特撮ばんざい!
第25回『ウルトラマンブレーザー』佐野史郎×田口清隆インタビュー(後編)


『ウルトラマンブレーザー』ファンの間で今密かな楽しみとなっているのが、俳優・佐野史郎氏がSNSに投稿する感想の数々。そんなブレーザーの熱いウォッチャーである佐野氏と、メイン監督を務める田口清隆氏の世紀の対談が実現! WEBでは、完全版として前後編で対談の全容を公開します。

聞き手・文:タカハシヒョウリ

『ウルトラマンブレーザー』とは?
世界的な怪獣災害に対処する特殊怪獣対応分遣隊スカード(SKaRD)の面々と、その隊長でウルトラマンブレーザーに変身するヒルマ ゲントの物語。リアルなミリタリー描写とドラマ、そしてウルトラマンブレーザーの謎めいたキャラクターで注目を集めている。テレビ東京系で毎週土曜日朝9時放送中。YouTubeで見逃し配信も無料視聴可能。

『ウルトラマンブレーザー』演技論

佐野 今回のキャストもすごいよね。アンリ(※内藤好美さん)が空手の有段者で、エミ(※搗宮姫奈さん)も坂口拓さんのお弟子さんで、ふたりともちゃんと古武術に通じる身体の使い方してるでしょ。アンリなんて、いくらなんでも動きが普通じゃない。

ちょうど刑事ドラマで榎木孝明さんとご一緒してて、榎木さんも古武術をやっていて内藤さんとも舞台共演してらっしゃるから、色々彼女の話聞かせてもらったりして。坂口さんのYouTubeを見ていると「アクションは会話なんだ」って言い切ってるんですよ。

僕は運動しないし、アングラな俳優だけど、師匠は唐十郎でやっぱり「身体」なんですよね。演出家とか監督に「会話はアクションだ」って教わってきて、「言葉で相手を動かす」っていう教育を受けてきた人間なので、そこもやはりどういう風に身体を使うかにかかってる。それは「想い」じゃないんだよね。

――「身体性のリアリティ」みたいなものが、今回のキャスティングの中には凄く表れてますね。

田口 要するに地球防衛隊があって、その中でも5人しか選ばれない超エリート特殊部隊ですから、きっちり鍛えたある程度の年齢の人でないといけないと思ったんです。だから、本人たちも確実に戦えるし、なんなら脱いだら凄いような人で固めたいっていうのは初めからお願いしてて。実は『Z』の時も同じだったんです。『Z』の隊員たちも、オーディションで全員前転させられたり、腕立て何十回とかやらされたりしてるんですよ。

佐野 これまでのキャストの皆さんも僕は好きだけど、それにしても今回のメンバーはすごいね。そういう身体だから、こういう演技なんだなと。あとは、現場でどういう細かい演出をしてるのかが、手に取るようにわかるところがあって。思い込みが過ぎるかもしれないんだけど(笑)。

普通の刑事ものや恋愛もののドラマをやってるとね、演技について指導したりダメ出ししたりっていうのはなかなか無いですよ。僕らの世代は、監督、演出家に地獄のようにどつき回されていたもんだけど、今はそんなことはないよね。

でもウルトラマンに限らず、戦隊やライダーに出演した際に若い俳優さんたちと一緒にいると、普通のドラマよりも監督が厳しいですね。だから特撮の世界から続々と俳優さんが出てきてるのは、そういうことなんだろうなっていうのを、この10年、20年見ててすごく思うんですけど。

――今回、キャスティングというところではいかがですか?

田口 今回は、「逆当て書き」じゃないですけど、かなり「まんまじゃん! この人」ってキャストを選べたんです。例えば副隊長のテルアキ(※伊藤祐輝さん)は、最初の面談の時に突然「怪獣について本気で考えてきたんですけど」って、結構長めの怪獣論を語りはじめたんです。

その時点で、もうテルアキじゃないですか! みたいな感じで(笑)。アンリも、かなりあのまんまなんです。エミ(※搗宮姫奈さん)は、なんていうか、ちょっと変なんですよ(笑)。普段は明るく振る舞っているけど、ブログを読むと「こんなこと考えてたの!?」ってことがいっぱい書いてある。そういうとこも、もうエミそのまんまじゃんみたいな。

ゲント(※蕨野友也さん)は、どこまでも真剣。なんならゲントよりご本人の方がもっと真面目かもしれない。初対面の顔合わせの時に、ちょっとセリフを読んでもらったんですけど、読み合わせぐらいのレベルできっちりやれたんですよ。あ、もうこの人ゲントだってその時点で思えたんで。そんな隊長が最年長で、5人組のリーダー、座長になったってところで、他の4人にも影響があったと思います。

佐野 そうなんだ。だろうなぁ。俳優の俺が俳優論みたいのを語るのはいかがなもんかとも思うんですけど、東宝のゴジラシリーズの俳優さんの演技について書かせてもらったことがあるんです。1975年の『メカゴジラの逆襲』までの俳優さんと、僕も含めたそれ以降のゴジラシリーズの俳優さんって、やっぱり違うんですよね。

何が変わったのかっていうと、「本当だから、嘘だから」って、それまでは分けてない。そういう身体しか知らなかったと思うんだよね。それがどこかから、本当のように見せようって思い始めちゃったんじゃないかな。これは、自戒を込めて言ってるんですけどね。ただ生きてりゃ良いのにって思うんです。

でも『ブレーザー』だと、要所要所でいわゆる演技をしないで、ちゃんとその物語の中で生きてる人の状態になってたんですね。2話でSKaRDが結成される時にね、それぞれの隊員のお芝居の反応が細かいのが面白くて。

例えばアンリのね、「特殊部隊っぽい…」とか「やば」とか。あとはレヴィーラの回のエミちゃんの物言いとか、良い意味で明らかにお芝居じゃない。ちょっとした一言、生なセリフの物言いっていうのが続いたんで、これはたまたまそうなったんじゃないなと思ったんだよね。

「今こうなってます」っていう、報告するだけのシーンってあるじゃないですか。本当に事実だけを、パンパンパンパンって言うんだよね。これはなかなか無いの。これ、どういう演出したんだろうって。

田口 これは演出する時の僕のこだわりなんですけど、脚本や本読みの段階でこういう言い方しないよねっていう語尾とかをバンバン削っていくんです。とにかくわざとらしい発音をしたら、普段そんな言い方しないでしょって。

佐野 そこですよ。やっぱり、そういう細かいことをきちっと作り込んでいる積み重ねで、このチームなら大丈夫だって思えるんだよね。実は正直に言うと、10話、11話ではちょっとまた演技が変わってるように見えたんだ。監督が田口監督じゃないというのもあるのかもしれないけど。

でも、田口監督じゃない時でも彼ら彼女らが自分で意識的にコントロールしてるように見えた時もあった。レヴィーラの回で、最後にゲントと2人だけの水族館のシーンあったじゃないですか? あの回は、田口監督の担当じゃないよね。

田口 じゃないです。4、5話は辻本監督ですね。

佐野 あの時、最後の方のエミだけ普通の女優さんの芝居をしてるんですよ。だけど、それはわざとやってるなと思ったんだよ。そういう皆さんのお芝居が面白くて。皆さんひとりひとり、それぞれ現場でトライしてるのがよくわかる。ごめんなさい、これは俳優部的なものすごい細かい話なんですけど。

美術、ラヴクラフト、まだまだ続く『ブレーザー』放談

――本当に今回は作り込みがすごいというか、特撮のセットにしても、基地の中のちょっとした紙1枚にしても、作り込んでる感じが伝わりますね。

田口 そうですね、その辺もなるべくこだわってます。今回、美術の技師が変わったんです。商業デビュー作『ゲハラ』の時も美術をお願いした稲付正人さんが今年から入ったんですけど、細かい飾り込みが凄いんです。たとえば、奥山に小さい電柱の鉄塔を置いてるんですよ。「あー、そうだよね! 日本のこういうところは山に鉄塔あるよね」っていう、そういうことやる方なんです。

佐野 なんか『空の大怪獣ラドン』(1956年公開、日本初のカラー怪獣映画)の頃みたいじゃないですか。

田口 個人的に特撮美術で1番うまいと思ってる方が、今回やってくださってるんですよね。

佐野 ビルの中から見たカットにしたって、すごいもんね。「作り物なんだけど本当にある」っていう風になると、スタッフもキャストも生きてくるんですよ。それがもう、なんか見てて「ざまあみろ!」って感じがするんだよ。誰に「ざまあみろ!」なのかわかんないけど(笑)。

田口 そういえば、『ゲハラ』の時にほぼデビューに近かった助監督が、13話の総集編で監督デビューしたんですよ。

佐野 そうなんだ!

田口 総集編って新人監督の登竜門になってるんです。宮崎龍太ってやつなんですけど、僕以上に実相寺昭雄監督が好きな男で。あんまりそういうの(※実相寺演出)やらないって本人は言ってたんですけど、見たらやっぱりやってましたね(笑)。好きなら、どうしたって入ってくるとは思うんですけど。


「眠ってけれ!」

第5話「山が吠える」について、佐野さんはアーサー王伝説や草薙の剣などの古今東西の神話や物語が重なるのでは?と考察する。上の写真、ドルゴを眠らせる剣状のご神体を差すアンリのセリフ「眠ってけれ!」も気になっている。

――佐野さんの感想ツイートでは、第5話『山が吠える』の時に何度かに渡って投稿なさっていたのが印象的でした。

佐野 個人的な趣味だよね。「山が吠える」ってタイトルを見たら、H・P・ラヴクラフトの『ダンウィッチの怪』を思うわけですよ。それは、タイトルからしてズルい(笑)。

――タイトルの付け方についても、初期ウルトラマンシリーズっぽいタイトルが多いですよね。

田口 そうですね。基本的には各監督、脚本さんに任せてはいるんだけども、『ウルトラQ』っぽい感じでちょっと詩的なタイトルにしたいっていうのは言ってありますね。5話までは、パイロット版としてがっつり一緒に脚本を作ったんです。1、2、3話は世界観作りで、4、5、6話で、キャラ作りという一貫した形になってます。

佐野 アンリの「眠ってけれ!」というのは、本当に最高ですよねぇ。やっぱりちょっと「アーサー王伝説」のことを連想したんだけど、それはどのくらいありましたか?

田口 脚本を書いた継田淳さんが気にしてたかどうかは、わからないですね。少なくとも脚本会議では出てないかな。

佐野 この剣を抜いた者が支配者になるっていう。アーサー王伝説っていうのは、ヨーロッパの土着の人たちを侵略して立派な王様になったっていう、僕に言わせればそういう話ですから。そういう西洋の物語と、日本の草薙の剣であったりといったものが、東西超えてここに重なるわけですよね。

それがこの造形にも現れているし、それに「侵略者は自分達じゃないか?」っていう「ノンマルトの使者」の葛藤にも繋がるんです。

宇宙怪獣はスペシャル

佐野 土着的な伝承と宇宙的な神話が組み合わさって両方あるっていうのもやっぱりウルトラマンの魅力で、『ブレーザー』のエピソードの組み立てなんていうのも明らかにそれを意識して並べられていると思うんですが。

田口 今回せっかく新怪獣を多めにやれるってところで、宇宙怪獣っていうのは特別扱いしているんです。これも実は、コロナの影響で。要は、これだけみんながウイルスというものに知識を得てしまった今となっては、宇宙から来た生き物がそう簡単にやられて、吹っ飛ばされて、それで解決っていうわけにいかないんじゃないかって思っちゃったんです。

地球防衛隊っていうのは、とにかく宇宙から変なモノが入ってこないように全力で止めてるんじゃないかっていう世界観にしてみようかと。それで、宇宙怪獣が来たら、もうとんでもない、とにかく早く倒せ! ってなる世界観にしてみたんですね。そういう意味では、逆に地球怪獣が多めで、宇宙怪獣はスペシャルっていう構成にしてあります。

――再登場怪獣のチョイスというのは、田口さんが中心になって選んだのでしょうか?

田口 いや、基本的には各監督です。自分は、15話で念願のガヴァドンをいかせてもらいます。前からずっと言ってたんですよ。何をやりたいかっていったら、ガヴァドンAとブルトンだって。ブルトンは『Z』の時に実現したんですけど、ガヴァドンは人気出るってなかなかみんな信じてくれなくて(笑)。

佐野 僕は君塚良一さん(監督、脚本家)と昔から仕事していて、君塚さんもウルトラが好きなんですよね。それで以前『怪奇大作戦』みたいな企画を考えていらして。それで君塚さんは、バルンガ(『ウルトラQ』に登場する無限に大きくなる風船怪獣)をやりたいんだって力説してましたね。

田口 バルンガは、収拾つかなそうですね(笑)。ガラモンは、越知靖監督のチョイスですね。新怪獣の数が決まっているので、越監督は新怪獣が使えなくなっちゃったんです。そこで彼が知恵絞って考えたのが、ピグモンのスーツをガラモンとして使うっていう。僕はガラモン大好きなんで、「ガラモンを変な風にしたらダメだよ……」ってちょっと強めに(笑)。普段は、あんまり言わないようにしてるんだけど。

佐野 その後、チルソナイトのソードが出てきましたけど、そのストーリーは最初から決まってたんですか?

田口 今回はいわゆるタイプチェンジをしないんですけど、剣を持つっていうのは決まってたんです。ハンターなので、倒した怪獣を武器にしていくっていうアイデアが1番最初にあったんです。例えばゴモラを倒したら、月の裏でウルトラマンがトンテンカンって武器を作って、次に出てきた時に槍を持ってるんだけど、その槍の刃が明らかにゴモラの角だ! みたいなアイデアを最初に出してたんです。

それは無くなったんですけど、そこから倒した怪獣のパワーをストーンに込めて使うっていう形にしようと。今回は変身アイテムの方にも関われたので、メダルじゃなくてちょっと立体物的なストーンで、いわゆる初代『マン』のオープニングのシルエットみたいな感じで怪獣が刻印されているっていう物を考えたんです。

そんな時に、ガラモンが出ることが決まって。ガラモンのストーンを使ったら、ガラモンのチルソナイトで作った剣になるっていうのは、僕みたいな保守的なファンでも欲しくなるかなと思ったんです。

佐野 僕は正直に言うと、フィギュアとかにはそこまで興味を持たないんですよね。怪獣キャラクターが好きなんじゃなくて、その背景が好きなんです。だから子供の頃に怪獣映画を見に行っても、怪獣のシーンだけ大人しく見てて人間ドラマになったら騒ぎ出す子供に腹立ってました。自分も子供なんだけど(笑)。そんな俺みたいな人間でも、あの剣はちょっと欲しいですよ。

田口 良かったです(笑)。

円谷プロ作品は、人生と共に

田口 実は『ブレーザー』というタイトルは、10年前の『ギンガ』の前にすでに提案していたんです。「原点に戻すべき」ってすごい保守的な企画書で(笑)。その時は、却下されましたけど。

――10年前に提案した原点回帰が、『ブレーザー』に繋がっていくと。

田口 でも、ここまでいろんなパターンが出たのってニュージェネ(2013年の『ウルトラマンギンガ』以後のシリーズをニュージェネレーションシリーズと呼ぶ)になってからだと思うんですよね。『メビウス』までは、ウルトラマンのパターンをほぼ崩してないんです。

『ウルトラマンギンガ』で高校生たちの話になって、その2年後に『ウルトラマンX』で僕がメイン監督のバトンを渡された時は、それこそ戦闘機を持ってる防衛隊がいて、怪獣を倒しきれなくてウルトラマンが出るっていう、当たり前のフォーマットに戻したんです。

ただ、その翌年に僕がもう1年間メイン監督をやることになった時に、「防衛隊なしで」ってなったんですよね。「防衛隊なし」から、『ウルトラマンオーブ』はスタートしてるんです。それでいくつか出てきたプロットの中で僕が面白いと思ったのが、中野貴雄さんが書いた明智小五郎みたいな探偵がウルトラマンで、少年探偵団もいて、二十面相がいるみたいな世界観。これなら「防衛隊なし」でもやれると思ったんです。

そこからちょっとずらして、探偵が風来坊になって、二十面相がジャグラーになって、少年探偵団がSSPになった。だから僕自身が一番防衛隊とか求めてるのに、そんな監督が「防衛隊がいなくてもウルトラマンが成立する」っていうのを自ら証明しちゃったって事でもあるんです。

もちろん、それによって良い事もいっぱいあると思うんですけど。でもあの時に僕も踏ん張って、怪獣がいるのに防衛隊はいない世界なんてありえないじゃないかってビートル隊を作って、長官役を佐野さんにお願いしたわけです。

佐野 象徴的なラスト2話でしたよね。だからあの時の演出を思い出して、今回も俳優さんにああやって演出してるんだろうなって想像してるんです。

――ちなみに、佐野さんがまたウルトラマンシリーズにご出演なさるとしたら、次はこんな役やってみたいというのはありますか?

佐野 うーん……、ここまできたら、出ない(笑)。外野から関わるみたいのはあるかな。でも役としてだったら、嶋田久作もそうだろうけど、やっぱりマッドサイエンティストみたいなのがやりたいんだろうね。平田昭彦さんにお会いしたことは無いけど、平田さんの何に惹かれたって、やっぱり博士役とかマッドサイエンティスト役だったんだ。

田口 いや、本当にここぞって時に佐野さんに博士役をお願いしたいですね。

『ウルトラマンオーブ』最終24、25話の佐野史郎さんと田口清隆監督。佐野さんは最後の笑顔がグッとくるビートル隊長官役だった。撮影の合間は『シン・ゴジラ』の話題で盛り上がったそう。

――今年は円谷プロ創立60周年で、『ウルトラマンブレーザー』は節目の作品でもありますね。

佐野 僕は、『ウルトラQ』からリアルタイムだからね。ニュージェネ以降、またこうして、こんなに熱中できるとは思わなかったです。師匠・唐十郎が『恐怖劇場アンバランス』(1968年に円谷プロが製作し、73年に放送された怪奇ドラマ)に出ていたり、市川森一さんに可愛がってもらったり、実相寺監督とご一緒したり。

『ウルトラマン』の第一作には、アングラ演劇の祖と言われる劇団変身の人が出てるからね。アンダーグラウンドで土着を意識して戦っていた60年代からの俳優の先輩たちもいっぱい出てるんです。僕は、アンダーグラウンドの中の一番最後の頃の人間としてね、そういう魂の中で育ってきた。

だからコロナ禍の中で、なんで俳優やってるかって考えた時に、『ウルトラQ』に戻ったっていうのは偶然じゃないと思うんだよね。ちょっと大げさなこと言ってますけど。やっぱり俳優人生の原点に、円谷プロ作品があるんです。まさに実人生と共に、ですよ。

田口 『ブレーザー』は、今というタイミングじゃないと出来なかったと思うんです。『Z』があって、いろんな人が信じてくれたから『ブレーザー』が出来た。円谷プロさんも、バンダイさんも、冒険的なことしてくれたんですよね。今までで言うと「それはダメ」っていうことも、今回は「じゃあやってみよう」ってみんなが言ってくれた。

今後の人気だったりがどうなるかはわからないけど、少なくとも僕はちょっとやりきった感があって、円谷プロ創立60周年というタイミングでメイン監督として『ブレーザー』をやれて本当に良かったです。ファンの皆さんと一緒に60周年を楽しむことができたら良いなと思います。

――ありがとうございます。そろそろ対談も終わりの時間となってしまいました。本日は、長い時間本当にありがとうございました。

佐野 まだまだ聞きたいことがあるんだけど……(笑)。

対談をコーディネイトされたのは『ウルトラQ』江戸川由利子役、『ウルトラマン』フジ・アキコ隊員役の桜井浩子さん。聞き手で記事担当のタカハシヒョウリさんを交えてスペシウムポーズ!

佐野史郎(さの・しろう)
1955年、島根県松江市出身。1975年、劇団「シェイクスピアシアター」に創設メンバーとして参加。唐十郎主宰の「状況劇場」を経て、1986年「夢みるように眠りたい」(林海象監督)で映画デビュー。田口清隆監督作品では『長髪大怪獣ゲハラ』『ウルトラマンオーブ』に出演。

田口清隆(たぐち・きよたか)
1980年、北海道室蘭市出身。2009年、『長髪大怪獣 ゲハラ』で商業監督デビュー。ウルトラマンシリーズには『ウルトラゾーン』で初参加。2014年の『ウルトラマンギンガS』以降全テレビシリーズに参加し、『X』『オーブ』『Z』『ブレーザー』ではメイン監督を務める。

取材・執筆
タカハシヒョウリ
ミュージシャン・作家。ロックバンド「オワリカラ」ボーカル・ギター、特撮リスペクトバンド「科楽特奏隊」ボーカル・ギター。音楽家として活動する傍ら、その様々な文化への偏愛と造詣からコラム寄稿や番組出演など多数。近年は円谷プロダクション公式メディアやイベントでも活躍。
公式Twitter https://twitter.com/TakahashiHyouri

名演技⁉ 第6話「侵略のオーロラ」は、コインランドリーの客で田口監督がカメオ出演。梶原颯さん演じるバンドウヤスノブ隊員のバキバキの筋肉と話題を競い合った。

ますます楽しみ!
『ウルトラマンブレーザー』11月の放送予定

11月4日放送
特別総集編
「ブレーザー電脳絵巻」

ブレーザーの戦いを密かに監視する者。その正体は、え? アニメ? 意外な趣向でこれまでを振り返る特別編。

11月11日放送
「さすらいのザンギル」

過去に撃退した怪獣が、人や物をすり抜けて彷徨い歩く事件が立て続けに起こる。そしてゲントが出会った宇宙侍ザンギルとは?

11月18日放送
「そびえ立つ恐怖」

怪獣イルーゴの口から吐かれた気体は人体を蝕んでいく。しかしなぜか司令部はSKaRDに調査を止めさせ、待機を命じる。

11月25日放送
「光と炎」

倒したはずの怪獣が複数体現れ、さらに巨大な怪獣が出現。エミ隊員は謎の事故で行方不明になった父の研究仲間から、事故の真実を聞く。

【前編はコチラ

円谷プロ
テレビ東京

Ⓒ円谷プロ Ⓒウルトラマンブレーザー製作委員会・テレビ東京

「TSUBURAYA CONVENTION 2023」公式サイト

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