指令!
マイクロプラスチックを回収せよ
スズキの船外機


 チマタに流行るメーワクな事柄は物価高に新型コロナウィルス、不安定さを増した東シナ海とあるが、意外に身近なモノにマイクロプラスチックというものがあります。直系5ミリメートル以下の小さなプラスチック片のことで、数百年以上も分解されることなく環境中にとどまるといわれています。そのマイクロプラスチックは海流に乗って今や世界中に広がっていると考えられ。海洋生物の生態系に甚大な影響を及ぼし、人間にも害があると懸念されています。  そこで少しでもマイクロプラスチックを減らそう、ということで、スズキがなるほど! と膝をたたきたくなるモノを製品化しました。スズキってあのバイクとかクルマの? そうです、そのスズキです。スズキはマリン部門を有していて、数種類のプレジャーボートや船外機をリリースしているのです。例えば、バウ(船首)デッキは広く、作業効率が高く、飛沫を避けられるウィンドシールドを標準装備など初めてのフィッシングボートにピッタリなS17。

エンジンは使用海域や湖面などにあわせて30PSから60PSの4種類を任意で選択可能。コレって艇体に好みのエンジンを取り付けられる、コーチビルダーってヤツではないですかい。まさに昔の欧州自動車文化。

 船外機、ジツはスクリュー(以下プロペラ)が右回転用と左回転用の2つがあり、最初(工場の出荷時)からアンタは「右回転」、アッシは「左回転」と途中で主義主張を変えられないように作られていたのです。別に右だろうと左だろうといいのですが、操船者はクセを掴む必要があります。例えば船外機ひとつの場合、右回転のモノをチョイスすると、船は自然と右へ行きたがるクセがあります。エンジン2基掛け(船外機を2つ)にした場合では右回転用を2つ載せてしまったら、まっすぐ航走(はし)らずに、どえりゃーことになるわけです。それを防止する意味でも2基掛けの船は右回転用と左回転用でつじつまを合わせているのです。しかし、そこからがスズキのスゴいところ。それなら途中で切り替えましょう! ということでニーズの多い150psから175psクラスの船外機初のスズキ•セレクティブ•ローテーションを2016年に初採用。船外機をボートに複数掛ける際、ギアシフトモードを変更し、半回転用のプロペラをセットすれば同じ船外機でどちら回りでも使用可能に。

専門誌的な表現だとレギュラーローテーションとカウンターローテーションを切り替えられるという。うんAKB48のヒット曲みたい。

 さて今回生産が始まったのはマイクロプラスチック回収機能付き船外機!

DFシリーズの140BG、115BG、140B、115B、100C、5機種にその機能が標準装備されます。これらのエンジンを搭載したボートで航行するだけで水面付近のマイクロプラスチックを回収できるスグレモノ。

そんな難しそうなことをどうやって実現したのか。それは船外機の特性にあったのです。小型船舶用の船外機はエンジンを冷却するために海水を使います。つまり、海水を吸い込むわけです。そうして冷却の役目を終えた海水はそのまま海に戻ります。海に戻る途中の通路にフィルターを装着、そのフィルターがマイクロプラスチックを回収するのです。

いやいや、マイクロプラスチックというからには、冷却水経路が詰ったら漂流してしまうのではないか、とご心配のオーナーさん、どうぞご安心を。予備の今までのような海水通路がもうひとつあるので、完全に詰ってしまう心配はありません。

う〜む乱暴な表現ですと、旧道の横にバイパスが作られ、バイパスの方で検問をやっているイメージでしょうか。マイクロプラスチックは迂回する術を知らないので、確実にバイパスを通ります。またスズキの船外機は航行100時間ごとの定期点検が推奨されていて、その時にフィルターのゴミを適切に処分されます。ユーザーが手を下すことは皆無なのです。こんなメカニズムを使っていながらもエンジン性能には影響がないのだ。しかもなんとですな、冷却水を通すホースを交換するだけなので既存の船外機にも設置可能!! つまり買い替えなくても良いのです。なんという汎用性。このスグレモノはスズキオーシャンプロジェクト(https://www1.suzuki.co.jp/marine/environment/)の一環で誕生したモノ。綺麗な自然は後世に残したいモノです。

スズキマリン https://suzukimarine.co.jp/
問 スズキお客様相談室 0120-402-253

  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。