昭和SANWAの高級プロポ「エクセレンス」誕生秘話!

ではここで、今回の取材に対応いただいたSANWAきってのプロポマニア、大野敦弘さんとのQ&Aにうつろう。

mono前田「エクセレンス命名の由来。発案者は?」

SANWA大野さん「元々の企画はアメリカAIRTRONICS社のLee Renaud社長です。現地では「XLシリーズ」として4、6CHの飛行機用、車用スティック、ホイラーのラインナップがあり、このうち飛行機用をベースにカー用に仕立てたのが「エクセレンス」。モデル名は欧州向けだったと聞きます。(ネーミング自体は当時の三和電機製作所海外部)」

電池は単三型を8本使用。裏パネルをネジ2本で外して出し入れする方式だ。写真はボート用であるため、スロットルレバー(写真右)が「LOW側のみセルフリターン式」とされている

mono前田「商品コンセプトは?」

SANWA大野さん「当時SANWAにはハイスペックな陸用プロポがありませんでしたので、それへの対応が大きな開発理由です。XLシリーズの空用モデルをベースにRFモジュール式でバント変更ができるようにしたのもレース対応のためだったのではと想像します。」

mono前田「発売時期はいつからいつまでですか?」

SANWA大野さん「発売開始はおそらく1981年。そして社内に残っている88年のカタログには掲載されていますが、89年のカタログでは後継機種の「EXZERD」が載ってエクセレンスがカタログ落ちしていましたので、販売は88年までだったと思います」

mono前田「エクセレンスならではの操作性、特徴的な装備は?」

SANWA大野さん「ST/THにEXP(エクスポネンシャル)の機能が装備されていますので、操作特性やサーボの動きに補正を掛けてよりスムーズな動作を狙っていたのだとは思います……が、古過ぎて文献も残っていないのであくまでも想像でしかありません。サーボ(高性能サーボ:スタントBBがセット)の動作も今とは比較にならない程「良い塩梅」でしたので、思い通りのラインをトレースして……というのは夢のまた夢だったのではと想像します」

正面下部ネームプレート内にある各種調整ノブ。プレートは横にずらして着脱する
ベースが4chプロポであるため、トリムの一方が目隠しされている

mono前田「ホイラー式を展開した背景は?」

SANWA大野さん「当時SANWAのアメリカ代理店であったCOX社(※)向けにミニプロポを改造してホイル式を出していたこともありエクセレンスでもカー専用として展開したものと思われます。ミニプロポののち1980年に近藤科学(KO)からピストルグリップの「EX-1」が出て好評を得ていたこともあり、対抗馬として新開発されたのが「MACHINE-1」(命名は当時の甲斐社長)になります。ちなみに先のミニプロポのホイラー版「DASH2」は国内販売も行われておりました」

(※)アメリカのCOX社はAIRTRONICSが代理店になる前の弊社アメリカ代理店でCOXエンジンで有名な会社。

発売から40年。エクセレンスはすでに「高性能プロポ」ではないが「高級プロポ」ではあり続けている。ホビーとして当時モノに関心を抱く大人たちにとっては、「いつかは手に入れたい」憧れなのだ。

エクセレンスの命名は欧州向け。意味は「卓越していること、優秀であること」

高級品ゆえ販売数は限られ、現在に伝わる情報は少ない。本稿はエクセレンスという素晴らしいプロポにまつわる情報をSANWAの協力を得てまとめ、正確に、広く伝えたい意図で起こされたものだ。

更なる情報があればぜひお寄せいただき、本稿をより豊かな内容にしていきたいと思う。

以下、SANWAの了解を得て、編集長所有のXL-42BSの取扱説明書を掲載する。文字が読める解像度があるのでじっくりお愉しみいただきたい。

※「エクセレンス」についてのSANWAへの問い合わせはお控えください。

取材協力:三和電子機器

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  • モノ・マガジン&モノ・マガジンWEB編集長。 1970年生まれ。日本おもちゃ大賞審査員。バイク遍歴とかオーディオ遍歴とか書いてくと大変なことになるので割愛。昭和の団地好き。好きなバンドはイエローマジックオーケストラとグラスバレー。好きな映画は『1999年の夏休み』。WEB同様、モノ・マガジン編集部が日々更新しているFacebook記事も、シェア、いいね!をお願いします。@monomagazine1982 でみつけてね!

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