連載・広坂正美のいま、そしてこれから
第9回

RC(ラジコン)カーレースにおいて、世界タイトル獲得14回、全日本タイトル53回など、前人未到の記録を残したレジェンドドライバーの広坂正美(ひろさか まさみ)氏。世界記録保持者でもある広坂氏は、2019年に長年所属したRCカーメーカーを退職、フリーランスでの活動の後に、2021年秋よりRCメーカー・ジーフォースのスタッフとなった。そんな広坂氏の“いま”に注目し、現在の活動や今後の展開をレポートする連載企画の第9回は、新製品や主催イベント、新プロジェクトなど盛りだくさんに紹介!

【第9回】広坂正美の多忙な日々

広坂正美

1970年2月26日生まれ。京都府で幼少~学生時代を過ごし、高校3年生の時にRCカー世界選手権において日本人初のチャンピオンに輝く。高校卒業と同時にRCカーメーカーのヨコモに入社し、以降はヨコモの社員ドライバーとして、世界戦をはじめとする数多くのレースで優勝を飾った。2019年にヨコモを退社してさまざまな活動を行っていたが、2021年10月末にRCメーカーのジーフォース(G FORCE)入りが発表された。


“マサミ エディション”登場!

「広坂正美のジーフォース加入」は大きな驚きをもって迎えられた。そして加入発表から間もなくして「MASAMI EDITION」と銘打った製品が発売されることになった。その製品とは電動RCカーの電子式スピードコントローラーで、バッテリーの電力を制御して動力用モーターに供給するもの。

 注目してほしいのが、このスピードコントローラーがトップクラスのレース用ではなく、どちらかというと初心者から中級クラスのユーザーを対象にしたものであることだ。世界選手権などの第一線から退いた後の広坂氏の活動は、RCユーザーの裾野を広げることを主眼にしており、今回の新製品もそうしたテーマに沿っている。現在のRCカー用スピードコントローラーは、プログラム制御によって加速やブレーキ特性を細かく変更できるのが特長にもなっているが、どのようにプログラムを組めばいいのか、初心者には難しいのも事実。そこで広坂氏が入念なテスト走行を繰り返して扱いやすさを重視したプログラムを完成させ、出荷時にインストールしたのが新製品の「BLC50 Masami Edition」だ。広坂氏のサインも刻印されたこのモデルは限定販売品のため、気になる人は見逃さないでほしい。

スペシャルカラーのゴールドで登場するBLC50 Masami Edition。既存のBLC50がベースで、信頼性も抜群だ。

製品URL http://gforce-hobby.jp/products/G0359.html

発売前から話題を集める新製品のBLC50 Masami Editionをチェックする広坂氏。チャンピオンが作った扱いやすいスピードコントローラーにはベテランユーザーも注目。

RCドリフトの頂上決戦!

 広坂氏がヨコモ在籍時代から力を入れていたのがドリフトRCカーによる競技。RCカーのジャンルとしては比較的歴史の浅いドリフトは、スピードやラップタイムを競うレースとは異なり、いかにキレイな姿勢や高いスピードでマシンをドリフトさせるかが重要。もちろん競技ではなくドリフト走行そのものを楽しむユーザーもいるが、ドリフト競技をメインにする人も多い。そんな競技の頂点にあるのが、中部国際空港(セントレア)内特設会場で毎年11月に開催されている「All Japan E-Drift Championship」だ。広坂氏はこのイベントの中心スタッフとしてイベントの準備や運営に尽力している。

 広坂氏をはじめとする業界関係者が、RCカーの普及活動の一環として2016年に設立した協会が「全日本RCドリフト競技委員会(R.C.D.C.)」。この協会はワールドカップやアジアカップ、全日本選手権などの国際競技会を開催している。2021年11月に開催した全日本選手権は、例年同様に中部国際空港のセントレアホールがその舞台となった。同空港は何年にもわたって顧客満足度世界1位の称号を獲得し続けている超優良国際空港であり、管理体制も厳しい。そうした場所で大勢を集めてイベント開催するにあたって、万全の新型コロナ対策を筆頭にゴミの捨て方なども徹底されていた。

そんな状況のなかでより質の高いイベントを開催するため、参加者は全国の予選で勝ち抜いた選手100名ほどのみに厳選され、それに対する運営スタッフは約25名。RCカーの大会としては異例の運営規模で行われた。R.C.D.C.は、ただ競技での1位を決めるだけでなく、RCカーのステータスを高めていきたいという目的もあり、人目につきやすい国際空港のイベントホールを会場にするというのもその一環といえる。広坂氏自身は「6年間続けてきて、ようやく実現に近づいてきたかな? いうところまで進んできた感じです」と語っている。

セントレアホールで行われたAll Japan E-Drift Championship
の様子。ホールにカーペットを敷いた仮設ドリフトサーキットが決戦の場だ。RCドリフト関連メーカー各社の協力も得て、大規模なイベントになった。
大会運営スタッフと広坂氏。レースの第一線から退いた後は数多くのRCカーイベント運営を行っており、今回の大会でもその経験が随所に生かされている。

「G Force x 広坂正美」のコラボレーション

 最後の話題は広坂氏がジーフォースへの入社後にスタートさせた新企画。この企画の主旨は、RCレース界で並ぶ者のない実績を持つ広坂氏とジョイントして自社製品のPRやイベントを行うというもので、広告協力やイベントの司会、講演など内容は多岐にわたる。企画の募集期間は終了しているが、企業や個人など多数の応募が集まっていて、ゲームなどで知られるセガとのコラボレーションが決定し、すでに企画の実現に向けて準備が進行している。詳細については次回の連載で報告する予定だ。セガのほかにも各社との話し合いは進んでいるとのこと。今後の展開にも期待したい。

 ジーフォースのスタッフとなった現在、以前にも増して多忙な日々を送る広坂氏だが、自身にとって新たな挑戦も多く充実しているという。これまで世界の頂点で戦い、そして勝利してきた経験は、新天地でも役立つことが多いのは間違いないはず。ジーフォース入り前から行っていた自身のYouTubeチャンネルや自叙伝の執筆なども時間を見つけて続けていきたいとのことで、これらの活動からも目が離せない。

RCカーレースで勇名を馳せた広坂氏だが、ジーフォース入り後はヘリコプターやドローンなどの空域モデルにも挑戦。レースで培った指さばきが“空モノ”でも冴えわたる?

モデルガン関連製品も販売するジーフォースは、大阪市で開催されたイベントの「ショットショージャパン2021冬の部」に出展。広坂氏はこのイベントにジーフォーススタッフとして参加した。


写真提供/ジーフォース http://gforce-hobby.jp/


「広坂正美のラジコン街道」:
・第1巻
・第2巻
・第3巻
・第4巻
・第5巻

広坂正美YouTubeチャンネル「MASAMI RC CHANNEL」:
https://www.youtube.com/c/masamichannel
廣坂正明YouTubeチャンネル「MASAAKI RC CHANNEL」:
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ラジコン世界チャンピオンメカニック「ひろさか」サイト
http://www.hirosaka.jp/

連載・広坂正美のいま、そしてこれから第3回
連載・広坂正美のいま、そしてこれから第2回
連載・広坂正美のいま、そしてこれから第1回

  • RC(ラジコン)カーの記事を中心に、模型や実車などのメディアで編集・執筆を行うフリー編集者兼ライター。余暇のほとんどを競技用RCカーの走行や整備に費やす立派な(?)ラジコン廃人。9割以上がラジコンの話題で埋め尽くされるブログ「すべては12分の1のために」は、ごく一部の読者に好評継続中。
  • http://1-12thonroad.cocolog-nifty.com/blog

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