
スペイン美食の象徴であるCava(カバ)※1とJamón Serrano(ハモン セラーノ)※2。 その真の伝統と品質を守り正しく伝えるため、D.O.Cava(カバ原産地呼称統制委員会)とConsorcio del Jamón Serrano(ハモン セラーノ協会)では2024年からの3年間、日本でのプロモーションキャンペーンを開催中だ。伝統、熟成にかかる「時間」がもたらす本物の味わいへの理解を深めて頂くことが目的。帝国ホテル(9月17日開催)で行われた、 D.O. CAVA(カバ原産地呼称統制委員会) プロフェッショナル向け マスタークラス に参加して、CAVAをテイスティング&ペアリングしてきた!
※1 スペイン産の高品質スパークリングワイン ※2 スペイン産の熟成生ハム


森本 知佐子 氏(ソムリエ、アカデミーデュヴァン 講師)
菊池 貴行 氏(ソムリエ、カバ騎士団※)
スペインワインの世界を語るなら、この二人をおいて他にいない。
森本知佐子氏は、アカデミー・デュ・ヴァンで講師を務める実力派ソムリエ。スペイン各地のブドウ品種や土壌、気候の違いを丁寧に解説しながら、ワインの背景にある文化や歴史までをも語るその姿勢は、受講者から厚い信頼を集めている。一方、菊池貴行氏は「カバ騎士団」の称号を持つ、スパークリングワインCAVAの伝道師。醸造からボトリング、そして料理とのペアリングに至るまで、CAVAの魅力を余すところなく伝えるその情熱は、業界内外で高く評価されている。
※シャンパーニュの普及に貢献した者に与えられる名誉称号
スペイン産高品質スパークリングワイン「CAVA」

「CAVA」とは、スペインの4つの生産地において「伝統製法」に則り、ベースとなるワインを瓶内で二次発酵させて造られる、高品質なスパークリングワイン。最低でも9か月間、ボトル内で酵母と接触させた状態で熟成させる必要があり、白またはロゼのスタイルで造られている。
その製法には、環境への配慮とサステナビリティへの高い意識が反映され、2025年には「100%オーガニック」を達成、D.O. CAVAは、総合的にオーガニック栽培を行う初の原産地となっている。
認可されているブドウの品種
白ブドウ
・マカベオ
・チャレッロ
・パレリャーダ
・シャルドネ
・スビラット パレント
・マルバシーア
赤ブドウ
・モナストレル
・ピノ ノワール
・トレパット
・ガルナッチャ・ティンタ
ブドウからワイングラスまで
最低熟成期間➡葡萄畑の確認➡ベースワインの管理➡製造工程➡ボトリング
〇製造工程全体のおける厳格なトレーサビリティの管理
CAVAの歴史とアイデンティティ
CAVAは1872年に瓶内二次発酵によって誕生。1887年のフィロキセラ被害を契機に白ブドウ品種へと転換。これが独自のスタイルを形成するきっかけとなった。1959年に「CAVA」という名称が公式文書に登場し、1972年には統制委員会によって正式に保護される。1986年には地域と製法に基づく定義が確立され、1991年に現在の規則が整備。2020年には品質と個性を守るための戦略的改革が進められた。
CAVAテイスティング

今回テイスティングするCAVAは、13銘柄。その中で記憶に残るCAVA7銘柄を紹介!

バルフォルモーサ オリヘン ブリュットレセルバ
フルーティな味わいが印象的なCAVA。グリーンアップル、洋ナシ、アプリコットなどの白果実の香りが際立ち、発酵由来のペストリーやナッツのニュアンスが、軽やかで心地よい。口当たりは柔らかくクリーミーでありながら、酸味とのバランスが絶妙で、クラシカルな余韻だ。
ペアリングには、魚介類や白身魚、軽めの前菜がおすすめ。和食との相性も良く、繊細な味わいを引き立てるマリアージュが楽しめる。

セグラヴューダス ブリュット レセルバ
淡いグリーンを帯びたゴールドイエローが美しい、スペイン産スパークリングワイン。香りはマスカットや青リンゴを思わせる爽やかな果実香が華やかさを演出。口に含むと、フレッシュな酸味と力強い泡立ちが広がり、キレのある辛口ながらも角のない滑らかな味わいだ。食前酒としてはもちろん、食中酒としても活躍。寿司や蟹料理、ロブスターなどの魚介類との相性は抜群。

カバ・プエルタ・パルマ ブリュット・ナトゥーレ レセルバ・クラシコ
スペイン西部、エクストレマドゥーラ州アルメンドラレホ産。カバの主産地であるカタルーニャから離れた、内陸の希少な産地で造られるCAVA。青リンゴ、洋梨、白桃といったフレッシュな果実香に、ブリオッシュやアカシア蜂蜜のニュアンスが重なり、香りに奥行きをもたらす。口当たりはきめ細かく、極辛口ながらも、果実のふくらみと酸味のバランスが絶妙。白身魚のカルパッチョなど、素材の繊細さを活かす料理とのマリアージュに最適。希少産地ながら1,500円台という高いコストパフォーマンスも魅力のひとつだ。

パゴ・デ・タルシス タルシス・エキス・ブリュット・ナトゥール グラン・セルバ
スペイン・バレンシア州レケーナ。1808年創業の老舗ワイナリー「パゴ・デ・タルシス」。石灰岩の母岩を掘り抜いたセラーを有し、標高700mの冷涼な気候と昼夜の寒暖差を活かして、繊細ながらも骨格のあるスパークリングワインを生み出している。ライトイエローのCAVAは、香りこそ控えめながら、白い花や青リンゴ、レモンピール、そして石灰質由来のミネラルが織りなす香りが静かに広がる。フレッシュチーズとの相性は抜群で、ミルキーで柔らかな甘みを持つチーズや、塩気を抑えたタイプと合わせることで、泡の清涼感が一層際立つ。

ロジャーグラート グラン・レセルバ ジョセップ・ヴァイス
地下30メートル、石造りのセラーで36〜48ヶ月、時間の層を静かに重ねながら熟成されるグラン・レセルバ。フレッシュな酸とミネラル感が、熟した果実味と交差。白身魚の昆布締め、焼き牡蠣、ボタンエビのカルパッチョなど、繊細な和の食材とも見事に調和するCAVA。

ロベジャ・カバマシーア・セグレ・キンセ
スペイン・カタルーニャ地方の老舗ワイナリー「ロベジャ」は、500年の歴史を誇る家族経営のCAVA生産者。手摘み、一番搾り、瓶内二次発酵という伝統的な製法を守り続け、その品質はスペイン国王夫妻の結婚50周年記念式典の祝杯にも選ばれたほどだ。辛口ながら口当たりは滑らかで、酸味と旨味のバランスが絶妙。余韻にはほのかなミネラル感が漂い、特別なひとときを演出する。熟成チーズ、魚介類、イベリコ豚のグリルとの相性も抜群で、食卓を華やかにするCAVA。

ペレ・ベントウーラグラン・ビンタへ パラへ・カリフィカットカン・バス 2016
シャンパーニュに匹敵するエレガンスと、スペイン固有の力強さを併せ持つCAVA。繊細な泡立ちとともに広がる、熟した柑橘類、トースト、蜂蜜、ナッツの芳醇なアロマが口の中で漂う逸品だ。ペアリングは、魚介を中心に地中海の幸を存分に楽しめる。
酸が豊かな若々しいCAVAのマリアージュポイント
<料理>
塩分:カバの酸味が塩味をやわらげ、料理の旨味を残す。(カット効果)
酸味:カバの酸味が、料理の酸味を和らげる(調和)
苦み:ワインの苦みが、料理の苦みと同調して和らげる(調和)
風味:潮の香り、ハーブなど、余韻の同調(調和)
油分:特に魚介類が持つ不飽和脂肪酸との直接な接触を避ける。

ペアリング試飲会。口当たりのいい「CAVA」を試飲しながら、ワインの背景にある土地の風土や、料理との相性にまで及び、単なる「飲む」体験を超えて、味覚と知識が交差するひとときを参加者は時間を共有した。
料理とのペアリングで広がるCAVAの魅力




会場を新設ラウンジ「RENDEZ-VOUS AWA」へ移し、いよいよ料理とのペアリング体験へ。テーブルに並んだのは、生ハム、タルト、テリーヌなど、彩り豊かなメニューの数々。中でも意外な相性を見せたのが、塩気の効いたポップコーン。CAVAの繊細な泡と酸味が塩味をやさしく中和し、味わいに奥行きを与えてくれる。CAVAの新たな楽しみ方を発見する、印象的なひとときとなった。


































