EVの知名度を高めた「実用的」なEV
リーフといえば日本市場に「電気自動車」という概念を植え付けた金字塔で、エジソンといえば発明家、モーツァルトといえば音楽家と同じようなモノである。初代は2009年に発表され、モデル末期までに約20万台以上のセールスを記録した大ヒットモデル。より実用的になった2代目(2017年デビュー)を経て、2025年10月に3代目がデビューした。
3代目の現行モデルはそれまでのハッチバックスタイルからクロスオーバーSUVスタイルにガラリとイメチェン。リア周りはどことなくフェアレディZをデフォルメしたデザインに見えなくもない感じだ。そしてなんとなくリーフのアイコン的存在でもあったフロントの充電ポートがボディサイドにお引っ越し。右が普通充電、左が急速充電ポートになる。


またデザイナーの遊び心といおうか、クルマの随所に「日産」がある。んなモノ日産のクルマなんだから、といわれそうだが「日産」すなわち23。その「II」と「三」を使ったデザインが随所にあるのだ。

ボディサイズは先代と比較して全長は短くなり、全幅は広がっている。全高はほぼ変化なしか若干高くなっているのだが、初見だとだいぶ大きく見える。それもクロスオーバースタイルのなせる妙技なのかもしれない。ボディの話で付け加えると、現行型は日産EVのフラッグシップ、アリアのプラットフォームを使っている。
モデル体系はバッテリー容量の違うB5とB7の2つ。それぞれに豪華装備のGとベーシックなXがあり、B5のみエントリーモデルのSが用意される。グレードによる主要装備や快適装備の差はほとんどなく、ホイールサイズがXで18インチ、Gで19インチになるくらい。XにいくつかオプションをするとGになる、と思えば大きな間違いはない。そして今回試乗が叶ったのはB7のGグレードだ。
アリアいらず? の広々室内
空気抵抗に配慮された格納式ドアノブが近づくと競り上がる。インパネはアリア同様の12.3インチサイズのデュアルスクリーンを統合したモノリススタイル。シートは筆者の胴長な体型でその位置を一番下に下げてもアイポイントは高いままだった。しかしながら水平基調のダッシュボードは低い位置にあるので圧迫感はない。シフトセレクターはセレナ同様、インパネに移動しシート左右の移動も可能に。


そしてGoogle搭載のインフォテイメントシステムのナビはかなりカシコイ。目的地を設定すれば、エネルギー消費を最適、効率化したルートで案内してくれるだけでなく、充電場所の有無やその営業時間までも教えてくれる。
後席はセンタートンネルがなくなりフラットに。これが見た目にも広い。筆者が自分の運転ポジションを確保し、後席に座っても窮屈とは感じなかった。頭上スペースは大人の拳1個半くらいの余裕があるのだが、オプションされていた赤外線反射コーティングが施されている調光パノラミックガラスルーフが頭上の開放感を演出する。この電子調光技術でガラスの透明度を変える調光パノラミックガラスルーフは日産としては初採用のアイテムで2段階の調整が可能。
ボディサイズこそアリアに比べるとコンパクトだが、室内は十分広い。加えて試乗車はオプション設定の後席用シートヒーターが装備されていて豪華快適。コレはアリアじゃなくても十分カモ、と思ってしまうほど。



二兎を追うモノは二兎を得た!
試乗車はプロパイロット2.0と寒冷地仕様セットで後席のシートヒーターやバッテリーヒーターと調光パノラミックガラスルーフやルーフレールなどが追加装備された「魅力マシマシ」モデル。
前述の通り新型はバッテリー容量の違いで2モデル体系に。B5とB7の違いは数字の大きいモデルが78kWh、数字の小さい方が55kWhのバッテリーを搭載する。バッテリー容量が異なれば航続距離も違うわけでB5は469km、B7は702km(X)、685km(G)と装備などの車重の差が出ている。またB5のエントリーモデルは521kmになっており、価格と航続距離を考えるとエントリーモデルが一番実用的なグレードかもしれない。
インパネのDボタンを押してスタート。「スーッと滑らか」な加速を始める。この「滑らかさ」は新型のキーワードの一つ。ラフに踏み込んでみてもクルマの姿勢が乱れない。それでもEVならでは抜群のレスポンスがある。この「滑らかな」は開発陣がこだわったモノで1万分の1秒単位でのモーター制御を行う。おかげで乗りやすい。試しにキックダウンしてみると間髪入れずに加速体制に入るのだが、不意に首が後ろに持っていかれることがないのもいい。それでいて遅いかと言われればまったく違う。では足回りがガチガチで即時帰宅願望ということもない。
パワートレーンはモーター、インバーター、減速機の主要3コンポーネントを一体化させた3in-1構造でフロントに収まる。これは先代に比べてユニット容量を10%削減し、コンパクト化。また同じプラットフォームを使うアリアは4WDモデルもあるがリーフは前輪駆動のみ。なお搭載されるモーターのスペックは160kW(218PS)、255Nm。

足まわりはアリア同様フロントがストラット、リアがマルチリンク。フロントのストラットは歴代モデルもそうだが、リアは大きく変更されている。そしてサスの味付けは乗り心地重視の日本市場専用という。乗り心地重視だからコーナーリングで腰砕けになってしまうかというとそれはなく、ステアリングの操作、アクセル操作にしっかりと反応してくれた。
クネッた道では若干のフロントヘビー感を意識する場面もあったが安心感は高い。気になったところは右コーナーなどでは左右のウォークスルーを可能にしたインパネ形状で左膝を当てて踏ん張ることができないくらい。
回生ブレーキは4段階に調整可能なステアリングのパドルスイッチが走りを楽しくさせてくれる。ただしこのパドルの出来がいいので、筆者はいわゆるワンペダルモードは使わなかった。なおワンペダルモードとパドルでの回生ブレーキ調整は併用不可だった。
クルマのキャラクター的に街中からゆったりと高速を流すのが似合っていると筆者は思う。静粛性能は欧州高級セダン並みを謳うことだし。路面がいい場所では上質な静けさで、風切り音はもちろん、タイヤノイズも相当抑え込まれていた。試乗車にはBOSEのプレミアムスピーカーがついており、音楽を楽しめる環境が揃っていたのもそう感じた要因かもしれない。さらにはオプションの条件付きでハンズオフ可能なプロパイロット2.0が装備されており、高速巡行が非常に快適だったことも伝えたい。現行のリーフは乗り心地と走り、航続距離と何兎も得てしまったのだ。
空力性能もこだわっているのが「技術の日産」らしいクルマ作り。空気抵抗係数、Cd値はカテゴリーとしてはトップクラスの0.26。これにより静粛性はもちろん、空気抵抗を減らして航続距離も伸びる。フロントまわりの極力減らした開口部といい、リアの特長的なデザインは空気抵抗のためともいう。極め付けは普段目にしないフロア面。ジャッキアップポイントもカバーで覆うほどフラットにしている。
航続距離はウワサ通りだった!
今回は高速4割、街中4割、渋滞1割、山越え1割で半分はエコモード使用で約600km以上走った。最終的な電費は6.5km/kWhに落ち着いた。最高では街中の7.4km/kWh。試乗車のB7G(プロパイロット2.0装備)の最大航続距離は670kmなので充電せずとも走破できたのだが、心配性な筆者はバッテリー残量が38%とか表示されると不安になり、充電開始。新型モデルは最大150kW規格の急速充電に対応し、バッテリー残量10%から80%までは約35分程度で充電できる。筆者が精神衛生上飛び込んだのが32%だったので80%までは30分も待たなかった。

また試乗車にはEVとしてのツボを抑えたバッテリーヒーターのオプションが。これはバッテリーを適温にし、充電パフォーマンスを向上させるというモノ。しかもナビなど道案内中に充電が必要と判断されたら充電ポイントにつくまでに適温にしてくれる。

EVといえばアレとコレ
リーフは家に充放電器を設置することでクルマのバッテリーを家庭の電源として使うV2hに対応。太陽光発電を機見合わせることで余剰電力でクルマを充電、夜間はクルマからの給電とうまく使えば電気代の節約になることも考えられる。まさに二刀流。
またアウトドア趣味など屋外での電源(V2L)としても。もともと車内に100Vコンセントがあるのだが、アクセサリアダプタを充電ポートに差し込めば、クルマがより多くの家電が使える移動式モバイルバッテリー計画も達成できてしまう。

物価高騰のおりリーフもご多聞に漏れず先代よりも高額に。筆者は車両価格(およそ600万円)を考えた時にパワーウィンドウがワンタッチオートになるのは運転席のみはちょっとなあ、と思ったのだが、コレだけの使い勝手や先進装備を考えるとお安いのかもしれない。
しかしながらEVには補助金もある! 税制の優遇措置もあるじゃないか! ふむふむと電卓を叩いてみるとエントリーモデルのB5Sで国の補助金を使うと310万円程度になる。自治体によって異なるけれど、車両に補助を出すところならばさらにお手頃価格になる。

リーフB7G
| 価格 | 599万9400円から |
| 全長 × 全幅 × 全高 | 4360 × 1810 × 1565(mm) |
| モーター最高出力 | 160kW |
| モーター最大トルク | 355Nm |
| 一充電走行距離 | 670km(プロパイロット2.0装着車) |


































