【防災クローズアップ!! その4】意外な異業種防災メーカー パナソニック ホームズの「家と防災の最前線」

パナソニックは住宅分野でも信頼のブランドだが、地震の際、迅速にオーナーサポートするシステムの運用は、あまり知られていない取り組みとサービスだろう。その先進的システム「P-HERES(ピー・ハーレス)」について、開発のきっかけと特長、充実のサポートを聞いた。

P-HERES  地震で被災した家の復旧を支援

最新画面
パナソニック ホームズの『P-HERES』は2023年から運用されている地震被災リスク推定システムで、全国のオーナーの家が地震にあった場合、被害状況を把握して、必要に応じて復旧・支援要員を派遣する。全国どこのオーナーの家が地震にあっても、適切に迅速に被害状況がわかる仕組みだ。
※画面は開発中のものです。


3つの構法別に被災リスクを判定


P-HERESによるサポートが受けられるのは、パナソニック ホームズの「F構法」「HS構法」「NS構法」の3つの構法で建てられた家。地震の揺れとの“相性”によって、同じ地震を受けても、各構法で揺れ方が異なることから、被災リスクの推定やランク区分の表示も構法ごとに行われている。


地震による建物の被災リスクを色でランク分け。マップは実際のランクに色分けされる。

復旧支援
復旧支援体制を示した資料。災害発生後、被害を受けた家には一次対応で現地調査と応急処置が実施され、二次対応として復旧工事(リフォーム・有償)と、現地災害復旧体制の組織(完全復旧工事に時間を要する場合)が行われる。

旧画面
以前の『P-HERES』では、強震計から遠いオーナーの家については、被災リスクの適切な推定に難しさがあった(上図・左)。昨年の進化版(上図・右)で、250m間隔で、地図上に3つの地震動指標(計測震度・地表面最大加速度・地表面最大速度)が推定補間され、それらの情報を活用している。顧客情報システムと連携し、さらに画面が見やすくなったのが、上の最新版だ。

全国の顧客の被災状況を迅速に把握してサポート

地震に強い構法や、電気設備、感震ブレーカーなどの多角的な方法で、災害に強い家と暮らしを提案しているパナソニック ホームズ。1995年の阪神淡路大震災では、被災地域の同社住宅は全半壊がなく、優れた耐震性が実証された。そして2023年からは、地震の際に全国の顧客の家の被災リスクを迅速に判定できる先進システム「P-HERES」(ピー・ハーレス)の運用を開始している。

同社で技術課題の解決と開発を担当する、くらし技術研究所 構造技術研究室山形秀之室長は、開発のきっかけをこう話す。「2018年の大阪北部地震では、震度情報をネットなどで収集し、付箋を地図に貼って顧客マップと照らし合わせるアナログな方法でオーナーサポートを行っていました。このときの課題認識から、防災科学技術研究所が地震直後に発表するデータとAI技術を活用して、オーナーさまの建物の被災リスクを迅速に判定するシステム開発に取り組んだのです」

P-HERESは、同社独自の耐震技術を採用した「F構法」「HS構法」「NS構法」で建てた住宅などが対象となっている。災害の際には、全国各地(本社除く)に約400人いるオーナーサポートスタッフと、被災した現地の支社・支店メンバー(営業、建設、設計など)で、災害対策組織が構成され、復旧支援や応急処置に当たる。「応急処置としては、たとえば震災後にドアが開かないといった不具合の解決などです。そして外見上は被害が少なく見えても、構法の特性と揺れの種類と強さから内部の被害を分析して、適切な復旧工事の提案を行えるのもP-HERESの特長です」と山形氏。被災後も住み続けて安全なのか。助言が受けられるのは心強い。

山形氏によれば、技術の進歩で、住宅の耐震性は業界全体で高くなっているという。同じ構造技術研究室の主幹の佐田貴浩氏は、「大きな地震が起こった時に、震災後も暮らしを継続できる建物を建てることは、社会としても合理的だと思います」と話す。近い将来、耐震性に優れた家や建物が建ち並び、P-HERESのようなシステムでカバーされた街ができるかもしれない。それは家と防災の理想的なビジョンのひとつだろう。

左/パナソニック ホームズ くらし技術研究所 構造技術研究室室長 山形秀之氏 右/パナソニック ホームズ くらし技術研究所 構造技術研究室 主幹 佐田貴浩氏
地震の被害から生命や財産を守るには家が大切。『P-HERES』は地震後の安心を実現するべく開発されたシステム。

パナソニック ホームズさらなる防災の取り組み

防災住宅を各地に
地域の気候・風土や住文化に基づく暮らしの提案を、エリア商品として全国各地に街かどモデルハウスを展開する「日本の家」プロジェクトでは、日常の暮らしの延長に「防災への備え」がある家をデザインしている。たとえば、2011年3月の東日本大震災を経験した宮城県にある『杜(もり)の家』では、平屋の小屋裏収納を「チル&ストック・ロフト」とし、くつろげる場所でありつつ災害時に備えて水や食料などを蓄えておける。

太陽光発電と蓄電
太陽光発電と蓄電を連携したシステムで、停電時使用機器を限定することで、電力を確保できる(エアコンなど消費電力が大きい家電は蓄電池の残量によっては途中で停止する場合がある)。また、戸建住宅で標準的に採用しているホームエネルギーマネジメントシステム『AiSEG3』により、災害情報と連動し、停電に備え蓄電池などへの充電を自動で開始。強風に備え電動シャッターを自動で閉めるなど、非常時の安心をサポートする。

感震ブレーカー
一定以上の揺れを感知すると電気を自動遮断し、電気の復旧時に発生する通電火災を防ぐ装置で、同社は2020年から新築戸建で標準採用している。政府は2026年6月、首都直下地震対策の方針を示した「首都直下地震緊急対策推進基本計画」を11年ぶりに改定し、感震ブレーカーについて、1都9県全体で「おおむね設置」を目指す方針を示した。最大で死者1万8000人、建物の全壊・焼失が40万棟と想定される被害を、いずれも半数以下に減らすことが目指されている。

パナソニック ホームズ

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