軽やかな初モノ?
1948年のシリーズ1を祖にもつディフェンダーが2019年に全面刷新されたのは既知の通り。無骨でシンプルな装備のいかにも「機能美」に溢れたモデルから一新、今ふうのスタイリッシュさと快適性をプラスしたのが現行モデルになる。


デビューから7年を迎え、その間年次改良はされてきたが2026年には初のマイナーチェンジを謳う大幅改良が行われた。
一目でソレとわかるデザインはキープコンセプトすぎるので何が変わったのかオーナーやオーナー予備軍でなければ分かりにくいモノだが、エクステリアはフロントバンパーまわりのデザイン意匠の変更やテールランプがフラッシュサーフェス化(平らに)に。
マイチェンの注目株はディフェンダー初のPHEVモデルが導入されたこと。試乗車はズバリその2026年モデルのPHEV。
試乗車のP300eは外観からはPHEVとわかるような特別な変更はなく、左後方に充電ポートがあるだけ。もちろんモーターやバッテリー搭載の影響も少しある。例えばリチウムイオンバッテリー搭載のため荷室の床が盛り上がったり充電ポートのある左側が張り出している。ただし実用には問題ないくらいのほんの少し、だけれど。また7人乗りも選べる110だがPHEVは5人乗りのみだ。

小型トラックのような運転席にヨイコラショと登ろうとドアを開けるとニョっとステップが飛び出すオ・モ・テ・ナ・シも。

さてドライバーズシートに陣取るとシンプルで「コレぞ機能美なのだよ、諸君」と感じてしまうインパネがひろがる。センターのタッチスクリーンはマイチェンで11.4インチから13.1インチと欧米か! いや大型化。今時少なくなってきた触った感のわかる物理的なスイッチが多いのもスグレタ「道具」感があって頼もしい。厳冬時など手袋したままでも操作可能、ってことだ。

クルマのサイズがサイズだけあって室内はさすがに広い。可倒式の後席も何も考えず脚を組めるくらいだ。試乗車には豪華志向なオプションが装備されており、3ゾーンのエアコンやメリディアンのサウンドシステムなど高級セダン並になっていた。


お約束のルーフ両サイドにある採光を兼ねたガラス窓が。これはソトからクルマを眺めた時もアクセントにもなるオシャレアイテムでもある。室内側からだと旧国鉄の583系寝台特急の3段ベッド一番上の窓かフドーサン屋サンの売り文句っぽい「南向き角地陽当たり良好」といった趣だけれど、ジツは「アルパインライト」というキチンとした名前がある。コレは山岳地帯を走る際など上方視界を確保するためのモノで初代モデルから受け継がれるアイコンでもある。

太いモノはエライ!
搭載されるモーターの基本的なメカニズムは本webにもあるレンジローバー・ヴェラールと同じモノ。ヴェラールと異なるのは組み合わされるエンジンが2リッターの直4ターボという点だ。
その2リッターエンジンのスペックは224PS、350Nm。そこに142PS、278Nmのモーターが組み合わされ、システム最高出力は300PS、625Nmとなかなか。しかしながらジツはディーゼルエンジン搭載のD350の方が350PS、700Nmとスペックは若干大きい。ディーゼルユニットの排気量は3リッターというのもあるけれど。

もし超絶なパワーやトルクを求めるのならばオクタというスーパーグレードもある。その凄さはなんといっても635PS、750Nmと強大なスペックだ。これにモーターのマイルドハイブリッドシステムが組み合わされる。当然ながら速くないはずはなくそのイデタチに似合わないような加速を披露する。
P300eに話は戻る。スターターボタンを押してシステムを起動しサハラ砂漠ならぬ東京砂漠へ乗り出した。ドライブモードはハイブリッド、EV、セーブの3つ。走行モードは岩場や砂地などたくさん用意されるがドライブモードはシンプルなモノ。ハイブリッドは効率重視で異国のPHEV車あるあるなバッテリー残量があるうちは極力エンジンを使わずにモーターのみで走る。
EVは文字通りの電動走行だけれどもハイブリッドモードも似たような印象になってしまう。セーブはバッテリー残量を残すことに重点を置いた感じでエンジンも頻繁に介入する。考えようによっては事実上エンジン+モーターのハイブリッド走行はコチラなのかもしれない。設定からアイドリングストップをオフにすれば走りながらの充電もそこそこイケる。モーターオンリーのEVモードだと満充電で約40kmの電動走行が可能。充電は普通充電のみに対応し、2時間半で満充電になる。

なおバッテリー残量がなくなってしまっても発進時などは踏み方にもよるけれど20km/hくらいまではモーターのみだ。
走り出すと2.6tのクルマとは思えないほど滑らかな加速。しかもアクセルの踏み込み量はこのご時世の高い燃料代を考えた、いわゆるふんわりアクセルなのに。モーターの太いトルクってやはりスゴイと思う瞬間だ。さらにレスポンスも良いのでアイポイントの高いスポーツカーに乗っているような気分にもなる。エンジンの介入もいい意味でわかりにくい。
高速へ上がり、合流のため少し深く踏み込む。625Nmのシステム最大トルクがクルマの重さを感じさせない。乗り心地に利のあるエアサス(P300eはエアサスのみ)なのだが、レンジローバーで例えられるような路面の数cm上を浮いているような乗り心地ではなく、ややオフロード向けのセッティングに感じた。フォーカスされるのはやはりトルクの太さと扱いやすさかもしれない。高速道路でダラダラと続く長い登り坂。この重量級モデルがパーシャルスロットでも速度計の針は固定されたように動かない。加速を求めても大きく踏み込む必要はなく、少しだけ踏み足せば十分で、深く踏み込めばニヤっとするような加速も得られる。登り坂なのに。なお100km/h時のエンジン回転は8速で約1800rpm付近。同じ8速で120km/hだと2000rpmを少し超える程度だった。
そしてクネッた道でもそのトルクは有効。トルクバンドを覚えておけば立ち上がりでもたつくことは皆無。今回は高速4割、渋滞2割、山越え2割、街中1割の約500kmちょっとの行程での燃費は9.9km/L。最高は高速での10.4km/Lだった。カタログ燃費は9.3km/Lなので優秀だと思う。
アレがなくったって
進化すると失うモノも出てくるわけで、ディフェンダーのそれは本格クロカンビークルの証ともいわれるラダーフレームを潔くチェンジした。見た目重視のクルマかよーと生粋のランドローバー乗りの不満もあったとかなかったとか。
しかしながら。ランドローバーは2026年に最強モデル、オクタをベースとしたD7X-Rでダカールラリーに挑戦。短い準備期間など完走すれば上出来とされていた前評判を覆すようにクラス優勝を果たした。そのクラスは量販車に近い技術で争うストック・クラス。つまりラダーフレームやリジッドサスでなくてもディフェンダーの性能は健在である、という一つの回答を示したようなモノ。

話は試乗車に戻るけれど、一部電動化されても渡河水深性能は900mmもある。ラダーフレームからモノコックボディになったとはいえ、クルマの根幹は超絶性能を持つアウトドアギアがディフェンダーなのだ。泥地走行や、砂、岩場、川、雪などあるゆる道でもヘーキなんだもんね、と涼しい顔して越えていく。
もう一つ。それだけの本気ギアながらも街中から老舗和風旅館といったシチュエーションでも絵になるのも魅力。走るのは街中だけでも満足できたしまうのもディフェンダーの魅力だったりするのだ。


ディフェンダー110X-ダイナミックHSE P300e
| 価格 | 1091万円から |
| 全長 × 全幅 × 全高 | 4945 × 1995 × 1970(mm) |
| エンジン | 1995cc直列4気筒ターボ |
| エンジン最高出力 | 224PS/4500-6000rpm |
| エンジン最大トルク | 350Nm/1750-4500rpm |
| モーター最高出力 | 142PS/3650rpm |
| モーター最大トルク | 278Nm/1000-3700rpm |
| WLTCモード燃費 | 9.3km/L |




















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