GEL-KAYANO 32

灼熱の気温が続く日本列島だが、早朝ランニングをしていると他の多くのランナーとすれ違うから驚きだ。ランニングは、老若男女楽しめ、初心者でも入りやすいスポーツの一つだからかもしれない。また、初期投資が少なくて、自分の足に合ったシューズさえあれば始められるのもいい。今回オススメしたいのは、ビギナーからエリートランナーのLSD用まで、守備範囲の広いASICS(アシックス)のGEL-KAYANO 32だ。こちらの偏愛っぷりを語りたい!
私は、ASICSのGEL-KAYANO 32(ゲルカヤノ 32)を愛している。なぜこれほどまでに惚れ込んだのか?
世界的に有名なスポーツブランドであるASICSは、1949年、鬼塚喜八郎氏が神戸市で鬼塚商会を創業し、同じ年に鬼塚株式会社を設立した。競技用スポーツシューズ第一号は意外にもバスケットボールシューズだったらしい。1953年にはマラソンシューズを発売。その後もレスリング、野球など様々な競技向けシューズが発売され、1977年に、3社が対等合併し、総合スポーツ用品メーカー「株式会社アシックス」ができる。ASICSの社名の由来は古代ローマの風刺作家ユベナリスの「Anima Sana In Corpore Sano」という言葉の頭文字。
意味は「(もし神に祈るならば)健全な身体に健全な精神があれかしと祈る(べきだ)」。この言葉自体が創業哲学なのだそう。(引用元:ASICSオフィシャルサイト)
兵庫県神戸市西区にある「アシックススポーツ工学研究所」は、シューズなどの研究開発拠点で、人間の動作に着目・分析し、科学的なアプローチで、「人間特性」「材料」「構造」「分析・評価試験」「生産技術」の5つの分野に関する研究を行い、製品開発。研究所内には、全天候型トラックや、さまざまなスポーツに対応した体育館、人工芝グラウンドなど、実際に選手がパフォーマンスを計測できる設備が充実し、材料の成型加工設備や人工気象室、化学分析設備などもあり、研究開発から試作、評価・検証までを一貫して行える体制が整っている。トップアスリートのパフォーマンス向上を目的とした製品開発だけでなく、医療現場等で働く人のためのシューズ開発など、スポーツの枠を超えた分野にもその研究成果が活かされている。(引用元:シューズマスターVOL.41実業之日本社)

KAYANOという名前はどこから来たのか?
今回はアシックスの中でも超ロングセラーでもあるGEL-KAYANOシリーズの最新作だ。GEL-KAYANO(ゲルカヤノ)の名前は、このシリーズの生みの親であるアシックスのデザイナー榧野 俊一(かやの としかず)氏の名前に由来する。1993年に初代モデル「GEL-KAYANO TRAINER」が開発された際、当時若手だった榧野氏の名前が、開発チーム内でのコードネーム(開発中の仮称)として使われていた。その後、製品化する段階で、アメリカ法人の担当者が「KAYANO」という言葉の響きがアメリカ人にとって異国情緒があって魅力的であること等を理由に「このまま製品名にしよう」と提案。その結果、開発者の名前がそのまま製品名として採用されるという、異例の形で世に出ることになった。
当初、榧野氏自身は自分の名前が製品につくことに戸惑い、「多くの仲間と作り上げたシューズなので責任を感じる」という思いだったそうだが、今では世界中のランナーに愛されるシリーズとなった。ここ最近は、ランナーだけにとどまらず、ファッション好き、スニーカーフリークたちにもKAYANOシリーズは大人気。2000年代に開発されたランニングシューズの14を筆頭に、さまざまなファッションブランドとコラボもあって、大注目されている。

安定性と快適性を極めた、伝統と革新の長距離向きシューズ
アシックスの「GEL-KAYANO 32(ゲルカヤノ 32)」は、前述のとおり1993年から続く同ブランドを代表するランニングシューズシリーズの最新モデル。その立ち位置は、ランナーのレベルを問わず、特に長距離に対して快適に走ることを最優先に設計された「スタビリティ(安定性)モデル」の最高峰といえる。同シリーズは、長年にわたり多くのランナーの足元を支え、特にフルマラソン完走を目指すランナーから絶大な信頼を得てきた。その核となるコンセプトは、走行時の足元のぐらつきを抑えるスタビリティ(安定性)と、長時間のランでも快適さを損なわない「クッション性」の両立だ。32代目となる今作もその伝統を受け継ぎつつ、最新のテクノロジーを搭載することで、より高いレベルの安定性と快適性を実現。スピードが出せるシューズというよりは、ゆっくりと走ることでその安定感をより体感できるシューズといえる。とくにまだ走り慣れていない人に起きやすい足首のオーバープロネーションの軽減にもなる。オーバープロネーションとは、歩いたり走ったりする時に、かかと周りの関節が内側へ「過剰に」倒れ込んでしまう状態のこと。「過剰回内(かじょうかいない)」とも呼ばれ、多くの方が悩む足の問題であり、様々な怪我の原因になることも。
GEL-KAYANO 32の注目ポイントは?
最新機能ではないが、シリーズ30作目から搭載している4D GUIDANCE SYSTEM™ (フォーディーガイダンスシステム)。これは、走行距離が伸びて疲労した際に変化するランナーの動きを分析し、常に最適なサポートを提供する。内側に広がったミッドソールの形状や、アーチ部分に配置されたフォームパーツなどが連動し、着地時の足の倒れ込み(前述したオーバープロネーション)を抑制し、スムーズな足運びを促す。実際に走ってみて、気温急上昇の36℃に達するとだんだんと疲れから走りがダレてきたため、フォアフットよりもヒールストライク(かかと着地)気味になってしまったが、安定感も抜群で、きちんと進んでくれるのだ。筋力があり、走力に自身があるエリートランナーならここまでのクッション性がなくてもいい人もいるとは思うが、LSD(ロング スロー ディスタンスと言って、ゆっくり長い距離を走るトレーニング)にした途端、このGEL-KAYANO 32の恩恵を受けることになるはず。さらに、次の日に下半身全体の疲れが残りにくいのも気に入っている点だ。とにかく走るのが好きな人は毎日走りたくなってしまうが、これを併用することで歯止めが効く。



ミッドソールには、軽量で反発性に優れたフォーム材「FF BLAST™ PLUS 」を前作よりも前足部2mm厚くしたとのこと。さらに、かかと部には衝撃緩衝性に優れた「PureGEL™(ピュアゲル)」を搭載し、着地時の衝撃を効果的に和らげ、非常にソフトな履き心地を促すクッショニングに。僕のような中級ランナーだと、フルマラソンのとき、はじめの30km地点まではスピードを出せても、後半タイムが落ちてくる傾向にあるため、カカトのクッショニングが不用意な接地を支えてくれるのは有難い。それによって、後半の前脛骨筋辺りの疲れが軽減できる。

また、他のアシックスのスピードシューズに比べてワイズはかなり快適だった。STANDARDと記載があるため、自分は甲高で幅広なので不安だったが、心配ご無用。部位によって編み方を変えたエンジニアードメッシュアッパーが、優れた通気性とフィット感を実現。長時間のランでも快適な状態を維持し、白メインのカラーもあって、夏にはバッチリ!普段着でも案外合わせられる。

どういったランナーにおすすめなのか?
GEL-KAYANO 32は、安定性が高いため、まだフォームが安定しない初心者ランナーでも怪我のリスクを低減し、安心してランニングを楽しめる。それだけでなく、フルマラソン完走を目指すランナーにもいい。レース後半の疲労時にシューズがフォームをサポートしてくれるため、目標達成の心強いパートナーとなるはず。また、エリートランナーであれば、LSD(ロング スロー ディスタンス)など、長い距離をゆっくり走るトレーニングを行うのには最適。優れたクッション性と安定性が、足への負担を軽減し、質の高いトレーニングを可能にしてくれる。さらに、体重がやや重めの方や高齢の方にも◎。膝や足首などの脚への負担が気になるランナーにもいい。シューズ自体のしっかりとした安定感とサポート機能が、安心材料になると思う。

GEL-KAYANO 32は、ただ走るためのシューズではなく、「すべてのランナーが、より長く、より快適に走り続けられるように」というアシックスの哲学を具現化した一足。ランニングにおける”安心感”を求めるなら、まず最初に検討すべきシューズだ!
GEL-KAYANO 32
価格: | 2万2000円 |
仕様 | |
インナーソール素材: | 合成樹脂(ORTHOLITE)/取り替え式 |
カラー: | White / Orange Glow(他にもカラー多数) |
靴底の最大の厚さ: | 約40.0mm |
サイズ展開: | 24.5-29, 30, 31, 32(メンズ) |
幅 / ラスト: | STANDARD, EXTRA WIDE(メンズのみ) |
アッパー素材: | 合成繊維・合成樹脂 |
アウター素材: | ゴム底 |
生産国: | インドネシア、ベトナム |
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