
劇場版『牙狼<GARO>TAIGA』が2025年10月17日から全国劇場にてロードショー公開されました。本作は「牙狼<GARO>」20周年記念作品と銘打たれ、第1作の主人公・冴島鋼牙(演:小西遼生)の父として、「牙狼<GARO>」シリーズで幾度も熱戦を繰り広げてきた冴島大河(演:渡辺裕之)の「若き日の戦い」が初めて描かれます。原作・脚本・監督を務めるのは、映画『牙狼<GARO>―月虹ノ旅人-』(2019年)以来6年ぶりの登板となる「牙狼<GARO>の生みの親」雨宮慶太さんです。
20年もの長い歴史を誇る「牙狼<GARO>」シリーズの最新作にして、新たなる始まりを予感させる本作。ここでは主人公・大河を演じる北田祥一郎さんと雨宮監督の対談インタビューをお楽しみいただきましょう!
取材・文/秋田英夫 写真/熊谷義久

劇場版 『牙狼<GARO> TAIGA』あらすじ
冴島大河は「黄金騎士ガロ」の称号を継承する魔戒騎士の家系、冴島家に生まれた。黄金の鎧を受け継いで魔戒騎士となり、魔獣ホラーとの闘いに明け暮れていた大河のもとに、新たな指令が届く。内容は、喰らった者の力を手にする魔獣ホラー、蛇道が奪った四神の魂が宿る ”羅針盤” を取り戻すというものだった。大河は聖獣の祠に仕える魔戒導師、吹奇と共に、羅針盤を取り戻すための戦いに身を投じるのだった。

――「牙狼<GARO>」テレビシリーズ放送から20周年という記念すべき年に、冴島大河を主人公にした映画が製作されることになった経緯から、教えていただけますか。
雨宮 昨年(2024年)の6月、東北新社さんから「冴島大河の若いころ」をテーマにした映画を、脚本・監督でやってほしいと、ダイレクトにオファーをいただいたのが始まりでした。話を聞くと、映画の納品が2025年の3月末。そして、秋には公開したいとのこと。11月から撮影を開始するにしても、そのための準備期間が4ヶ月くらいしかなくて、それでも引き受けて、頑張って作ったわけです。僕の手がけた作品の中でも、かなり製作開始から完成までの時間がタイトでした。
――そんな事情があったのですか。しかし、タイトな製作期間でも雨宮監督ならやってくれるのではないかという、これからの前例になってしまったら困りますね。
雨宮 もしも次に同じスケジュールでやってと言われたら、お断りするかもしれません(笑)。でも今回は、こんな状況であっても、良い作品を作り上げることができるのかどうか、一度チャレンジしてみたかったという思いがありました。

――北田さんは映像作品で主演を務めるのが初めてだとうかがいました。大河役はオーディションで決まったのですか。
北田 そうです。昨年の夏ごろに書類審査を経て、東北新社さんに向かいました。会場には、吹奇を演じる神嶋里花さんもいて、一緒に面接を受けました。
雨宮 当初はある程度キャリアを積んだ俳優さんに声をかけようとしていたんですが、たまたま条件が合わなくて断念したり、候補として挙がった方が僕のイメージする大河像と違っていたりして、しばらく決まらないままでいたんです。そこで視野を変え、今までの「牙狼<GARO>」シリーズと同じく、経験のあるなしに関わらず役のイメージに合う役者さんから選ぼうとした結果、北田くんを見つけたという感じです。
北田 ありがとうございます。オーディションに臨む前、「牙狼<GARO>」の世界観、作風を知るため、過去作品をじっくり観てみようと思いました。


――具体的には、どのシリーズからご覧になりましたか。
北田 やはり最初から観るのが一番いいだろうと思って、20年前の第1作を観ました。改めて、大人っぽい特撮作品だなあという印象を受けました。僕が子どものころ大好きだった『百獣戦隊ガオレンジャー』(2001年/東映)とはずいぶん雰囲気が違うなあって(笑)。
雨宮 ご存知のとおり、冴島鋼牙の父・大河は渡辺裕之さんが演じていましたけれど、同じ人物の若き日を演じる北田くんには、以前の「牙狼<GARO>」や大河像を意識しなくていいよって言っていました。むしろ、今回は「新しいヒーロー」をみんなで作るという考えで、撮影に臨んでいます。ナベさん(渡辺さん)の大河と、北田くんの大河が同一人物であるということについては、設定として僕自身が気をつけていればいいだけで、北田くんや共演者の人たち、そしてスタッフには過去作を気にせずのびのびとやってもらいたかったんです。
――魔戒騎士の衣裳を初めて見たときの、北田さんのご感想はいかがでしたか。
北田 とにかくカッコいい! と思いました。衣裳を作られているJAP工房さんへ赴いてフィッティングを何度もやりまして、細部をいろいろ直していただくたび、どんどん見た目が立体的になっていきました。そのたびに、カッコよさが増していくなあと、感激していました。
雨宮 毎回ではありますが、衣裳の製作には時間がどうしてもかかってしまうものなんです。今回は特にスケジュールが厳しかったこともあり、北田くんに決まる前から作り始めていました。最初、身長180cm以上の人を想定して準備を開始し、そこから北田くんを交えて、身体にジャストフィットするよう調整していきました。
北田 できあがった衣裳はそこそこの重さがあるのですが、それ以上に、製作に携わられたみなさんの思いを背負う、気持ち的な「重み」を感じつつ、責任感を持って着させていただきました。

――そんな重い衣裳を着て、激しいアクションをしなければなりませんから、たいへんだったのではないですか。
北田 撮影に入るまで1ヶ月くらいの間、アクション稽古がありました。そこで基礎の部分から教えていただき、撮影で使う殺陣、立ち回りの練習をしていました。自分で思っていた以上に動けなかったため、アクションチームの方々に何度も稽古をつけていただき、撮影に入ってからも隙間の時間を使って練習して、なんとか最後までやりきれたかなって思います。
――北田さんは以前に本格的な立ち回りを経験されたことはありますか。また、雨宮監督から見た北田さんのアクションはいかがでしたか。
北田 舞台で二、三度ほど剣の立ち回りを経験し、高校時代に趣味でキックボクシングをやっていたこともあって、今回もアクションをこなせるかなと最初は思っていたのですが、映像作品におけるアクションの見せ方はそれらとは全然違っていて、すぐに考えを改めました。格闘技だと相手をいかにして倒すかに集中しなければなりませんが、映像でのアクションはカメラから覗いて、自分と相手がどのように映っているのか、常に意識しながら動かなければならない。そういった部分を教わったり、自分なりに考えたりしながら、真剣に取り組んでいました。

雨宮 北田くんのアクションについては、いいところもそうでないところもありますので、いいところだけを使いました(笑)。でも、歴代「牙狼<GARO>」の主役たちも、みんな似たようなものなんですよ。一口にアクションといっても、ここはうまくできるけどこっちはちょっと難しいかな、みたいな、向き不向きが必ず出てきますから、いろいろやってみて、最高の画になったところだけを拾うというのが、ベストなやり方だと思います。

――冴島大河が指にはめた魔導輪ザルバ(声:影山ヒロノブ)と会話を交わすという、シリーズでおなじみのシーンも、北田さんにとっては初めての体験になりますね。
北田 ザルバとの会話シーン、最初はずいぶん戸惑いました。現場では、助監督の方がザルバのセリフを読んでくださり、そこでタイミングを計りつつ僕がセリフを言うといったやり方なのですが、それだとザルバがどんな感情で話しているのかがつかめないんですね。ある程度、ザルバの気持ちを予想しながら芝居をするというのが、難しかったところです。まず相手がいて、相手の言葉を受けてこちらが返すというのがお芝居の基本なんですけど、相手がどんな気持ちで話しているかわからずに、返しだけをするというのは不安なんです。でも、やっていくうちにだんだん慣れてきて、途中からはザルバと大河の関係性をしっかりつかんだ上で演技をすることができたと思います。
雨宮 その場にいない相手と芝居をするのは、難しいんですよ。北田くんに注意してもらったのは、魔導輪をはめている手の「上げ、下げ」でしたね。画面にザルバがずっと映っている必要はなく、状況に応じてフレームから外して演技してほしいと言いました。なぜなら、ザルバが映っていると合成カットの分量が増えるから(笑)。ザルバの口パク(開閉)が入らない、大河だけのカットがあると、それだけ北田くんが自由にしゃべることができる。芝居の変化をつけるためでもあるし、予算的な問題もクリアできる。これって「牙狼<GARO>」シリーズにおける鉄則のようなものですね。

――黄金騎士ガロの鎧を身にまとう、いわゆる「召還」シーンについてはいかがですか。
北田 過去の作品を観ていて、やっぱり鎧の召還シーンには心躍るものがありましたので、これを自分がやるんだなと思ったときは興奮しましたし、鎧を召還する場面はとても気持ちよく演じさせていただきました。
雨宮 今回は北田くんにも実際に黄金騎士ガロの鎧を着て、撮影してもらったよね。歴代主人公の中で、初めての作品であの鎧を着た役者は北田くんが初めて。鎧を着て、顔だけ生身の状態になったシーン、あれは合成ではなく、アナログな手法で撮りたいと思いました。
北田 貴重な体験ができました。ありがとうございます。あのときも、この鎧の上にいろいろな人たちの思いが乗っかっているんだな……と感じながら、気合を入れて撮影に臨みました。

――若き日の大河の姿を描くということは、時代設定が40年くらい昔……1980年代あたりを想定していると思いました。時代が今と違う、という部分はどのように表現されましたか。
雨宮 僕とナベさんの世代が近くて、お互いにとっての青春時代は「80年代」ですから、今回は衣裳部をはじめとするスタッフのみんなが頑張って、80年代の文化・風俗の再現や、街の人々の服装とかで、当時の匂いを感じさせるような工夫をしてくれています。ただ、80年代ってこれだよねっていうような、時代を表す象徴的なものってあまり多くないんですよね。とりとめのない、ファジーな時代だったから。それでも40年前に存在した実際の洋服などを選んで、エキストラのみなさんに着てもらったりして、80年代の空気を再現するよう努めています。
北田 僕は1997年生まれなので、今回の撮影で使われた街の風景や、小物などを売っているセット、街の人々の服装などについては「昔はこういう感じだったのかな、今の感覚だと珍しいな」という気持ちを抱きながら見つめていました。実際にも、画面から「現代とは一味違う、不思議なムード」が感じられるはずです。
雨宮 ただ、ことさら「ここは80年代の街ですよ」と説明はしていないんです。時代設定を気にせず、今回の映画で初めて「牙狼<GARO>」に触れる方でもすんなりと観ていただける作品にしたいという願いがありましたから、以前のシリーズを観ていないと理解できないような、複雑な設定を入れ込まない方針でやっていました。

――これまで大河を演じてこられた渡辺裕之さんの面影が、北田さんのキリリとした表情や仕草に表れているような感覚を受けました。これは雨宮監督が意識して演出に組み込まれているのですか。
雨宮 それは小西(遼生)やナベさんなど、今までの「牙狼<GARO>」に出ていた人と同じ撮り方をしているからであって、特に「イメージを寄せよう」と意識したわけではありません。僕の中にあるカッコよさやケレン味の感覚が変化していないので、僕が「カッコいい」と思っているヒーローの所作を撮れば、おのずとそれぞれのイメージに通じるものが出てくるんでしょう。もしも今後、新しい主人公を描く機会があっても、僕のヒーローの撮り方は変わらないと思います。
――映像表現として目をひいたのは、黄金騎士ガロの攻撃が敵にヒットした瞬間、「毛筆画」のようなイラスト・ビジュアルが挿入されるところです。同じ構図でありながら、立体と平面が交錯するような強いインパクトをもたらしました。ああいった表現の狙いを教えてください。
雨宮 「牙狼<GARO>」シリーズで僕が監督を務めるときは、他の監督がやらないような映像表現を入れるようにしています。しかし今回は、予算と時間の両方の都合で潤沢にCGを使うことができないという苦しい状況でしたから、どんな画を入れようかと考えて、導き出した答えは僕が「絵を描く」しかないってことでした。フルCGでの戦闘シーンの真逆、アナログ的発想ですね。筆による絵のタッチに「力」を感じたので、これを演出の要点に用いたんです。
北田 現場で撮影しているときは合成エフェクトが入らない状態でやっていますから、完成した映像を観て、初めて「こうなっていたのか!」と驚かされる場面が多かったですね。一応、頭の中ではこういう敵が出てきて、こう動く……みたいなイメージをしていたのですが、その想像をさらに超えてくる映像が飛び出してきて、興奮しました。

――魔戒騎士・冴島大河を演じるにあたり、北田さんが強く心がけていたことを教えてください。
北田 雨宮監督の言葉で、今でも鮮烈に覚えているのは「ゆるぎなく」という一言でした。大河として演技をする中で言われたのですが、それからずっと僕の心にしみついています。大河のコートを着た瞬間、無駄な動きをしない、魔戒騎士としてのカッコいい姿を常にイメージして、撮影に臨むようにしていました。
雨宮 ゆるぎない部分もそうではない部分もあったから「ゆるぎない」ところだけを使いました(笑)。
北田 ありがとうございます!
――映画で重要な役割を担う「少年時代の大河」を演じられた渡邊斗翔さんの印象はいかがでしたか。
北田 とてもお芝居がうまくて、出演シーンの至るところでプロの役者魂を感じました。
雨宮 今回の映画の中で、彼がいちばんの芸達者でしたね。
北田 撮影中、何度か一緒になる機会がありました。僕自身、勉強させていただいたって感じです。12歳にして、たくさんの映画やドラマの出演をこなしている人ですから。
雨宮 斗翔くんは、僕の印象だと雷牙(演:中山麻聖)に似ているかもしれない。冴島一族のイメージどおりのキャスティングといえますね(笑)。大河の少年時代を斗翔くん、青年時代を北田くんに演じてもらって、ナベさんの大河につながる。イメージが共通しているので、3つの時代がちゃんとリンクしているように思えます。
――肥後克広さん、ひょうろくさんが出演されていますが、テレビで活躍されているお笑いタレントの方を、ちょっと意外な形でキャスティングするのは過去の「牙狼<GARO>」シリーズからの恒例になっているようですね。
北田 肥後さんとは映画の最初のシーンでご一緒させていただき、とてもお世話になりました。
雨宮 僕の好みとするキャスティングではありますね。肥後さん、ひょうろくさん、そして白虎を演じた波岡一喜さん、導師水残を演じた島津健太郎さんと、どこか共通する雰囲気を持っているような気がするんです。撮影の合間にメイク係の女の子と話していて、僕が「今回のキャスト、“豆” みたいな顔の人多いよね?」って言ったら「監督って、豆がお好きなんですね」って返されました。このとき、僕の俳優の好みがはっきりしましたね(笑)。


――今回、大河の最大の敵となる魔獣ホラー「蛇道」を演じられた瀬戸利樹さんの、ゾッとするような気迫と妖艶さを併せもったビジュアルもよかったです。瀬戸さんをはじめ、今回は「牙狼<GARO>」シリーズ初登場の役者さんが多い印象を受けました。
北田 瀬戸さんは撮影に入ってからずっと、何かと気にかけてくださって、最終的にはなんでも話せるお兄ちゃんのような存在になってくれました。印象に残っているのは、ロケバスに乗っているとき、ふと話してくれた「この映画、北田くんの中で良い作品になればいいね」という言葉です。これがきっかけで緊張がほぐれ、スムーズに撮影が進んだんじゃないかって思います。役の上では敵同士ではありますが、とても信頼のおける方。アクションシーンを撮る直前、こちらからお願いして、練習に付き合っていただきました。そのおかげで、蛇道と大河のワンカットでのアクション撮影では、特に言葉も交わさず呼吸が合って、気持ちよく撮影ができました。
雨宮 いい雰囲気だったと思いますね。今回は、過去の「牙狼<GARO>」シリーズに出た人をあまり入れないようにしたいと考えて、特にヒーローサイドはほぼ初めての人で固めてみました。波岡さんや他の数人は経験者ですけど、別な役で入ってもらったりしてますね。まったく「牙狼<GARO>」を知らないってくらいの役者さんが、世界観やキャラクターを新鮮に受け止めてくれて、ふつうにのびのびと演じてもらったという空気が感じられて、よかったですよ。「牙狼<GARO>」への愛着が強く、新しく入って来た人にいろいろ説明してくれる熱心な人もありがたいのですが、今回は特に「牙狼<GARO>イズムとは……」みたいなレクチャーが入らない現場を心がけました(笑)。


――JAM Projectによる主題歌「TAIGA~守りし者よ風の如く~」の出来栄えはいかがですか。
北田 予告編でサビの部分が流れていたのを聴いて、作品の世界観にピッタリなカッコいい曲だな~って、興奮しました!
雨宮 JAM Projectと仕事をするときはいつも、出来上がった台本をお渡しするところから始まります。すると、作曲の影山(ヒロノブ)さん、作詞の奥井(雅美)さんたちが台本を熟読して、その上で楽曲を作ってくださいます。作品内容を共有しているゆえに、主題歌がしっかり物語のテーマと合致して、ブレがありません。よくある映画主題歌だと、タイアップ曲が準備してあって、監督がそれを使うみたいな感じなんですが、『牙狼<GARO>』ではお互いがしっかり関わりあって、僕からも意見や提案を出したりして、ディスカッションを積み重ねて作り上げている。そのやり方は今回も変わっていません。映画ではエンドロールにたっぷりと曲が流れますので、楽しみにしていてください。
――2022年に惜しくもこの世を去った渡辺裕之さんへの思いは、作品のどんなところに込められていますか。
雨宮 ナベさんなら、「渡辺裕之に捧ぐ」みたいな紋切り型の言葉を出すんじゃなくて、「スタッフ」としてクレジットされるほうが喜んでくれるんじゃないかと思いました。そこで台本を一部書き直して、ナベさんが生前に残した「もの」を映画の中で使っているので、そこに注目していただきたいですね。ただ、今回の映画では北田くんが演じる冴島大河を、僕たちが全力で形にしていかなくちゃいけないし、そうすることがナベさんに対する一番のリスペクトかなと考えていました。
北田 渡辺さんのことは意識しないていいと雨宮監督から言っていただいたので、僕としてはプレッシャーを感じず、思いっきり役に取り組めたのではないかと思っています。
雨宮 まさに、そういうつもりで臨んでもらっていたんだけど、撮っているとき、ふいに北田くんにナベさんのイメージがかぶる瞬間もありましたね。これは特に狙ったわけではなく、大河という同じ役を演じた者同士に通じるところがあったのかもしれない。ある時、長年「牙狼<GARO>」シリーズでゴンザを演じてくださっている螢雪次朗さんが北田くんの演じる大河を見て一言「裕之の若いころにそっくりだなあ」っておっしゃったのが印象に残っています。
北田 螢さんとお会いしたときそんな風に言ってもらえて、本当に嬉しかったです!
雨宮 「ナベさんではない冴島大河」が「牙狼<GARO>」ファンのみなさんに受け入れられるかどうか、本予告が発表されるまで心配な部分がありましたけど、実際にはとても好意的に捉えていただけて、ありがたかったですね。なにしろ「大河のイメージと違う」みたいな声が、ほとんど聞こえてこなかった。すごいと思います。映画本編を観てくだされば、北田くんの演じる大河の魅力がより強く感じ取れるのではないかと思います。
――これから映画をご覧になる方や、リピート鑑賞される方たちに向けて『牙狼<GARO>TAIGA』の、特にここを観てほしいというアピールポイントをお願いします。
北田 最初に大河がホラー・キャンドリアと戦うシーンをまずおすすめしたいです。ここで作品の中にグッと引きこまれると思います。20年もの間「牙狼<GARO>」シリーズを応援してくださった方たちにも、今回初めてご覧になる方にも、ぞんぶんに楽しんでいただける作品になっているはずです!
雨宮 20年間、ずっと作り続けてきた「牙狼<GARO>」ですけれど、自分の「やり切った」感じで言えば、これまでで一番満足度の高い「牙狼<GARO>」が出来たと思っています。エンドロールの最後まで大切なメッセージが込められていますので、ぜひ映画館に足を運んで、じっくり鑑賞していただければありがたいです。
――映画の公開に続き、「道外流牙(演:栗山航)」の活躍を描く「牙狼<GARO>」新作TVシリーズの制作も決定したとのこと。20年を経て、さらなる未来へ向けて飛躍していく「牙狼<GARO>」ですが、今後また若き日の大河=北田さんの活躍する姿が見られるかも、と期待してよいでしょうか。
北田 僕自身も、大河がこれからどのような活躍をしていくのか気になりますので、ぜひふたたび大河として「牙狼<GARO>」の世界に携わっていきたいです。
雨宮 そうありたいですね。まずは今回の劇場版『牙狼<GARO>TAIGA』がヒットしてくれて、そこから新しい大河の物語が作られることを僕も望んでいます。20年という節目を迎えて、以前の「牙狼<GARO>」を観たことのない人たちが、新しいファンになってくれるといった現象が起きているので、これまでと違う、意外な形でのシリーズ発展も見られるんじゃないかと期待しているんです。20周年で「ここまで来たか」と後ろを振り返るだけでなく「ここから新しく始めるぞ」といった、ゼロスタートの気持ちを抱いていきたいと思っています。これからも「牙狼<GARO>」をよろしくお願いします。
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劇場版『牙狼<GARO>TAIGA』ストーリー
人間の邪心にとりつく魔獣「ホラー」を殲滅する使命を帯びた「魔戒騎士」、それが冴島大河である。冴島家に代々伝わる「黄金騎士ガロ」の鎧を受け継いだばかりの大河に、ある指令が届いた。その内容は、人間を守護する大いなる存在=聖獣の魂を宿した「羅針盤」をホラーから奪還せよとのこと。大河は聖獣の祠に仕える魔戒導師・吹奇とともに、魔獣ホラー・蛇道から羅針盤を取り戻すため、激しい戦いに身を投じていく……。


雨宮慶太
あめみや・けいた 1959年8月24日生まれ。千葉県出身。1988年『未来忍者』で映画監督デビュー後、『ゼイラム』(1991年)『ゼイラム2』(1994年)『タオの月』(1997年)などで監督およびキャラクターデザインを手がけ、独自の幻想的な世界観を創造する映像クリエイターとして注目される。「牙狼<GARO>」シリーズでは原作・脚本・監督(総監督)を務め、日本のみならず海外にも熱狂的なファンを生み出している。

北田祥一郎
きただ・しょういちろう 1997年11月3日生まれ。大阪府出身。2025年、テレビドラマ『雨上がりの僕らについて』や松本梨香40周年記念特別公演『ナビゲーション』などに出演後、劇場版『牙狼<GARO>TAIGA』で冴島大河役に抜擢され、映画初主演を飾る。特技は大食い、水泳、キックボクシング。サンミュージックブレーン所属。
劇場版『牙狼<GARO>TAIGA』は2025年10月17日より、全国ロードショー公開中。そして『牙狼<GARO>』誕生20周年を記念した豪華展示会『牙狼<GARO>20周年 魔戒録』が10月26日まで、東京・西武渋谷店モヴィーダ館6・7階特設会場にて開催されています。
Ⓒ2025「TAIGA」雨宮慶太/東北新社

秋田英夫
あきた・ひでお フリーライター。『宇宙刑事大全』『大人のウルトラマン大図鑑』『日本特撮技術大全』『上原正三シナリオ選集』など特撮書籍・ムック等の執筆・編集に携わる。「雨宮慶太仕事展-界-公式本」(2024年)で雨宮監督のロングインタビュー記事を担当。機会があればぜひお読みください!