ブランドとしては初モノづくし!
アルファロメオ トナーレ
プラグインハイブリッドQ4ヴェローチェに試乗!

電動アルファ登場

いわゆる「通」受けするブランドとしてファンから支持されるアルファロメオ。スポーティさを謳いつつも高い快適性や実用性を誇るイタリアの老舗ブランドでもある。最近ではセダンのジュリアやブランド初のSUV、ステルヴィオをリリースするなどブランドイメージはそのままに攻めたクルマを絶賛リリース中だ。

そして今回、さらに「初モノ」テンコ盛りのモデル、トナーレがデビュー。トナーレはアルファロメオにとって初のコンパクトSUVであり、ブランドとして電動化した最初のクルマになる。

デビューは2022年。日本市場へはまずマイルドハイブリッドが先に導入され、続いてプラグインハイブリッドと続き、今後はEVもラインナップに加わるという噂だ。これらの3つのパワーユニットはもちろんブランド初のいわば初々しいモノ。そこで今回は初「モノ好き」なモノマガ人の皆さんにトナーレをご紹介。試乗車は今夏にデビューしたプラグインハイブリッドモデル。グレードはQ4ヴェローチェ。

デザインもアルファDNA

トナーレのデザインは往年のモデルに使われたエッセンスを随所に配しているというので、まずはクルマを一周。フロントのアクセントでもあるヘッドライトはRZザガート(ES30)とか最近では159などを彷彿させる。

もちろんブランドのデザインアイデンティティでもある盾デザイン(スクデット)はキチンと継承されている。そしてその下にある左右のインテークと相まってクローバー風なデザインは1950年代の初代ジュリエッタ(750系や101系)にも通じるモノかも。

一文字のテールライトは90年代のGTVか80年代のセダン、164っぽいし、テールゲート周りはなんとなくブレラっぽい。つまりどこを見てもアルファロメオと一目でわかるモノなのだ。そんなこんなんでボディを眺めながら、ココはきっとあのモデルだ、とウンウン頷くヲタク系筆者。そこでリアドアのクオーターガラスにムムムっとなるモノを発見せり。

それはアルファロメオの蛇、ビショーネがヒトではなく電気を食べる(?)エレクトロビショーネになっているのだ! 電気うなぎはあるけれど、これからは蛇も電気の時代っすか! 慌ててフロントのエンブレムを見に行ったが、コチラは今までのモノだった。ちょっと安心。

室内も同様なモノ。メーターナセルは1300GTを思わせる砲弾型っぽいモノだ。その中にあるデジタルメーターもクラシカルなデザインを筆頭に数種類あり、コチラは任意で選択可能。

試乗車のボディカラーはどこでも「映え」間違いなしのモントリオールグリーン。ジツはこのボディカラー、限定色だったのだがあまりの人気で遂に標準色としてラインナップに加わったモノ。

このカラーネームのモントリオール、1970年デビューの2ドアクーペのネーミングに通じると思ったアナタはかなりのアルファ通とお見受けいたす。余談ついでだがこのモントリオール、大卒初任給が約4万円の頃770万のプライスを持つスーパーなモデルだった。

燃費ファーストのトナーレ

アルファロメオ初のプラグインハイブリッドモデル。そのメカニズムは1.3リッター直4ターボと前後にモーターを組み合わせたモノでシステム最高出力は280PSを誇る。またリチウムイオンバッテリーは15.5kWhで、モーターオンリーでの航続距離は72km。走り出せばスマートに加速する。

リチウムイオンバッテリーの残量が豊富な時はモーターのみで走るのだが、グワッシィと路面を蹴飛ばすような類ではなく滑るような出だしに新鮮さを感じた。信号待ちからの発進で少し頑張ると3000rpm近く回ってしまうがシフトアップは早めで、燃費重視と思う。12.3インチのセンターディスプレイにはハイブリッド情報まで表示できる。

超絶静かな走行を披露してくれるトナーレだが、ドライブモードを選択できるアルファDNAシステムは健在。シフトレバー奥のダイヤルを操作し、Dモードに。それはエンジンを通常から使い、最もパフォーマンスを引き出すセッティングだ。

ステアリングも重くなるなど明確にクルマの性格が変わる。馬力は十分なのだが全体的にマイルドな味付けで「パンチのある」という体感加速度はさほど大きくはない。この言葉にはある種否定的な、あるいはふーん、というような関心はあるけれどなんとなくねえ、とこのブランドについぞ期待してしまう「禁断の快楽」というかなんというか響きもあるような……。

そのアタリはどうなのよ、という皆さま「安心してください!」とにかく明るい安村氏のネタのようだが、ひとたびコーナーをクリアすればアルファロメオの名に恥じないモデルでもある。

ステルヴィオほどクイックレスポンスではないけれど、VELOCE(以下ヴェローチェ)はブランドの中でもよりパフォーマンスを重視したグレードの代名詞。コーナーを曲がればご機嫌なのだ。できればステアリングの切り返しの続く場所だとさらにご機嫌度が高い。前述のセンターディスプレイに油温などを表示すればより気分が盛り上がる。

ただし後席天井にはハンドグリップがないので3人以上乗せてイケイケで走る時は何かしら配慮が必要と思われる。またより体感のある加速を期待するならば、先にデビューしたマイルドハイブリッド車という選択肢もある。なおアルファDNAシステムのNは通常走行用でモーターとエンジンを効率よく使うモード、Aは電気のみで走行する。バッテリー残量を気にしてエンジンも適度に介入させて電力量を残す(充電しながら走る)e-Saveモードもある。

実際の使い勝手は?

今回は一般道5割、高速2割、渋滞3割の割合で400km近く走った。渋滞が多く燃費には厳しい行程で、平均燃費は13.0km/Lに落ち着いた。行程で充電をすればもっと燃費は伸びたはずだが、普通充電対応となると限られてしまうのが現状。

まあ、バッテリー切れがないのでその点気分は楽だ。その充電時間は7.4kW出力の充電器を利用した場合、満充電まで2時間30分という。

これだけ実用的だと万能選手的な活躍も期待できるクルマだが、アウトドアでガンガン使うぜい、という向きのユーザーさん。牽引可能重量はマイルドハイブリッド車は1500kg、プラグインハイブリッド車は1250kgと違いがあるのでご注意を。価格はトナーレは528万円からで、プラグインハイブリッド車は675万円から。いずれにしてもアルファロメオは激アツなのだ。

トナーレ プラグインハイブリッドQ4ヴェローチェ


価格740万円から
全長×全幅×全高4530×1835×1615(mm)
エンジン1331cc直列4気筒ターボ
最高出力180PS/5750rpm
最大トルク270Nm/1850rpm
フロントモーター最高出力45PS/8000rpm
フロントモーター最大トルク53Nm/8000rpm
リアモーター最高出力128PS/5000rpm
リアモーター最大トルク250Nm/2000rpm
WLTCモード燃費14.1km/L

アルファロメオ
アルファロメオ トナーレ
問 Alfa Contact 0120-779-159

  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。

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