

長い歴史で培われてきた技術や名声に甘んじることなく常に進化を続けるウエスコ。決して大量生産にシフトすることなく、品質を最優先するモノづくりはこの先も変わることはない。ウエスコのブーツづくりの源流に触れる。
写真/藪崎 大(WPP) 文/下川冬樹

アメリカ・オレゴン州の小さな田舎町に拠点を構えるウエスコは1918年、ジョン・ヘンリー・シューメーカーによって設立された。16歳の頃からブーツづくりに携わるようになった彼は、ミシガン州でロガー(木こり)ブーツの製造技術を取得。その後、西部へ向かいブラドリー・シュー・カンパニー、グッドイヤー・シュー・カンパニーで製造とリペアを担当し独立を果たす。
その後、1世紀以上続く老舗へと発展していくウエスコだが、その長い道のりは決して平坦なものではなかった。世界恐慌で一時はショップや工場の閉鎖を余儀なくされたが、ブーツづくりの道具は手放すことなく、家族親族で力を合わせて自宅の地下室でブーツづくりを再開。良い日でたった8足しかつくることができなかったが、ロガーたちが働く現場に直接ブーツを売りに出かけ、次第に事業を回復させていった。
そんな不屈な精神は彼の孫にあたる現社長のロバータ・シュー・メイカーにまで脈々と受け継がれている。

