ライラックでもサクラなの
日産サクラ。同車はEV軽自動車のカタログモデルとして画期的な1台として知られる。そんなサクラに試乗して来たゾ! なお本webの哲ジイことレジェンド津川御大のインプレッションはコチラにもあるのでぜひご覧ください!
さて。サクラがデビューしたのは2022年。登場から4年経過したが、なかなかどうして。見た目の古さを感じさない。試乗車はシルキーライラックのボディカラーで、桜の季節にピッタリなサクラなのだ。そのベースとなっているのは同じトールワゴンのデイズ。ただしリチウムイオンバッテリーを搭載するためフロア形状には手が入っている。
メカニズム的な話は置いておいて、サクラの何がそんなに人気なのか。それを今回確かめられたので、ご報告を。


同車は現在、X(259万9300円)、G(308万2200円)の2グレードがある。シンプルなXと豪華装備のGで、GにはSOSコール機能付緊急停止機能付きのプロパイロットやステアリングヒーター、前席のシートヒーターなどが標準装備。しかしながらXにもパッケージオプションなども用意されており、自分の使い方に合わせて装備を「盛って」いけるところにも人気だ。使わない装備があって高いのなら、自分でチョイス、と言うのも納得。
つまりGだからスゴイ! というわけでもないのだ。なおグレードの価格差は約60万円。
座ればモダンリビング
試乗車はプレムアムインテリアパッケージがオプション設定されており、本革巻のステアリングが見た目も軽自動車離れしたモノ。このパッケージオプションはシート表皮の変更や乱暴な表現と知っての狼藉だけど間接照明的なアイテムがセットになっている。

シートは前後とも座った印象が心地いいソファタイプ。そして後席は前後スライドやリクライニング機構も備わったモノ。早い話が広くて使いやすい。しかも大人4人乗っても窮屈さを感じさせない。小洒落たモダンリビングな様相で、さすがティアナを作ったメーカーと頷いてしまう。

なお現行のリーフなどでデザインの遊びがあるがサクラも小洒落た演出が。センテーパネル下のトレイには桜が待っているのだ。見方によっては桜の花びらが水面に流れる花筏にも。う〜ん風流だ。

割り切り軽(系)なクルマ
その限られたボディサイズに夢と情熱を詰め込む軽自動車。そして軽自動車としての使命は普段の足として活躍しどれくらい便利で走りやすいか、ともいわれる。そのためにサクラは「下駄」としての性能に磨きをかけている。
フロントに搭載されるモーターは64PS、195Nmスペックのモノ。馬力こそ軽自動車の自主規制値、64PS(47kW)に合わせているが最大トルクは195Nmと2クラス上くらいの内燃機関車と遜色ないスペックにEVとしてはライトウェイトな1tそこそこの車重。そうなれば走り出しはかなりパワフルと思うかもしれないけれど、コレがよく躾けられている。EVの間髪入れないドーンとした加速はないし、かといって抑え込まれたモノでもないのだ。内燃機関のクルマからすぐに乗り換えても大きな違和感がないはず。また発進時のクリープ現象がキチンと残されているので、構えることなくスタートできた。

ドライブモードはエコ、スタンダード、スポーツの3つ。筆者はそういったスイッチはシフトまわりにあると思っていたが、インパネの右にあった。自分のドライビングポジションだとスイッチが見にくかったことも。同様に筆者のドライビングポジションでステアリングに隠れてしまうのは電動パーキングブレーキもそうだった。これは慣れの範疇だと思う。
発進は前述のとおり違和感なく、それでいてスーッと速度がのっていく印象。これをスポーツモードにすると出足からかなり元気がいい。ただしこのモードをずっと選択しておくとバッテリー残量の減りがやや早い。
この加速力やキビキビとレスポンスのいいステアリングだとスポーティな走りもありか、と思う。しかし旋回時はタイヤの限界が低く感じてしまう場面もあった。それくらいキビキビ走ってくれる。ただし軽自動車、しかも室内広々のトールワゴンということを考えるとかなり楽しく走る。
バッテリー残量や航続距離の問題もあるので、スポーツモードはお楽しみ用にとっておくことにした方がいいのかも。一方スタンダードやエコモードでの出足はターボ付の軽自動車と大きく変わらない印象だ。大きく踏み込む必要性は感じない。
じゃあターボ付きの軽自動車でも、となりそうだがEVとしての強みを体感できるのはダラダラと続く長い上り坂や高速やバイパスなどの合流だ。この上り坂系はどこを走ってもあるあるなシチュエーションだと思う。そんな場所ではサクラのモーターの太いトルクが魅力。パーシャルスロットル(踏んでも離してもいない巡航時のアクセル)で失速したり、速度さを補うために床まで踏み込む心構えをしたりする必要がない。NAの軽自動車での合流(加えて上り坂だったりする)を体験した方には伝わるかと思う。そんなサクラのアラを探せば高速になるとタイヤの音や風切り音が意外に気になるくらい。街中の静粛性に慣れてしまったこともあるとは思うけど。
しかし、考えようによってはサクラは完全割りきり系のクルマ。バッテリー容量を抑え航続距離もあえての180km。その見返りに得た走りに魅了されるのだ。ゴーストップの多い街中でもキビキビ走れるし、登り坂の多い場所でも苦にならない。狭い路地でも冷や汗をかかない完全無欠の電動下駄としての性能。
かりに長距離ドライブを敢行したとしても充電時間は短くて済むし、意外に距離を伸ばしていけるそうな気もする。
普段使いのサクラは大いにアリア
なお試乗当日にマイナーチェンジ後の新デザインモデルが発表された。新デザインはボディ同色のカラードグリルを採用、カッパー色をあしらった新デザイのフロントバンパーなど日産のEVラインナップのデザインになった。いわゆる日産EVブランドのイメージリーダーを務めるアリア系と同じベクトルに。

軽自動車ユーザーの1日の平均走行距離は100km未満という。平均的なユーザーならば弱点といわれる180kmの航続距離はまったく気にならないはず。使い勝手が良くて広い下駄なら、完全電動車もいいのかも。サクラはそんな魅力が満開だった。

G
| 価格 | 308万2200円から |
| 全長 × 全幅 × 全高 | 3395 × 1495 × 1655(mm) |
| モーター最高出力 | 47kW |
| モーター最大トルク | 195Nm |
| 一充電航続距離 | 180km |

































