
昨年12月に、ユネスコ無形文化遺産に登録認定されたイタリア料理。世界で今最も注目される料理である。
そんな中、日本全国・世界各国の食の最新情報・プロフェショナルが一堂に集結する、アジア最大の食品・飲料向けの展示会「フーデックス」にて、イタリア・パビリオンが登場!
イタリア館内には、出展社ブースのほか、出展社の製品を味わえる複数のプロモーションコーナーが用意され、多彩なイタリア食材の数々が披露された。

初日に開催されたオープニングでは、(右から)ラッファエッレ・ボッリエッロ(Raffaele Borriello)イタリア農業・食料主権・森林省(MASAF)官房長、マリオ・アンドレア・ヴァッターニ(Mario Andrea Vattani)駐日イタリア大使、イタリア貿易促進機構会長のマッテオ・ゾッパス(Matteo Zoppas)氏、貿易促進部 部長のジャンパオロ・ブルーノ(Gianpaolo Bruno)氏ら関係者が集まり、テープカットが行われ、イタリア館の開催を盛大に祝わった。

展示会には、イタリア全土から約190社が出展。西2ホールの半分にわたり、フレッシュチーズやオリーブオイル、ワインなど、伝統的な特産品から最新技術を活かした製品まで多彩な商品を披露!

オープビングでは、出展社ワインによる、イタリアならではの極上のワインを味わうことができた。
今回、特に注目したのが、美味しいイタリア料理「リゾット」を作る上で欠かせない、イタリアの「米」の存在!
イタリアの公的機関「イタリア国立米庁(Ente Nazionale Risi)」は、イタリア米の保護や推進、研究をメインとし、情報キャンペーンを通じて「メイド・イン・イタリー」米の認知度を高めるための普及活動を、実施している機関だ。

イタリアでは、販売された米の管理活動も実施し、米のトレーサビリティを監視している。また、イタリア国内外の多数の機関と連携し、米研究センターも運営しており、センターでは、生産性向上を目的とした活動、種子生産、生産者への技術支援、サプライチェーンや商業事業者へのAccredia認証分析サービスの提供などを行っている。

実はイタリアには、多岐にわたる米の品種があり、栽培される地域によって品種が異なるという。会場では、15種類に及ぶイタリア品種が紹介された。

日本でも有名なのが、「米の王様」と称され、主にリゾットに用いられる「カルナローリ(Carnaroli)」。大粒でアミロースが多く、粘りが少なく、食べると歯応えがあるため「アルデンテ(al dente)」を感じることができるのが特徴だ。

また、大粒で、加熱するとデンプンが多く出てクリーミーな仕上がりになる「アルボリオ(Arborio)」も定番だ。
さらに、ヴェネト州で生産される、小粒で吸水性の高い「ヴィアローネ・ナーノ(Vialone Nano)」なども、日本で見かけることができる品種だ。

さらに近年は、芳醇な香りと紫黒色が特徴のイタリア産中粒黒米「ヴェネレ(Venere)」も人気があるという。ポリフェノールを含み、抗酸化作用があることから、米粉のパスタなどに使用され、健康志向な分野で人気を博している。


チーズコーナーでは、「イタリアチーズの王様」とも称される、「パルミジャーノ・レジャーノ(parmigiano reggiano)」をはじめ、イタリアを代表する30種以上もの多様なチーズが展示された。


また、会場で行われた、クッキングデモンストレーションでは、豪華イタリアンシェフ講師陣が登壇し、イタリアの独自素材を用いた調理実演&試食会を実施!

初日には、京都にある「カンティーナ アルコ」の清水美絵シェフが登壇し、カタクチイワシを発酵させ熟成して作られるイタリアの魚醤ともいわれる調味料「コラトゥーラ(Colatura di alici)」を用いたパスタ「ミニトマトとレモンのスパゲティ」を披露!

「コラトゥーラ」は、アマルフィ海岸を含むイタリア南部、シチリア州など、イタリアの各地で作られている調味料だ。

「地域ごとに生産方法が独自で、濃厚な魚のうまみが特徴的です。フライパンでパスタと絡める前に入れても、最後に隠し味として入れても美味しいので、好みに合わせて使ってみてください」と語る清水シェフ。
4日間で7人のシェフが登壇したほか、パネットーネワールドカップ日本代表選考コンテストも実施され、会場は大いに盛り上がった。


「パネットーネ(panettone)」は、イタリアでクリスマスに食べられる伝統的な発酵菓子パンのひとつ。近年日本でも人気上昇のイタリアの銘菓である。レーズンや砂糖漬けオレンジ、シトロンの皮が入っており、フルーツが奏でる優しい甘さが特徴だ。
パネトーネを紹介するコーナーでは、伝統から新しい味わい方まで、その魅力が詳しく解説された。


イタリア発祥の深い焙煎豆を極細挽きにし、濃厚に抽出したコーヒー「エスプレッソ」の文化にも注目! カフェコーナーでは、プロのバリスタが淹れる、9種類もの至極のエスプレッソの飲み比べを、楽しむことができた!


イタリアン・ジェラートコーナーでは、出展イタリア企業のウェハースやコーンにあわせて、素材から組み合わせまで、こだわりの美味しいジェラートが披露された!
また、ピンサコーナーでは、22の出展者による、具材を詰めた「ピンサ(Pinsa)」を紹介! 「ピンサ」は、2001年にローマで生まれた進化形ピッツァ(Pizza)のことで、その特徴は生地にある。

大豆粉、米粉、小麦粉と乾燥マザー酵母などを配合した粉を使い、ゆっくりと熟成・発酵させる。生地には水分が80%以上含まれており、具を乗せる前後に二回の焼き上げを行うそう。そのため、表面はカリッと、中はフワフワの食感で、美味しい味わいで消化しやすいのが特徴だ。


定番はもちろん、この他に「モルタデッラ&ピスタチオ」、「フォルマッジョ」、「ピッカンテ」などの味わいもあり、アレンジの幅の広さにも注目だ。

(左中央)「一般社団法人日本・オリジナーレ・ピンサ・ロマーナ協会」のジョバンニ・カパンネッリ(Giovanni Capannelli)さん、カパンネッリ・多理央さんらも登場!
さらに、FOODEXの会場内には、欧州連合(EU)が共同出資する3年間のプロジェクト「KYOI 2024-27」の最終年度における重要な取り組みとして実施された「ペコリーノ・ロマーノDOP」のブースも!


ペコリーノ・ロマーノ(Pecorino Romano)とは、ヒツジの乳から作った、イタリアのDOP(原産地呼称保護)指定チーズのこと。ラツィオ州とサルデーニャ州、およびトスカーナ州で生産され、外見が白色の円柱形の硬質チーズで、独特の風味と旨味があるのが特徴だ。
食材の由来や品質保証を重視する日本市場において、同製品が持つ “本物志向” の価値が改めて支持されたようだ。
食品産業のあらゆる分野を網羅した展示会「フーデックス」のイタリア館では、こうした特設コーナーを通して、ユネスコ無形文化遺産に登録されたイタリア料理の多彩な魅力に触れることができた!
さらに、「2027年国際園芸博覧会(GREEN × EXPO 2027)」へのイタリアの参加も発表された!

「GREEN × EXPO 2027」は、世界経済が豊かさから、質的成熟社会へ転換する中で、2027年に横浜で開催されるイベントだ。
植物の多様な価値に焦点を当て、持続可能な未来とインクルーシブルな社会の形成に活用するとともに、自然との共生を未来の風景として、可視化していくことを目指すという。
「『GREEN × EXPO 2027』への道のり(Road to Green Expo 2027)」と題し、駐日イタリア大使館で行われたセミナーでは、イタリアの農産物の持続可能性やその革新性が語られた。

「日本はイタリアにとって重要な食品輸出市場です。輸出額では、欧州連合、英国、北米に次ぐ世界第4位にランクインしています。来年行われるグリーンEXPOでは、生物多様性を重視した、イタリアの農産物をアピールすることで、出会いと対話の機会を創出し、日伊の協力関係を強化していく予定です」とスピーチを述べる、マリオ・アンドレア・ヴァッターニ(Mario Andrea Vattani) 駐日イタリア大使。

続いて、イタリアから来日した、ラッファエッレ・ボッリエッロイタリア農業・食料主権・森林省(MASAF)官房長も話す。
「近年の気候変動への対処など、農業・食料分野は今、新しい会話を築く必要があります。パスタ、ワイン、オリーブオイルなど、イタリアの農産物の日本への輸出は、現在増加傾向にあり、今後も未来に向けて対話を続けていきたいです」と、意欲を語った。

さらに、農業、食料、林業、畜産、水産、および関連する社会経済分野を専門とするイタリア最大の国立研究機関「CREA(イタリア農業研究評議会)」のアンドレア・ロッキAndrea Rocchi会長は、デュラム小麦の品種開発をはじめ、持続可能で競争力のある農食サプライチェーンのための包括的なイタリアの研究を日本に紹介した。

また、イタリアの農業食糧市場サービス研究所「ISMEA(農業・食品市場サービス機関)」より、セルジオ・マルキ(Sergio Marchi)会長が登壇し、農業・食品分野の市場分析、情報発信、農業企業への金融支援、土地銀行の管理を行うことを通して、イタリアの社会課題でもある、若手農業従事者の育成に力を入れていくことを発表した。

「2027年3月から9月にかけて実施されるGREEN×EXPO 2027では、約1000万人の来場者を見込んでいます。グリーンインフラと自然環境を基準としており、ただ自然を守るだけでなく、生態系を高め回復させていくことに着眼しています。つまり、グリーン・インフラを実装する社会実現に向けた取り組みとも言えるでしょう」と話すのは、「GREEN×EXPO 2027」の副長官を務める八山幸司氏。

イタリアの著名な公的開発銀行「Cassa Depositi e Prestiti(CDP)」の支援国制度イニシアチブ責任者を務めるRiccardo Honorati Bianchi(リッカルド・オノラーティ・ビアンキ)氏は、海外に進出するイタリア企業の支援を表明。民間団体や公共機関への投資を含めて、今後国際化を推進していくと語った。

さらに、イタリアとビデオ中継を繋ぎ、加工肉(豚肉および牛肉加工品)の生産者と豚肉処理会社を代表する全国的な業界団体である「ASSICA(食肉・加工肉産業協会)」から、ダビデ・カルデローネ(Davide Calderone)氏が参加。
イタリアを代表する食品生ハムなど、豚肉の今後の輸入再開に期待を寄せていると、抱負を語った。


その他、日本を代表する飲料や食のプロフェッショナルである「サントリー」や「住商フーズ」も参加して、ワインや柑橘飲料など、高品質なイタリア食材やその食材を活用した多様な加工食品、飲料品などの魅力について言及した。
ユネスコの無形文化遺産にも登録されたイタリア料理。農業政策や食品貿易にも目を向けることで、高品質なイタリア食品が、伝統的な手法を守りながらも、イノベーションを取り入れることで、生物多様性や持続可能性を重視して、農産物を生産していることが分かる。
さらに、海外展開を武器に、農業を衰退産業から成長産業へと転換する動きは、イタリアのみならず日本にとっても重要なテーマだ。幅広いブランド展開で、農産物の海外需要を創出することができれば、日伊の食文化は相互に豊かになり、深みも増していくことだろう。
後編では、本場ミラノの国際的な食品見本市「TUTTOFOOD」に触れつつ、イタリア産のお米が、市場で安定して生産し続けるヒミツにフォーカス!


































