
米海兵隊が新たに配備を開始した装備の一つにNMESISがあります。これは、Navy Marine Expeditionary Ship Interdiction Systemを略したもので、ネメシスと読みます。遠隔操縦による発射も可能な地対艦ミサイルシステムであり、2023年頃より配備が開始されました。
地対艦ミサイルとは、陸地より、洋上を航行する敵艦艇を攻撃するための長射程のミサイルのことを指します。

実はこれまで米海兵隊は、この種の長射程ミサイルを配備してきませんでした。
多くの方々がイメージする海兵隊の姿と言えば、母艦となる強襲揚陸艦から、水陸両用車AAV7や上陸用舟艇を使い、海から陸へと上陸する姿だと思います。こうした戦い方に加えて、2019年より打ち出された新たな戦術がEABO(Expeditionary Advanced Based Operations)です。日本語では、「遠征前進基地作戦」と訳しています。敵が接近する前に、脅威と見積もられる範囲内に部隊を派遣し、前進基地を作るというものです。そしてその基地から、海軍や空軍の戦いを支援すべく、敵を攻撃していきます。
例えば台湾有事を想定した場合、これまでの日米共同訓練や多国間軍事演習等を参考に見てみますと、与那国島など沖縄県の島々やフィリピンのルソン島の北側もしくはその先に広がる群島などにEABOを構築する計画のようです。それらの場所から、バシー海峡などを航行する敵艦艇を攻撃していきます。その手段として、新たに配備を開始したのがNMESISなのです。
NMESISのベースとなっているのは、統合軽戦術車両JLTVです。これまで使用してきた汎用軍用車ハンヴィー(HMMWV, High Mobility Multipurpose Wheeled Vehicle)の後継となる車両です。機動力が高いのは当然のことながら、多くのミサイル等兵器のプラットホームとなることを前提に開発されました。
このJLTVの車上に、対艦ミサイルNSMを搭載したのが、NMESISであり、射程は約200㎞と言われています。中核となるNSMは、ノルウェーが開発した対艦ミサイルです。開発自体は90年代から行われており、歴史はありますが、実用化したのは2012年頃となります。


敵もただ手をこまねいているわけには行きません。このNMESISを攻撃するために、戦闘機や爆撃機によるミサイル攻撃を行うことでしょう。そこで、NMESISを空から迫りくるこうした脅威から守るために近距離防空システムMADIS(マディス)も開発しました。こちらもJLTVをベースにしており、車上に対空ミサイル・スティンガーや対空機関銃などを搭載したものです。そこで、NMESISとMADISは、一緒に行動するのが基本となっています。
そしてこのニューカマーコンビは、今年の6月より沖縄に配備されております。キャンプハンセンに部隊を置いており、今後、日米共同訓練等で、日本各地に展開することもあるでしょう。読者の皆様が目にする機会も増えそうです。是非ともご注目下さい。




































