アサヒ飲料が「CO2を食べる自販機」をつくったワケ


見慣れた街の風景ともいうべき自動販売機。省エネ、節電、太陽光などいろいろ進化が加えられてきましたが、それにしても「CO2を食べる」とはこれいかに!?

というわけで「CO2を食べる自販機を使った実証実験を6月から始めるよ」というアサヒ飲料の発表会に行ってきました。

登壇されたのは同社代表取締役社長の米女太一さんと、同社CSV戦略部長の相田幸明さん。

アサヒ飲料の米女社長と相田部長

なるほどなるほど。

内容をかいつまんで言うと、自販機の中にCO2を吸収する特殊材を搭載しましたということ……って書いちゃうとものすごくシンプルな話なのですが、これがゼロベースの出発地点。

吸収材のサンプル

自販機下部の空きスペースにこのCO2吸収材を内装します。月に2回程度を見込んでいる取り換えについては、ドリンクの補充時に行うことでよけいな手間(吸収材を交換するために他のトラックを走らせる、など)を省きます。

自動販売機の全面ドア内側の下部スペース(グリーンのパネルの部分)に吸収材を装填します。

でもって大事なのはその回収した吸収材をどうするの、ってこと。

アサヒ飲料では今回の実証実験をヨーイドンとして実績を重ねつつ、利活用してくれるパートナーを探すことになります。

たとえば肥料。たとえばコンクリート建材。たとえばブルーカーボン。

取り急ぎの検証結果によると、CO2を原料とした肥料の生育試験では明瞭な発育の促進が見られ、CO2吸収材入りコンクリートの浅海増殖試験では緑藻類、褐藻類の生育促進度が非常に高い(もっさりと藻が生えちゃうぞということ)ことがわかってきました。

自動販売機自体のCO2排出量は実はここ10~15年の取組で劇的に減らされました。2005年比2022年現在で数値を見ると、なんと60%減なのです。

メカニカルな努力でここまできた。次にはどうしても輩出してしまうCO2をどう利活用するかというところ、言ってみればソフト面のトンチが試されるわけです。

CO2資源循環モデル図

編集部が今回のアイデアで「いいね!」と感じた点は、それ自体がシンプルなものである点です。むろん吸収材は非常に吸収能力の高いモノを用いますが、言ってみれば、これを自販機の隙間に詰めて、半月に一回交換するだけ。要するに始めるハードルが低いのです。

しかも肥料にしろ、ブルーカーボンにしろ、CO2配合材で良好な結果が見え始めたとなれば、パートナー探しも弾みがつくはず。

アサヒ飲料の米女太一社長。米女(よねめ)という珍しい苗字は、ご出身の高知県由来。学生時代は水泳で心身を鍛え、現在では社長業の傍らハーフマラソンを楽しむというフィジカル派社長です。

そして最後に、本件でもっとも素晴らしいと感じたのがネーミングです。

「CO2を食べる自販機」

伺えば、代理店やコピーライターに依頼したのではなく、アサヒ飲料社内でいつしか生まれていた言葉だとか。素敵です。一発で興味そそられます。

現在のところ、関東・関西エリアを中心に、人が集まるところ、換気の良くないところ、屋内・外を問わず約30台設置する予定です。このパッケージの「CO2を食べる自販機」、みなさんの街にも出現するかも知れません。

見かけたら、1本買ってぜひ応援しましょう!

アサヒ飲料
問/アサヒ飲料 お客様相談室 0120-328-124

  • モノ・マガジン&モノ・マガジンWEB編集長。 1970年生まれ。日本おもちゃ大賞審査員。バイク遍歴とかオーディオ遍歴とか書いてくと大変なことになるので割愛。昭和の団地好き。好きなバンドはイエローマジックオーケストラとグラスバレー。好きな映画は『1999年の夏休み』。WEB同様、モノ・マガジン編集部が日々更新しているFacebook記事も、シェア、いいね!をお願いします。@monomagazine1982 でみつけてね!

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