メルセデスの人気車種にお得なモデルが登場 GLBアーバンスターズ&Cクラススポーツを体験試乗!

お買い得で魅力マシマシ

大激戦地のSUV市場に投入されたGLB。同車はメルセデスのSUVシリーズにあって、Gクラスライクのスクエアなボディラインと3列シート7人乗りが特長の個性的なモデル。デビューは2019年。良識な読者の皆様は何を今さらとお思いかもしれませんが、値上げ全盛のご時世に人気のオプションをつけてお安くなっているGLBが登場、となれば穏やかではいられない。

筆者、最初に耳にした時はどこぞのチアリーディングチームの名称かと思ったアーバンスターズと名付けれたグレードがそれだ。アーバンスターズはAクラス、CLAクーペ・シューティングブレーク、GLA、Bクラス、GLBに設定され、既存のモデルではオプション扱いのスポーティな雰囲気を醸し出すAMGラインの一部を標準装備、モデルによってはサスも変更しているという豪華3段弁当ふうなモノ。

試乗車のGLBアーバンスターズはAMGレザーエクスクルーシブパッケージ、AMGラインパッケージの多くのアイテムと本革シートを装備する。車両価格自体はベース車両よりも若干割高になるが、それぞれ個々でオプションした時よりも断然お安くなっているのだ。もともと上記のパッケージオプションは新車購入者の大部分がオプションする人気の装備なので、結果的には大変お得。もちろん「素」のGLBもラインナップにあるが、いくつかオプションしただけでアーバンスターズの価格を超えてしまうことは、おさえておきたい試験によく出る英単語的な知識だ。

そんなGLBに乗り込むと横長のコクピットディスプレイにタッチパッドが廃されたシンプルなデザインのコクピットが迎えてくれる。もちろん音声システム対応で「カフェに行きたい」や「少し暑い」など話しかけるだけでクルマが「ソンタク」いや、音声操作可能。

3列シートを持つ同車のまずは2列目を確認。シートは4:2:4で調整可能。しかも140mmの前後スライド量を確保しているので3列目を使わないときはかなり広く感じる。ただ3列目の影響か筆者個人の感覚では若干座面は短めな印象だった。また後席のサイドウィンドウは後輪に被らないデザインなので窓は全開できる。

そして3列目。身長175cmの筆者が実際に座ってみた感想は、まぁ許容範囲か、な印象。背もたれは2列目に比べると若干小ぶりだが座ってしまうと大きな違和感はなかった。ただ座った姿勢がどうしても体育座り的に。お腹がポコんと出た純中年体型(?)の筆者は定期的に休憩してほしい姿勢と感じた。ただし筆者のような中年体型が座るのはあくまでも外し技。やむにやまれず3列目を使う時の話で、普段3列目を使うならばメーカー発表いわく身長169cm以下を推奨としている。考えようによっては160cmくらいまでなら十分なスペースになるのだろう。

GLBに用意されるパワーユニットはAMGモデルを除けば1.4リッターのガソリンと2リッターのディーゼル。ガソリンはFFで7速DCT、ディーゼルは4WDで8速DCTと駆動方式も与えられるミッションも異なる。試乗車は後者だ。 

走り出すと、こんなに良かった? と良い意味で期待を裏切られた。まあ筆者の記憶にあるのはデビュー当時の印象(ごくごく普通で使いやすい)だったからというのもあるけれど。

ドライブモードはコンフォート、エコ、スポーツ、インディビジュアル、オフロードの5つ。通常使うコンフォートモードは静かで優しい乗り心地。優しいといっても芯はブレない骨太感があり、どちらかというと「往年の」といった枕詞を使うようなメルセデスに近い感覚。ステアリングも最近のメルセデスにある適度な重さのクイックスポーティよりではなく、昔のメルセデスっぽい軽い操作感。コレが高速になると絶妙な重さに変わる。

そして搭載されるディーゼルユニットはGLBの図体を軽々と前に進めていく。スペックは150PS、320Nmで、特にトルクはわずか1400rpmから最大トルクを発揮し、3200rpmまでそれが続く。よほど強い加速を希望しなければ、ほとんど踏み込む必要性を感じない。

高速では背の高いボディながらもさすがメルセデス! と膝を叩きたくなるほどの安定感。速度差のある右車線へのレーンチェンジでもゆとりのトルクで容易く流れに乗れる。巡航中でも遮音性は高く、ディーゼルエンジンなのに驚くほど車内は静か。むしろ車外にいた方がディーゼルユニットらしい音を聞けるほど。

驚いたのはクネッた道を走った時だ。まず儀式としてスポーツモードに。するとAMG並のスポーティなエンジンサウンドに変わる。コレだけでも気分は高揚する。そしてステアリングのレスポンスもクイックになり、街中での優しい乗り心地から一変、フトコロの深いスポーティさに変わる。高いアイポイントのクルマながらも気持ちのいいコーナリング可能と言った方が適切かと思う。アーバンスターズに特別装備されるアダプティブダンピング付きサスペンションのなせる技だと思う。DCTのレスポンスも素早くなり、シフトダウンが気持ちいい。この二面性はクセになりそうだった。

コレぞ元祖SUV?

次に乗ったのはCクラスのワゴン。主力モデルのC200とC220dにスポーツ(735万円〜)とラグジュアリー(898万円〜)が加わったのだ。スポーツはGLB同様に人気の高いオプションのAMGラインパッケージが標準装備され、スポーティなエクステリア(AMGラインエクステリア)やスターパターングリルが装着される。もちろんスポーツサスペンションやナッパレザーのスポーツステアリングやスポーツシートも標準化。18インチホイールはディッシュ部分がブラックアウトされたモノを履く。

ラグジュアリーもAMGラインパッケージは標準装備だが、スポーツとの大きな違いはホイールが19インチを採用した、という点。インテリアは本革シートが標準装備。パノラミックスライディングルーフやブルメスター3Dサラウンドサウンドシステム、前席のシートベンチレーターが追加装備される。

消費者的にはAMGナンチャラとかのオプションつけて、そりゃあいいモノつければ高くなるよね、となるのだが、スポーツ、ラグジュアリーとも単品でオプションしていくよりもお安くなっているのだ。値上げが当たり前のご時世なのに。

話は試乗車に戻る。その第一印象は車高低っ! というモノだった。まあGLBから乗り換えた直後だったのもあるけれど。しかしながら。コレって生粋のAMG!? と思えてしまうほどAMGラインパッケージが似合いまくりだ。

室内は豪華でスポーティでエレガンス。ほぼほぼすべての快適要素を詰め込み、ベビーSクラスの異名もさもありなん、な雰囲気。

縦型の11.9インチディスプレイはHDDナビはもちろん、最新世代のMBUXを搭載するので音声でもいろいろ操作できてしまうのだ。前席のスペースはもちろん十分以上だが、後席の居住性も抜群。なお後席は4:2:4の分割可倒式でそれぞれで調整が可能。荷室はさすがワゴンボディだけあり広々。荷室は通常490リッターの容量で、後席を倒してしまえば1510リッター容量に。シートを倒す動作は何度も手間にならないよう、荷室側にも後席を倒すレバーが用意される。

走り出して最初に感じたのはスポーツサスをうまく扱う抜群のボディ剛性感。コレぞドイツ車だ。ハンドリングのしっかりさとクルマの反応の良さ、すなわち運転しての安心感が超高い位置にある。ただ路面の悪い場所ではスポーツサスということを思い出すけれど不快ではない。

パワーユニットはGLB同様にガソリン、ディーゼルの2つが用意されていて、試乗車はガソリンエンジンの方。1.5リッターの直4ターボが発揮する最高出力は204PS、最大トルクは300Nm。これに23PS、205Nmスペックのモーターがサポートする。しかもモーターのトルクが0-750rpmまでサポートしてくれるので、出だしでうーんとなることはまずない。無理やりうーんとなることをあら探しすれば、フル加速した時になんとなく排気量の少なさを感じることくらい。それでも「遅い」という印象は皆無だけれど。

このワゴンは高速では抜群の安定感で、クネッた道ではスポーティに走れる。荷物もたくさん載せられ、室内も十分なスペースを持つ。考えようによっては元祖スポーツユーティリティビークル、SUVでもあるのだ。

ジツは筆者、202、203、212、213と5台のメルセデスを乗り継いでいる。202はセダンとワゴンで、それ以外はすべてワゴン。そう書くとフリークですねぇ、とか言われそうだが、まったくそうでもない。道具としての実用性が筆者の使い方に合致したのと、メルセデスケアという天下御免の超手厚いメインテナンスプログラムがあるから。特に203は新車から最初の車検までに7万kmを走破し、前後のブレーキ一式を2回ほど「無償」で交換してもらった。もちろんその他の消耗品(エンジンオイル等)も大変な恩恵に預かった。その後メーカー推奨のメインテナンスのみで8年後には20万kmを突破。

手放した10年後には24万kmを超えていたが、エンジンやミッションのオーバーホールを一度もせずにその距離を走破し、退役となった。メルセデスの耐久性を身をもって体験した話なのだ。

特別装備を施されたGLB、Cクラスワゴンといい絶対的な価格は世の流れで上昇しているけれど、内容や長いスパンで考えると非常にお買い得。さらに「このサイズが日本ではベストだなぁ」としみじみ感じるはず。

GLB200d アーバンスターズ

価格738万円〜
全長 × 全幅 × 全高4660 × 1845 × 1700(mm)
エンジン1949cc直列4気筒ディーゼルターボ
最高出力150PS/3400-4400rpm
最大トルク320Nm/1400-3200rpm
WLTCモード燃費15.8km/L

C200ワゴン スポーツ

価格761万円〜
全長 × 全幅 × 全高4785 × 1820 × 1455(mm)
エンジン1494cc直列4気筒ターボ
最高出力204PS/5800-6100rpm
最大トルク300Nm/1800-4000rpm
モーター最高出力23PS/1500-3000rpm
モーター最大トルク205Nm/0-750rpm
WLTCモード燃費14.8km/L

メルセデス・ベンツ
GLB
Cクラスステーションワゴン
問 メルセデスコール 0120-190-610

海野大介(daisuke unno)
  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。

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