
陸海空自衛隊にはいろいろな “学校” が存在します。対象とする階級も幹部から曹士までさまざま。自衛隊に入隊したばかりの素人からその道何十年のベテランまで、それぞれのキャリアに応じた教育内容が用意されています。
そんな学校の一つとして江田島(広島県呉市)にある幹部候補生学校があります。
2026年3月15日、同校にて、「第76期一般幹部候補生」と「第78期飛行幹部候補生」の卒業式が執り行われました。この日卒業をした学生は合わせて約240名にもなります。

一般幹部候補生とは、防衛大学校や一般大学を卒業後、幹部自衛官となるべく海自に入隊した者たちです。幹部候補生学校にて、約一年間をかけて海自幹部に必要な資質や教養等を学びます。その教育方法は、座学から実技までさまざま。中には、小銃を抱えて突撃するような “海自らしくない” 野外戦闘訓練などもあります。
なお、海曹士から選抜された一般幹部候補生(部内)というコースもあります。こちらは海士として入隊しているので、部隊経験があります。よって、ゼロからスタートしている一般幹部候補生とは異なり、すでに自衛隊の基礎的な教育は終えていることから、約8か月と教育期間が若干短く設定されています。今年については、「第59期一般幹部候補生課程(部内課程)」として、2月13日に一足早く卒業していきました。
飛行幹部候補生とは、将来海自のパイロットや戦術航空士となるべく、航空学生として入隊した者たちです。階級は海士からスタートしているので、一般幹部候補生よりも自衛隊経験が長く、先輩でもあります。
卒業式の式次第は、我々が高校や大学などで経験してきたものとほとんど同じです。ただし、かなり厳格に行われ、咳払いもためらわれるほどの緊張感があります。最後は一人一人に卒業証書が手渡されます。
この日をもって、幹部候補生たちは、海曹長から初級幹部である3等海尉となります。
例えば海自の階級ピラミッドの最下位である2等海士からスタートした場合、その後、1等海士→海士長→3等海曹→2等海曹→1等海曹→海曹長→3等海尉→…と昇進していくことになります。よって、一般幹部候補生は、たった1年で、一気にこれら階級を飛び越えたことになります。

部隊に配属されると、新米幹部であろうとも部下を持ちます。階級は下でも、自分たちよりも経験があります。自分の持ち場を知らなければ、部下への指導などはできません。
そこで、今度は教育の場を海の上へと移します。それが「遠洋練習航海」です。約5か月間、練習艦に乗り込み、世界を巡ることで、船乗りとしての経験を積んでいきます。ただし、艦内生活を送ったこともないのに、いきなりの長期航海はさすがに無理…。そこで、準備運動として「近海練習航海」を行います。こちらは日本列島を巡るもので、期間は約2か月間となります。
なお、飛行幹部候補生についても、海自幹部である以上、艦内生活は知るべき、との理由から練習航海を行います。ただし、こちらは「外洋練習航海」として約一か月半と、短めの航海となっています。
いずれの練習航海とも、卒業式後に、久しぶりに対面した家族たちとの昼食会が終わった直後にスタートします。
新米幹部たちは、齋藤聡海上幕僚長、西山高広幹部候補生学校長(当時)、教官、先輩、そして家族に見守られ、赤レンガから岸壁まで行進していきます。そして桟橋に待つ交通船等へと乗り込んでいきます。蛍の光が流れる中、交通船は、沖に浮かぶ練習艦「かしま」や各護衛艦へと向かいます。


一般幹部候補生から幹部になった者たちは、練習艦「かしま」「しまかぜ」、訓練支援艦「てんりゅう」に乗り込み、3月15日から5月15日の日程で近海練習航海へ。飛行幹部候補生から実習幹部となった者たちは、護衛艦「あさひ」に乗り込み、3月15日から4月26日の日程で外洋練習航海へと旅立ちました。
こうして、彼ら彼女らは、将来の海自を背負って立つホンモノの幹部自衛官となるのです。

































