対「ツルっと」性能強化ウェポン爆誕! WINTER MAXX ICE Proで雪道を走ったゾ!

餅は餅屋、氷はスタッドレス!?

連日うだるような真夏日になっているけれど、そんな夏場に冬のことを考えるのがカシコイ消費者。そしてクルマの冬支度商品の王道といえばスタッドレスタイヤだ。

今夏、ダンロップのスタッドレスタイヤ、WINTER MAXX(以下、ウィンターマックス)シリーズに新しい仲間が加わった。その名はICE Pro(以下アイスプロ)。

このアイスプロは従来のウィンターマックスシリーズの最新モデル。といっても現行のウィンターマックス03(以下wm03)も併売される。すると何が最新なんじゃい! となるのが人情。アイスプロは氷上性能に特化したスタッドレスタイヤなのだ。

ダンロップといえば名品「シンクロウェザー」の登場である意味、スタッドレスタイヤの概念を変えてしまった。ソレほどシンクロウェザーが良いといえばそれまでなのかもしれなのだが、そこで純スタッドレスタイヤの強みとはなんだろう、と社内で協議を重ねた結果、氷上性能にフォーカスし、そのタイヤがアイスプロになる。

なおシンクロウェザーの記事はコチラ

アイスプロがどれだけ氷上性能に特化したかというと、wm03に対して氷上ブレーキ性能は25%、氷上コーナリング性能は9%の向上を実現したという。

新技術搭載

さて、アイスプロ、シンクロウェザーと同じコンセプトの技術を使っているが、アイスプロ用のモノは「ふんばり吸水ゴム」のネーミングになった。それはスタッドレスタイヤに求められるタイヤが路面に接する面の柔らかさを持続させるようなモノ。低温でもゴムの柔軟性を持続させる「低温ふんばり材」を配合。ゴムがしなやかに変形し続け、路面との密着状態を「持続」することを可能にした。また新開発のトレッドパターンはサイプ(タイヤの溝に刻まれた細かい切れ込み量)を増やして、除水・エッジ効果を高めている。そしてフラットなセンターを持つタイヤはダンロップとしては初のモデルになる。

ココで「ちょっと待ったぁ!」とねるとん紅鯨団(若人はオトーサンに聞いてみよう)の如く呟く筆者。前出の性能チャートを見ると、高額なスタッドレスタイヤで重要案件の一つ、ライフ性能が減っているじゃないか。氷上性能が上がっても減りが早ければ魅力的にはうつらない。

しかしながら確認すると4年経っても氷上の効きが持続するという。ムムムっ、ソレって結構実用的じゃない。夏はキチンと交換する前提で4シーズン氷上性能が続くのは、ライフ性能が短くなったとはいえ十分に「使える」タイヤぢゃないか。

タイヤの敵は熱でもある。経年によりタイヤ内部のオイルが抜けてゴムは硬化してしまう。すると氷上性能が徐々に低下していく。そんな現象を抑えるため「うるおいポリマー」と呼ばれる硬化を抑える成分を使っているのだが、アイスプロは従来品よりもそれを多く配合することで、新品から4年が経過しても十分な氷上性能を持つという。人間のお肌と同じでカサカサだと十分な性能を発揮できないのだ。誰ですか、うちの家人にでも使いたいとか思う人は?

氷上の仕事人

そんなアイスプロの試走会が今年初めに北海道で開催された。試走の場所はテストコースと周辺の一般道。雪が少ないと言われていてもさすがに冬の北海道、まわりは一面銀世界。

テストコースではwm03とアイスプロの比較試乗体験ができた。いずれも車両はコンパクトカーのベンチマークとして名高いVWの8代目ゴルフ。タイヤサイズも同じ205/55R16。違うのはタイヤだけ、というモノ。なお当日の気温は0℃から1℃。陽が出ると3℃くらいだが日陰はきっちりアイスバーン。路面温度は-3℃と発表されている。

テストコースの試走は各タイヤ2周ずつ。氷上での発進、停止(制限30km/h)から4%の勾配がある圧雪路の登り坂コーナリング(制限45km/h)。それを抜けるとパイロンスラロームの待つストレート(制限45km/h)、その後下り坂のカーブ(制限30km/h)になる。各セクション前には一時停止をするのと、2周目は氷上の発進後、氷上でのパイロンスラローム(制限15km/h)になる。なおメーカー曰く、氷上路は20km/hも出せばどんなタイヤでも変わらないほど滑る、そうだ。

まずはwm03でスタート。スケートリンクのような路面なのでソロリとアクセルを入れるが、なかなか加速してくれない。ええい! と少し深くアクセルを踏み足すとトラクションコントロールが介入。メーター読みで20km/h時点でブレーキングポイントへ。セオリー通りまずは強く踏む。タイヤがロックしABSが作動しつつ徐々に速度が落ち、20m少し過ぎたところで停止。

次にアイスプロで氷上発進。同じ感覚でスロットルを開けていく。コチラもトラクションコントロールが介入するもすぐに収まり、ゆっくりながらも加速していく。メーター読み25km/hでブレーキングポイント。ええい! とガツンと踏むと、wm03同様にABSが効くけれどしっかり速度を落としてくれる。目安のパイロンでは20m手前、ちょうど軽自動車1台分くらいの余裕があるので16mくらいのところで停止した。確かに氷上性能はwm03よりもグリップ力が良かった。

また氷上のパイロンスラロームではwm03でも絶えずムズムズ感があるが、アイスプロはステアリングを通してのグリップ感がキチンと得られ、気分的な安心感も高い。

その後の圧雪路でのコーナリングでは意地悪く途中でアクセルを全オフにしてみた。スノー性能はwm03もアイスプロも同等と言われたが、wm03は軽くリアが流れたけれど鼻歌でコントロール可能なほど余裕がある。アイスプロはより限界が高まった印象で急なアクセルオフでもリアは流れずしっかりライン通りに旋回できるなど、若干の進化があるように感じた。

続く圧雪ストレートでのパイロンスラローム。どちらもしっかりラインを走行できたが、アイスプロはステアリングの切り角により忠実な印象だった。

そして最終セクションの圧雪下りカーブ。専門誌的な表現だとフロント荷重が増えやすくリア荷重が抜けやすい下り坂の旋回。ここではあえて旋回中に強いブレーキを踏んでみた。wm03はステアリングが急に軽くなったがアイスプロはアンダーステア気味になるだけで手応えはしっかりと残っていた。

一般道も体験!

一般公道はテストコースの綺麗な圧雪路や平らに磨かれたアイスバーンばかりじゃないのよ、と皆様思うはず。筆者もそう思っていたら一般公道も試乗できるという。そこで乗り出したのは235/60R18サイズのアイスプロを履くボルボXC60。外の気温は車内の温度計で-2℃。

テストコースを出ると綺麗な圧雪路が続く。元々静粛性の高いクルマなので、スタッドレスならではのロードノイズは低い印象。説明を聞いて柔らかいタイヤという予備知識が刷り込まれてしまったのかもしれないが、しっかり感のあるタイヤでコーナリングでもタイヤの柔らかさに起因するような腰くだけ感は皆無だった。

幹線道路に出ると路面は雪がなかったり、溶けかかった雪で濡れていたりと様々。数mごとに路面状況が変わるような道でもアイスプロは安心なのだが、ウェット路面になるとスタッドレスタイヤ特有の気を使わなきゃ、がある。もちろんこの気を使わなきゃ、はどのメーカーも同じだが。

スタッドレスタイヤは夏タイヤに対して柔らかいゴムになっている。ウェット路面で気を遣うのはその柔らかさゆえ、路面の水の膜を「スパッ!」と切れないため、あるいは大量の水を排水するのが苦手なためだ。逆に雪道や氷上では路面が平らに見えても細かい凹凸があるため、柔らかいゴムの方がより路面に密着する。

さて、雪道に慣れない筆者が気を使うのは道路の端に除雪された雪が車線を狭くし、その雪が部分部分磨かれて凍っていたり、シャーベット状になっているような状況。車両の左右でグリップ力がまるで異なるシチュエーションだ。

しかしながら。日陰のアイスバーンは加減速含め、アイスプロの安心感は高い。何を隠そう筆者はアイスプロの性能に助けられたのだ。圧雪路で表面のパウダースノーの下はクルマで磨かれた氷が見え隠れする下り坂。下り坂の突き当たりには一時停止の標識。筆者の後ろには寝ぼけたクマも後続車もいない。また北海道らしく視界を遮るような障害物はない。まさに「田」の十字路がよーく見えるのだ。その一時停止の看板には先行車が停止し左右の安全確認中。確認中‥…って長くない? 先行車はナビでも操作しているのか、想像以上に止まったまま。一時停止の標識ゆえ早めにアクセルを全オフにしており、先行車との距離はおよそ50mくらい。まだ発進する素振りがなく強いブレーキを踏む筆者。勢いよくフロントが沈み、一瞬のABS介入もすぐに収まりタイヤはブレーキにも路面にも負けないで、ちょこっとしたスキール音が発生したが、クルマ一台分の車間距離で完全停止した。最悪の場合は道も広いからサイドターンでもしようかと思った瞬間でもあった。筆者のワガママ思い込み運転に問題があったのだけれど、アイスプロの氷上性能ってこういう時にわかるのか、と納得。なお、先行車は筆者が停止した後におもむろに走って行った。

今回の一般公道試乗ではシンクロウェザーも用意されており、同じコースを走ってみた。雪道といっても上記のように路面状況が刻々と変わるとシンクロウェザーの万能感がより目立った印象。なんといってもウェット路面での旋回の安心感はコチラの方が高いし静粛性も高い。ルート的に先ほど急ブレーキをかけた場所も通ることに。今回はキツネも先行車もいないが、せっかくならと前後左右を確認してから、同じような位置から強いブレーキ。コチラもABSの介入はあるけれどすぐに収まった。しかし停止位置は仮想の先行車まであと2mくらいだろうか。

今回の一般道で試走した感想は、目まぐるしく変わる路面状況を考えるとシンクロウェザーのドライ性能、ウェット性能が頼もしく感じた。いや再認識した。

アイスプロはネーミング通り、雪の多い土地で夜間早朝にクルマを使うユーザーには心強い味方になると筆者は感じた次第。もちろんアイスバーンが日常的に現れる降雪地域ではアイスプロの氷上性能は大きな武器になると思う。もちろん雪道はクルマやタイヤの性能を過信しないのが鉄則だけど。

ダンロップ
問 ダンロップタイヤお客様相談室 0120-39-2788

海野大介(daisuke unno)
  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。

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