お「メデ耐」イベントに参加した!
10月3日。富士スピードウェイには我らがチーム、モノ・マガジンTV(以下、モノTV)のスタッフが集結。業界のお祭り的イベント、メディア対抗ロードスター耐久レースが開催されるためだ。このレースは昨年、「長く続いているワンメークレースシリーズ」としてギネスレコードに認定されたオメデタイ催事。この喜ばしい記録を記念して名称も一転、メディア対抗の頭文字をとって「メデ耐」に。

モノTVは昨年より参戦、初挑戦ながらも無事完走している。今年は例年の筑波サーキットから富士スピードウェイに場所が変わっての開催。あてがわれたピットに運ぶ荷物がなかなかの大所帯で、一通りのガレージアイテムはもちろん、PCモニター、ケトルにハンガーかけ、3段ラックから冷蔵庫(!)までと、「これがあると安心ね」の単身赴任パックのよう。その気になれば広大なガレージ付きワンルームの様相を呈するのだ。

サークルのノリでクルマを拭きあげながら去年の思い出話に花を咲かせるのがまた楽しい時間でもある。

ここでメンバーの紹介を。本誌でお馴染みのレジェンド・津川さん、国内フォーミュラのトップカテゴリーの経験者石川センセー、クラシックミニのレースでお馴染みのデザイナーの若山さん、某国産メーカーの開発ドライバーの顔を持つ福田さん、チーム監督には本誌、web、動画と身ひとつでは足りないくらい多忙の松浦さん、メカニック兼作戦参謀の谷古宇さん、チームの軍師的参謀の佐々木さん、そして記録報告のワタクシ。昨年同様の布陣で初挑戦の富士に挑むのだ。

練習走行開始。とりあえずコースに慣れることから。公認レースとはいえ年中レーシングスピードで富士を走っているドライバーは多くはない。このあたりからしてもサンデーレーサーのお祭り度がお分かりいただけると思う。

サーキットでは公道では体験できないことが多い。それを経験するだけでも安全運転スキルの向上につながる。それに公道では許されない速度で走っても怒られない、つまりクルマの性能を享受できるというメリットも。まあ、早い話がサーキット走行は楽しい、ってことなのだ。筆者も出撃体制でクルマに乗り込んでの完熟走行だ。

それにしても。悲しきエディターの性、デザイナー若山はピット内でも「今、締切中なんだよぉ」と作業に励まれておる。

イベント開幕!
10月4日。ゲートに集結しているのはマツダ、マツダ、マツダ、マツダの大軍勢。いや熱心なファンの面々。そう! 何を隠そう(って隠していないけれど)ここで2日間にわたり「マツダファンフェスタ(以下マツフェス)」が開催される。
このマツフェスはクルマ離れが叫ばれるご時世でもファミリー層も多いイベントとして知られ、コアなファンはもちろん、なんとなく休みの日だしご飯でも食べに行ってみようか的な軽いノリでも参加できてしまう敷居の低さも人気のヒミツ。
もちろんクルマ好きにはなかなか刺さるお祭りになっている。「ファンの皆様と共に、もっとクルマを楽しむ場」というのがコンセプトであるからして、走ることに大きく興味を持っていないくても楽しめるし、普段会えない開発者と直接交流できるのも嬉しい。それにしてもゲートオープンしたばかりだというのに会場のメーンストリートは大盛況。

マツフェスで人気の柱の一つはグルメだ。お膝元広島と相思相愛のマツダ、富士にいながらも広島の名産品が揃う広島マルシェだけでなく、広島といえば! の絶品料理も揃う。例えば昭和25年創業、広島流お好み焼きの最古参店でもある「みっちゃん総本店」や元祖尾道ラーメン壱番館など広島グルメが集結。いつ行っても長い行列が絶えなかった。そのほかにも東京の有名レストランやカフェの出店もあり来場者のお腹を満たすブースは充実。



筆者、チームの仕事もせずにブース巡りをしていると一際綺麗なクルマを発見! この綺麗なRX-7は長崎県のオーナー主婦が80歳の誕生日に免許を返納。それまで25年間乗っていた愛車をマツダに譲渡した個体。

今や中古車市場で完全ノーマルで綺麗な個体が少ないFD3S型。前オーナーの愛情が伝わってきた1台。
コース上には観光バスが入り始めた。バスでタイムアタックか! ではなく、コースを周回するバスの横を往年のレーシングカーが抜き去っていく、サーキットサファリというアトラクションだ。真横を結構な速度差で抜き去っていく往年のマシンの奏でるエキゾーストノートをコース上で堪能できる人気も高いイベントだ。そしてそこを走る貴重なレーシングカーは間近で眺めることも可能。


あっ! の先に
メデ耐の予選開始。他のチームよりいいポジションにスタートできるように本気組がアタッカーを務め、モノTVは福田さんが担当。ピットに置かれたモニターからはリアルタイムでタイムがわかり、最初の数周はコースコンディションに慣れるようにペースを抑えていたけれど、どんどんタイムが上がってくる。チームの作戦参謀から「どうです? 最初のセクションまでのタイムは前より上がりました、次のセクションが遅くなってます。あと1秒くらいいけそうですか」とドライバーとのやりとりが頻回に。テレビ中継される場面が目の前にあるし、それを一緒に作っていると思うとモータースポーツってやっぱり楽しい! と思う。ウンウンと一人勝手に頷いていたのだが、チームの呼びかけにドライバーが応答しないという。交信をしていた参謀、谷古宇さん曰く『「あっ!」って聞こえてから応答がないっス』
予選終了。モノTVのゼッケン119号車はピットに帰って来ない。「もしや……」という雰囲気の中、福田さんが戻る。とりあえず安堵。そしてクルマは運ばれて来たのだった。

富士は広いな大きいな
メディア対抗ロードスター耐久レース。普段、発行部数やらPV数やら目を三角にしてライバル媒体をウンヌン、な昨日の敵は今日も敵のレースである(編集部注:そんなことはありません!)。コホン。モータースポーツの楽しさや魅力を積極的に発信していく年に1度のお祭りのようなイベントが間も無くスタートを迎える。
我らが119号車は自走できず予選の記録がないため、決勝を走らせてくださいませませ〜の嘆願書とマツダさんにお願いします! お願いします! のスペアカーでスターティンググリッド最後尾に並ぶことができた。

それにしても。モノTVの面々は紳士であった。危うくその場退場になりそうな状態でもドライバーを「オメー、帰りは食事奢れよ」と責めることなく、身体の不調を尋ね、大丈夫、レースだから、と優しそうなことを言っても目は三角、ということもない。あぁ、レースはみんなでするモノなんだなあ、と心から思った次第。誰一人欠けてもイケナイのだ。
スターティングドライバーは若山さん。決勝開始時刻の15時には結構な雨足に。霧はロンドンと富士の名物というけれど、メデ耐当日もまさにその通り。刻一刻と状況は変わるのだが、ヒドイ時は1コーナーのブレーキング目安となる看板さえ見えないことも。

また、ホームストレートは視界が良くても裏側の100Rや300Rは視界不良ということも多い。
若山さんから筆者にドライバー交代。筑波の4時間開催からレース時間が1時間減り、富士に場所を移しての最初ということもあり、全チーム燃費を考えての走行になっているようだ。もちろん視界の悪さもあると思う。モノTVの作戦はエンジンは●●回転まで! としてコーナーによっては無理に高いギアで立ち上がらないでOKというモノ。
日本屈指の高速サーキット、富士スピードウェイ。全開まで回していないので1コーナーへの進入は3速で。そこから下り勾配で2コーナー入り口あたり姿勢変化のためのブレーキング、そして100Rはアクセル操作だけでクリアしていくのだけれど、路面がウェットでアクセルの抜き方次第ではリアがムズムズし、スリリング。昨年練習走行中に赤旗を出した筆者は今回はキチンとトラックモード(本格的にヤバい時だけ制御が介入する)はオンだ。アドバンコーナーを2速でクリアし、高速コーナーの300Rは踏め踏めモードで攻めていく。ダンロップコーナーも2速で。ここからが勾配が急でコースを覚えておかないとイケナイ。13コーナーが最終コーナーと勘違いしてしまい、GRスープラコーナーにオーバースピードで進入してしまうことに(ジツは2回やらかした。編集部注:……)。最終コーナーのパナソニックコーナーは気持ちだけ焦ってしまうとストレートに入るのが遅くなったり、コースアウトしそうになったりするので、きっちりとライン取りしたい場所。そうすると長い長いストレートで最高速を犠牲にしないで済む。
サードドライバーはレジェンド・津川さん。ここでチームとして重大な決断を迫られる事態に。それは想像以上に燃料が余っている、ということ。我らが参謀、軍師殿はラップタイムモニターとにらめっこしつつ悩んでおられる。

作戦は岐路に。一つはまだ燃料があるので回転制限をもう少し上げてタイムを削っていくパターン。もう一つはもう少し回転を抑えたままにする作戦。残り時間はあと1時間半くらい。悩ましいところで燃料切れの不安もなきにしもあらず。他のチームは若干タイムアップし始めているところも。ここで参謀と軍師殿が出した答えは、前者。「ひとまず●●回転まで回しちゃってください!」と呼びかける谷古宇さん。津川さんは指示通り若干タイムを上げていく。
そして第4ドライバー、福田さんに。残り約1時間。ここからは回転の制限なしだ。それにしても福田さんのプロ意識はさすが。予選でコースアウトした場所でもタイムを上げてくる。氏曰く「やっぱり数周はビビっちゃいましたけど気持ちを切り替えられました」と。
いよいよ残り時間もわずかでエースドライバー、助っ人石川さんの登場。最初から全開で行く。無線から「滑って大変!」と言っているけれどタイムは上位チームと遜色ない。規定の3時間経過。モノTVは無事完走!! 皆さま応援ありがとうございました!