マガジン

千年コメッツの後、ディレクターとしてエックスやラルク・アン・シエルに携わりますが、その際、コメッツでの経験を活かせた部分はありますか?

A4
吉田晴彦さん

大きくありました。ともにディレクターとしてかかわった部分はそんなに多くありませんが、ダークネスの美学、映像との融合、アレンジの重要性は共通してとりくみました。アレンジャーの西平彰さんのストリングスのセンスなど、時代に合わせてますますPOPに洗練されてゆきますが、つながりは感じます。

Q5
モノ・マガジン

コメッツのアルバム3枚+ルナティックのうちの愛聴盤は? またフェイバリット楽曲は? その理由は。

A5
吉田晴彦さん

「Fasicista」(Timeless Garden 収録)
これはすごくいメロディでデビュー前から大好きでした。歌詞の方向で悩みトシスミカワ(増田俊郎)ほか何人かに発注し、いまは亡き一起さんの書いたこれにしました。ルースターズの花田裕之さんのギターの渋さ、素晴らしい。

「甘い生活 DOLCE VITA」(Nostalgia 収録)
マストロヤンニ主演の映画をイメージした作品。硬質で冷たくストイックなバンドのイメージに甘いロマンを付加した作品。

「夢と宝石」(THE EDGE 収録)  
バンドの作品はこれで終わります。子供の純粋さと、死に行く最後の純粋さの両面をもつ珠玉の作品。

「罪深き夏」(THE MODE OF LIFE 収録)
これも映画「サマーストーリー」にインスパイアされたもの。映画が多いな(笑)。詞は僕が書きました。すばらしいシンプルなメロディ。人生でたった一度の過ちが違う命を生んで、違う物語を生んでいる。たぶん近い話は多々ありますが、これに込めた人生の悲哀は解決できない。だから音楽や映画や文学が生まれる。

Q6
モノ・マガジン

今後の復活コメッツをいかようにディレクションしますか? ほかコメント。

A6
吉田晴彦さん

メンバーをまとめるのにやっとです! もはやディレクションは不能、不要(笑)

次回のライブは7月12日に渋谷のduo MUSIC EXCHANGEにて決定! チケットは、チケットぴあ、ディスクガレージで手に入れよう! 復活千年コメッツの最新情報はXにてチェック! @COMETS1000

今すぐ聞ける! 千年コメッツもサブスクで

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連載第1回「千年コメッツデビューのキーマン、吉田晴彦さんインタビュー」第2回「千年コメッツディスクレビュー」も併せてお楽しみください。

  • モノ・マガジン&モノ・マガジンWEB編集長。 1970年生まれ。日本おもちゃ大賞審査員。バイク遍歴とかオーディオ遍歴とか書いてくと大変なことになるので割愛。昭和の団地好き。好きなバンドはイエローマジックオーケストラとグラスバレー。好きな映画は『1999年の夏休み』。WEB同様、モノ・マガジン編集部が日々更新しているFacebook記事も、シェア、いいね!をお願いします。@monomagazine1982 でみつけてね!

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