
日本で人気のあるイタリア料理として、真っ先に「ピッツァ(Pizza)」を思い浮かべる人が多いだろう。そう、イタリアといえば、ピッツァが有名! 大きな窯で焼いた、サクサクとした食感ながらもモチモチとした食感の生地に、伝統的にトマトソース、モッツァレラチーズ、エキストラバージンオリーブオイル、バジル、その他様々な具材をトッピングしたピッツァは、格別な美味しさだ。
ナポリのピッツァ職人(ピザ職人)の技もまた、ユネスコの無形文化遺産にも登録されている。そして近年は、世界的な規模でピッツァブームも起きているそう。
そんな中、世界で最も影響力のあるピッツェリア専門ガイド「50 Top Pizza」は、日本で授賞式「Award Ceremony 50 Top Pizza Asia Pacific」を開催し、2026年のアジア太平洋地域のベストピッツェリア50のランキングを発表! イタリアの伝統的なピザ職人の技術が、世界規模で表彰された。

(左から)授賞式に登壇したのは、1位に輝いた、東京の「リストピッツァ バイ ナポリスタカ(Ristopizza by Napoli sta ca)」のジュゼッペ・エリキエッロ(Giuseppe Errichiello)シェフ、2位を獲得した、マンダリンオリエンタル東京にある「The pizza bar on 38th」のダニエレ・カーソン(Daniele Cason)シェフ。
3位の香港にある「Fiata Pizza」のサルヴァトーレ・フィアタ(Salvatore Fiata)シェフ、そして同じく3位のシドニーのバルメインにある「Gigi’s Pizza」のダニエル・セムラニ(Daniel Semrani)シェフら!
さらに、ミラノでは、近代的で最先端の展示地区で、5月に世界100ヵ国が参加する、国際食品見本市「TUTTO FOOD」が開催されるという。
世界中から訪れる業界関係者に対し、新たな食品や伝統的な製品などを多く紹介し、業界専門家向けの専用ツアー、カスタマイズされた展示ソリューション、B2Cイベントを含む展示がなされるそう。
見本市の開催を記念して、主催者である「パルマ見本市(Fiere di Parma S.p.a.)」のCEOを務めるアントニオ・チェッリエ(Antonio Cellie)氏が来日し、マリオ・アンドレア・ヴァッターニ(Mario Andrea Vattani)駐日イタリア大使、ラッファエッレ・ボッリエッロイタリア農業・食料主権・森林省(MASAF)官房長らとともに登壇。東京にある駐日イタリア大使館で、プロモーションを行った。

「日本は、高品質なイタリア食材や多様な加工食品の輸出先として、とりわけ重要な国です。それは、日本人の食にとって、野菜などの農産物が欠かせないことを示しているでしょう。見本市を通して、日本の消費者に、イタリアの食品を届けていきたいです」と、語るアントニオ・チェッリエ氏。

パルマ見本市CEOのアントニオ・チェッリエ氏とマリオ・アンドレア・ヴァッターニ駐日イタリア大使。
ラッファエッレ・ボッリエッロ氏も、「TUTTOFOOD 2026」の開催に向けて、意気込みを語り、イタリアの農業作物の魅力に言及した。

「『FOODEX 2026』のイタリア館は、成功を収めました。日本の農林水産省との会談により、イタリアの新たな農作物の輸入に関しても、検討しています。また、2027年に開催される『GREEN × EXPO』に向けて、現在活動を推進しています」と、話すラッファエッレ・ボッリエッロイタリア農業・食料主権・森林省(MASAF)官房長。
「TUTTOFOOD 2026」では、イタリア貿易振興機関(ITA)との協力により、3000 人を超える国内および海外のトッププロフェッショナルが集まる予定で、充実したバイヤープログラムなども開催されるというから楽しみだ。
会場では、イタリア産の米や魚介、野菜やフルーツなどをふんだんに使った、地域性に富む伝統的なイタリア料理や菓子が披露された!

シチリアやナポリの名物であるライスコロッケ「アランチーニ(Arancini)」は、伝統的なイタリア料理の代表。サフランやミートソースで味付けしたリゾットの中に、チーズなどの具材を詰め、衣をまぶして揚げたもので、オレンジのような可愛らしい見た目から、「小さなオレンジ」という名称で親しまれている。

季節のフルーツを一口大に切り、砂糖やレモン汁、リキュールなどで和えて冷やした、イタリア風のフルーツポンチ「マチェドニア(Macedonia)」は、これからの季節に嬉しい、フレッシュなデザート!

主に2月のカーニバル(謝肉祭)時期に食べられる、伝統的な揚げ菓子「フラッペ(Frappe)」。シート状に薄く伸ばした生地を切り、油で揚げて粉砂糖をまぶした、砂糖の素朴な甘さが特徴で、地域によって「キアッキエレ」や「グアンティ」、「チェンチ」など、様々な名称で親しまれている。

揚げシュー生地にカスタードクリーム、「アマレーナ(Amarena)」と呼ばれるサワーチェリーを飾った、春らしい雰囲気の甘いお菓子。イタリアでは、3月19日の「サン・ジュゼッペの日(父の日)」に、各地で食べられる「ゼッポレ・ディ・サン・ジュゼッペ(Zeppole di San Giuseppe)」という伝統的な菓子だ。
こうした伝統的なイタリアの美食を、日本にいる私たちが享受できるのも、米や野菜、果物、花などを栽培し、新鮮で安全な食料を消費者に届ける農家の存在があってこそ。また、農産物の生産が安定して行われ、イタリアから日本に供給されているからなのだ。
続いて、イタリアの持続可能な農業を考察してみよう! 「GREEN × EXPO 2027への道のり(Road to Green Expo 2027)」と題し、駐日イタリア大使館で行われたセミナーでは、イタリアの伝統的な作物における、持続可能性と革新性が語られた。
今回フォーカスするのは、お米だ。イタリアでは、主に北イタリアのロンバルディア、ピエモンテ州、ヴェネト州とエミリア=ロマーニャ州のポー川の河口に位置する、ポー川デルタ地帯などで栽培される。
多様な品種があり、粘り気の少ない大粒の品種が主流だという。日本よりも消費量は少ないが、煮崩れしにくく、芯の残るアルデンテ(al dente)食感を楽しめることから、リゾットやサラダとして愛用されている。

「1900年代初頭にイタリアで興った農業革命により、品種改良された生産が始まったのが、北イタリアのヴェローナで栽培される米『ヴィアローネ・ナノ(Vialone Nano)』で、リゾット料理に最適なお米です。今後、イタリアのお米を日本に紹介することで、日伊の協力関係を強めていきたい」とスピーチを述べる、ラッファエッレ・ボッリエッロイタリア農業・食料主権・森林省(MASAF)官房長。
日本の農林水産省からは、穀物貿易企画室副室長を務める青木高広氏が登壇し、持続可能な稲作の施策を述べた。

「過去20年間で、日本の稲作の作付面積と生産量の割合は、2割も減少しています。これは、米の障害によるものです。現在は、温暖化の影響による米の品質低下に対応するため、高温耐性に優れた品種を開発しています」
「中でも『にじのきらめき』は、『コシヒカリ』並みの良食味でありながら、15%程度多収なうえ、稲の丈が短いため倒れにくく、稲の病気への抵抗性が強いことなどから、栽培に取り組みやすいのが特徴です。現在、作付けが広まっている期待の品種です」と、話す青木氏。

また、ポットや苗代で育てた苗を、田や畑など本圃場に植え替える「移植栽培」をとる、日本の伝統的な稲作に対して、「湛水栽培」、「直播栽培」、「乾田直播」など、大規模経営において、大幅な省力化とコスト削減を進める試みも実施しているという。

食料・農業・農村に関する研究開発を行う機関である「農研機構」の黒木慎氏は、近年の課題である、病害虫や温暖化対策として、品種改良された米を紹介した。

「笑みの絆」は、高温耐性が強く、粘りが少なく硬めの良食味品種で、寿司米への利用が期待されているそう。また、「とよめき」は、「コシヒカリ」よりもやや玄米品質に劣るものの炊飯米は粘りが少なく、冷凍食品などの業務・加工用としての利用が期待されている。
「ミズホチカラ」は、農研機構が開発した多収品種で、飼料米として利用できる他、米粉の加工適性やパン等の製品品質にも優れ、米粉用の米に適しているという。さらに、各地で栽培が広がる「にじのきらめき」は、収穫量が高いことから、一般にも普及が進んでいるそう。
「こうした品種改良した米の技術の向上や育成が、今後求められる課題です」と語る黒木氏。

「日本農業法人協会」の会長を務める、齋藤一志氏も登壇してスピーチし、日本の稲作農家の可能性を示唆した。
「日本の米は、高温多湿な気候に適した品種改良が行われていますが、今、日本の農業法人の経営は、大きな痛手を受けています。イタリアのような乾田直播の技術を用いれば、省力化につながるのではないかと考察しています」と語る、齋藤氏。

続いて、イタリアの米研究機関である「イタリア米庁(Ente Nazionale Risi)」の会長を務めるナタリア・ボッバ(Natalia BOBBA)氏が登壇し、北イタリアの冷涼な地域における米の栽培など、イタリアの米文化を紹介した。

「イタリア北部のポー平原は、ヨーロッパ最大の米の生産地です。1年でひとり当たり平均6キロと、日本と比べて米の消費量は少ないものの、リゾット(Risotto)をはじめ、スップリ(Supplì)やアランチーニ(Aranchini)、ドルチェ(Dolce)など、様々なイタリア料理に重宝されています」と語る、ナタリア・ボッバ氏。

近年は、田んぼを使ったアート活動がイタリアでも盛んに行われおり、芸術作品としても評価されているそう!

また、イタリアの米研究機関である「イタリア米庁(Ente Nazionale Risi)」の広報部長を務める、ダビデ・マントバーニ(Davide Mantovani)氏も登壇し、近年のイタリアの稲作をはじめとし、独自の食文化を紹介。
現在、イタリア米庁では、米の品種改良や研究、原種の保存などを行なっており、遺伝資源バンクでは、1700種もの貴重な品種を保存する種子活動をしている。

イタリアの稲作は「リザイア(Risaia)」と呼ばれる大規模な直播き栽培が主流で、低コストかつ省力化が進んでおり、近年は、ドローンなどの最新機器を駆使した農法が採られているという。


「カルナローリやアルボリオなどの定番の品種の管理や、イタリア米の品質向上、市場の安定化、技術革新を目的とし活動しています」と話す、ダビデ・マントバーニ氏。

「EU(欧州連合)が認める農産物の生産物の基準に加え、『メイド・イン・イタリー』の米を認定するなど、栽培技術の普及を通じて、イタリアの米文化を守り発展させています」とも語る。
イタリアは、早くから有機農業に積極的に取り組んでいることでも有名だ。伝統的・地域的な食文化を守る、「スローフード」の理念が持続可能な農業を支え、人々のライフスタイルにも浸透している。
こうした持続可能な農業は、環境保全とその品質向上、地域経済の維持を同時に達成するだけでなく、美味しい料理へのこだわりにも通じる。イタリアの豊かな食文化の形成や人々の健康維持にもつながっている。イタリアの持続可能な農業を成功モデルとして、多くのことを学びたい。


































