
誰もが使える救命アイテムとして認知が広がる医療機器「AED(自動体外式除細動器)」。しかし、どんなときに役立ち、どう使えばいいのかはまだまだ知られていない。東京慈恵会医科大学の教授であり、日本AED財団の理事の武田聡先生に伺った。
写真/鶴田智昭 文/安室淳一

東京慈恵会医科大学 救急災害医学講座主任教授 日本AED財団業務執行理事・常務理事
武田聡先生
「AEDは心停止のすべてに電気ショックをする装置ではなく、心静止などの場合は電気ショックの適応がないため、パッドをつけてもAEDが判断して作動しません。いずれにせよ、もし倒れた人を見かけたら、迷わずAEDを使って指示に従ってください」

知ってる?
AED(自動式体外除細動器)とは?
止まった心臓を電気ショックで動かす装置と思われているが、実は心臓を「止める」装置である。心臓は、通常はポンプのように規則的な動きで血液を送っているが、「心室細動」という状態になると、小刻みに震えて不整脈を起こし、血液を送り出せなくなってしまう。そのけいれん状態の心臓を電気ショックで止めるのがAEDだ。止めることで心臓がリセットされ、規則的なポンプの動きを回復させるのだ。
あなたも!
バイスタンダーとは?
バイスタンダーとは、たまたま救命処置が必要な現場に居合わせた人。119番通報から救急隊が現場に到着するまでには平均10分かかる。何もしないでいると心停止から1分経過するごとに生存率は約10%ずつ低下する。救急隊の到着を待っているだけでは、救命の可能性がなくなる。現場に居合わせたバイスタンダーによる救命処置が大切になる。
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使い方簡単 開ける、貼る、ボタンを押す! 3ステップ!
1
フタを開けると自動電源ON

2
電極パッドを胸に貼る

3
ボタンを押して電気ショック

イラスト出典:AEDライフ(日本光電工業)
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いつか誰かを助けるためにAEDを理解する
AEDを目にしたり名前は知っていても、使い方や機能を説明できる人は少ないだろう。訓練で触れたことがある人や、実際に使用した経験がある人はさらに少ない。災害時や日常で、家族や友人、あるいは目の前にいる人が突然倒れたら……。東京慈恵医大の医師で、循環器を専門とし日本AED財団の理事も務める武田聡先生にお話を伺った。
「AEDとは、主に中高年の方が急に胸の痛みを訴えて、突然倒れてしまう心室細動と呼ばれる心停止を起こしたとき、いち早く使うことで、その救命率を高めてくれる医療機器です。また災害時に、車中泊などを余儀なくされた被災者が、ストレスによってエコノミー症候群やたこつぼ型心筋症を発症することがあります。さらにスポーツシーンにおいて、胸部をボール等で強打し、心臓振盪(しんぞうしんとう)を起こすこともあります。そんなときにもAEDは有効で命を救っています」。
日本に入ってきたのは2001年だという。
「国際線の機内に導入されたのが最初です。2004年7月に、厚生労働省が一般市民のAED使用を認可して普及が始まりました。以降、学校、スポーツ現場、そして街中など、心室細動を起こした人をどこでも助けようという気運が高まり、現在、日本全国で約70万台が導入され、日本は世界でも有数のAED大国となっています」

使用するのは簡単だし危険もない。設置場所は日頃から把握を。
普及は喜ばしい一方、まだ大きな課題がある。
「現在、年間14万件の心停止の症例があり、そのうち9万件は心原生(心臓が原因)です、本来であれば、この9万人すべてにAEDを使用することが望ましいのですが、実際、誰かの前で倒れて、目撃される心停止は2万8000件に留まり、救命処置(胸骨圧迫=心臓マッサージなど)が実施されたのは1万7000件、さらにAEDが使われたのは1400件というのが現状です」
なぜ設置台数の割に活用されていないのか。
「理由はさまざまですが、ひとつには使用への『不安』や『怖さ』があると思います。実際は極めて簡単で、AED機器の電源を入れれば、音声ガイダンスが全ての手順を指示し、それに従って操作をおこなうだけです。またパッドを貼ればAEDが自動解析し、電気ショックを行う指示をしたり、電気ショックが必要かを判断して指示してくれるので、難しくないし危険もありません。訓練などで操作を体験すれば、使用への抵抗も薄れ、緊急時もスムーズに扱えると思います。注意点は、AEDの音声アナウンス(指示)に従う、それだけです」
最後にAEDの普及と理解に向けてメッセージを伺った。
「まず、関心をもった方は、使い方を知り、できれば操作を体験してみてください。また、どこにAEDが設置されているのかを知っておくと有効です。『救命サポーター team ASUKA』アプリは、最寄りのAED設置場所を知ることができて便利です。職場でもどこにあるかを知り、また必要なときは取りに行くのではなく、AEDに近い場所にいる人に連絡してすぐ持参するシステムを作るのも、一刻を争う状況で生死を分けます。AED財団としては、引き続き、AEDの活用を促していくことが、より多くの人の命を救うことに繋がると考えています。そして今後は、AEDの存在が当たり前の現状から、活用するのが当たり前という状況へのシフトを目指していきます」
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大切! 通勤ルートで家の近所でAED設置場所を知っておく



使い方を知るとともに、どこに設置されているのかを知って覚えておくことも大切だ。特に家の近所や自分の通勤ルート、またよく行く場所など、それぞれで一番近いAEDの設置場所を把握しておくと、いざという時に役に立つ。
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未就学児に使う場合


AEDは未就学児専用パッドが準備されている機種と、未就学児も小学生〜大人も共通の電極パッドが使用される機種がある。共通の電極パッドを使用する場合には、スイッチやボタンにより未就学児モードに切り替える機能がある機種もある。(未就学児に対しては電気ショックのジュール数が減弱される)
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「死戦期呼吸」に注意を!

2011年、さいたま市の小学6年生の桐田明日香さんは、駅伝の課外練習中に倒れて亡くなった。実際は心室細動を起こしていても、喘ぐようなゆっくりした呼吸に見える「死戦期呼吸」やけいれんが起こり、教師らは心臓が止まっているとは思わず、校内にあったAEDを使わなかったことがわかっている。反省や教訓を生かした事故対応テキスト「ASUKAモデル」誕生の経緯や、遺族の想いが綴られた一冊。
救命の輪を広げる。日本光電の
AED情報サイト「AEDライフ」
■公益財団法人 日本AED財団とは?
AEDの普及、啓発、教育・訓練を通じて心臓突然死を防ぎ、安心・安全な社会を目指す公益財団法人。2016年に設立され、2019年に公益財団法人となった。
AED設置情報の集約・活用、学校やスポーツ現場での救命教育、オンライン講習会などを通じて、AEDを使って救いうる命を救うための活動に取り組んでいる。
・公式Webサイト
・公式X(@aed_project)
・公式Instagram(@aed_japan)
■救命サポーターアプリ「teamASUKA」
救命サポーターを支援するスマートフォンアプリ。
概要はこちら
アプリのダウンロードはこちらから。
・Android
・iOS
下記のQRコードからもインストールできる。

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