ブランドの象徴、Sクラスがリニューアル!
ドイツ、いや自動車メーカーの老舗中の老舗メルセデス・ベンツのフラッグシップ、Sクラスが改良、日本でも発表された。


Sクラスといえば、泣く子も爆睡の快適な乗り心地と要人御用達のクルマ。それは歴代モデルに受け継がれる哲学でもある。

歴史もブランドの価値
いくつかの歴代モデルを振り返ると、まずは1959年にデビューしたW112型。戦後のブランドフラッグシップとしては3代目に当たるモデルだ。今では当たり前となったフルモノコック構造でセダン、クーペ、カブリオレの3タイプが用意される。そのボディラインはリアのフェンダーエンドに垂直尾翼を思わせる特徴的なフィンがある。当時の首相吉田茂は西ドイツ首相のアデナウワーに購入を約束したモデルで、吉田茂85歳の誕生日に大磯の邸宅に届けられたというエピソードも。

次は日本での知名度をグンと高めたW126型。1976年にデビューし、1991年まで製造された長寿モデルでもある。オイルショック後の影響もあり空力に力を入れたボディを持つ。ボンネット格納式ワイパーはブランド初採用。またモデル末期には日本市場では他のメーカーに先駆けて助手席のエアバッグも装着。トップモデルの560SELには日本仕様は排ガス対策などで245PSに抑えられていたが、本国仕様には300PSを誇るV8エンジンが乗り、セダンとは思えない加速力を持っていた。バブル景気で沸いた日本市場では一つのステータスシンボルとしても人気を博した。

その後のW140型は1991年にデビュー。メルセデスの哲学をそのままといわれるクルマで、走行安定性性、居住性、安全性すべてにおいて時代の最先端であった。ライバル車とされるBMWの7シリーズにV12エンジンが早くに載ってしまったため、一部の開発をやり直したというエピソードがまことしやかに語られている。なおメルセデスのV12はBMWのソレよりも排気量が大きく、馬力も大きい。速度リミッター250km/hという紳士協定ウンヌンなメーカー同志の激しい争いでもあった。

1998年に登場したのがW220型。先代に対して一回り小さくなったボディながらも室内空間は従来モデル並を確保した。新開発の4リンクサスペンションで乗り心地とドライビング性能を高い次元で両立。後期モデルにはポルシェターボ並みな500PSの最高出力を誇る5.5リッターのV12ツインターボ搭載車もあった。

W221型は7年ぶりのフルモデルチェンジで2005年にデビュー。シフト位置がそれまでのフロアからステアリングコラムへと移動するなど、インテリアの変化も大きい。2009年にはブランドの乗用車としては初の、加えて世界初のリチウムイオン二次電池搭載のハイブリッドモデルがラインナップに。日本市場ではデビューするやいなや1500台以上のバックオーダーを抱えた人気車種でもある。

2013年にはW222型へフルモデルチェンジ。エクステリアデザインは大型のフロントグリルなど歴代モデルのエッセンスを踏襲。流れるようなルーフラインや穏やかに傾斜するリア周りなどセダンらしいプロポーションが特長。LEDを多用した灯火類も特徴で、インテリアにはなんと300個ものLED球が用いられる。

そして現行のW223型は2020年にデビュー。高級車のベンチマーカーとしての居住性、静粛性、走行安定性は世界トップレベル。マイルドハイブリッドモデル以外にもPHEVもラインナップに。
デビュー6年目にして今回大幅な改良が加えられた。その内容は車両全体の50%以上が新規に開発されたり、再設計されたりとフルモデルチェンジに近い気合の入れようなのだ。なおSクラスでモデル中途にこれだけの改良が施されたのは初という。前出のようにSクラスはブランドの旗艦モデル。旗艦モデルながらもメルセデスの基本はSクラス、BMWは3シリーズとよく表現され、Sクラスを見ればメルセデスの方向性がわかるともいう。

コレはまさに走る秘書
目玉の一つは自社開発のオペレーションシステム「MB.OS」が搭載されたこと。このOSシステムは車両制御だけでなく、ナビなどは問いかけに提案も含め、答えを返してくれる。まさに動くコンシェルジュであり秘書でもあるのだ。
室内は見た目も進化し、助手席までシームレスに繋がるデジタルインパネ、MBUXスーパースクリーンが標準装備に。なお助手席ディスプレイは12.3インチ。ユニークなのは空調。90秒ごとに新しい電動フィルターで車内の空気が浄化されるというモノ。

パワートレインは3リッターの直6ディーゼルターボと4リッターV8の2つ。いずれにも出力17kWのISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)が組み合わされるマイルドハイブリッド。ガソリンエンジンの方は「内燃機関」としての楽しみも備えていて、クランクシャフトには排気干渉が起こらず、回転性に有利なフラットプレーンを採用している。ショーファーとしてもオーナードライビングカーとしても高い次元でバランスしている。

もう一つの目だともいうべきモノは新たに採用された「MANUFAKTUR Made to Measure」プログラム。これは専任の担当者と1対1で相談し、自分だけの1台を作り上げるというモノ。その内容もビックリで、100色以上のボディカラー、400色を超える豊富なインテリアカラーをメーンに内外装の幅広いカスタムを可能にする。特にボディカラーは往年の300SLと同じ外販色も選択できるほど。もちろん刺繍も任意で選択やオーダーできるという。送迎などに使う五つ星ホテルなどはヘッドレストにそのロゴや名前を入れることもできるはず。

日本市場へはまずは3リッター直6ディーゼルターボのS450dが導入され、4リッターV8のガソリンエンジンを搭載するS580は今秋以降、少し遅れての導入という。
今年はブランドが誕生して140周年のアニバーサリーイヤー。メルセデスは今後3年間で50台の新型車を投入予定。その意味でもフラッグシップの意義は大きいはず。
S450 d 4MATIC
| 価格 | 1598万円から |
| 全長 × 全幅 × 全高 | 5195 × 1920 × 1505(mm) |
| エンジン | 2988cc直列6気筒ディーゼル |
| 最高出力 | 270kW(367PS)/4000rpm |
| 最大トルク | 750Nm/1350-2800rpm |
| モーター最高出力 | 17kW/1500-2500rpm |
| モーター最大トルク | 205Nm/0-750rpm |
| WLTCモード燃費 | 13.5km/L |


































