
「昭和100年」「平成レトロ」というワードも流行の今、アナログ時代のラジオとラジカセは、味わいあるルックスはもちろん、当時の若者のニーズがわかるスペックも興味をそそられる。代表的なモデルやユニークなモデルを誌上コレクション。
写真/鶴田智昭(WPP)、モノ・マガジン編集部 文/モノ・マガジン編集部
協力/日本ラジオ博物館、ラジオ・ラジカセミニ博物館、シャープミュージアム、ゴールデン昭和アーカイブ
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シャープ
トランケット
初の人工衛星「スプートニク1号」成功2年後の1959年、シャープが発売。ズバリ、トランジスタラジオ+ロケットのネーミングで、宇宙時代を意識して今も斬新。アタッチメントで自転車やバイクのハンドルにも取り付けられた。



東芝
ヤングセブン
1963年に発売されたトランジスタラジオで、「ヤング」のネーミングに若者文化とラジオの結び付きが強くなった世相が伺える。価格は5600円で、当時のこのクラスのラジオではリーズナブル。



ソニー
EFM-117J
1964年に発売。エサキダイオードを採用し、シルバーとブラックのモノトーンのクールなデザイン。シンプル、スタイリッシュで、ラジオデザインの新時代を拓き、市場に影響を与えた。



ナショナル
ワールド・ボーイGX RF-858D
ワールド・ボーイ初代は1967年発売。ブラック×シルバーの精悍さに加えて、縦長で目を引くダイヤルなど、メカニックなものに惹かれる男性ユーザーにアピールするデザインでヒットし、シリーズ展開された。これは68年発売のモデル。

ナショナル
RQ-231
初のラジカセとも言われ1967年暮れに発売されたモデルだが、テープ操作がプッシュボタンではなく上下左右の十字操作で、後のラジカセのメインストリームとは異質な操作感と佇まい。



アイワ
TPR-101
上のRQ-231以前にも、ラジオとカセット一体化の製品はあるが、プッシュボタン操作のラジカセは、このTPR-101が最初とされる。若者文化に欠かせないラジカセの歴史はここから始まったといえる。1968年に発売。



ナショナル
R-70、R-72
ナショナルが70年に発売したポップなラジオ。球形がR-70。左のR-72は中央で回転させるとリング状になって、腕に巻いて運べるファッション性をアピール。R-72はMoMA(ニューヨーク近代美術館)に所蔵されている。



ナショナル
COUGAR RF-888 吠えろクーガ!
1973年発売。「クーガ」シリーズ初代機種。 大型16㎝ダブルコーンスピーカーの音質重視モデル。スピーカーグリルを大小のドットで強調したデザインが、以後のラジオやラジカセに絶大な影響を与えた。

ソニー
ICF-5800 スカイセンサー5800
1973年発売。海外の短波放送などを受信するBCLブームを築き、絶大な人気を博したスカイセンサーシリーズでも一番売れたモデル。通信機を意識したメカニックなデザインで、アナログ感が今でも魅力的。



ナショナル
STERO MAC(STEREO 457)
1974年発売。ナショナル最初のステレオラジオカセットレコーダー。スイッチの切換えで立体音響を強調するステレオワイドシステムを搭載。ネーミングは発売中に変更された。

ナショナル
RF-222 マリン1号
1974年発売。「水陸両用ラジオ」が売りの本格的な完全防水ラジオで、海でも風呂でも水に浮かべて聴ける。70年代のアウトドアブームを象徴するラジオ。丸洗いもできる。



ソニー
ICF-6000 スカイセンサー6000
こちらもアウトドア向け、防滴・耐ショック仕様ラジオ。1975年発売。横長のキャビネットに9.2㎝スピーカーやガードアームを無骨に装備し、タフなミリタリー感にそそられる。カタログでアドベンチャープランにぜひ一台と提案されている。



ビクター
Radio-TV-CASEETTE RECORDER M-77 ラテカセ77
1976年発売。ラジオ、カセット、テレビがオールインワンな若者の憧れ。3インチの白黒ブラウン管を搭載する。AM、FM、SW、VHF、UHFの5バンド。「ラテカセ」はビクターの商標。

ソニー
FX-300 ジャッカル300
1976年発売。ソニーのテレビ搭載ラジカセ1号機。他のテレビ搭載ラジカセとは一線を画す、テレビが中央の縦型デザイン。ブラウン管はモノクロ3インチ。カセットは上部にある。



サンヨー
ユーフォーマーク2 MR-U4MKII
1979年にデビューした、スリムで横長で軽快なカラーが新鮮なラジカセのシリーズで、「おしゃれなテレコ」の愛称で女性にも人気に。前後3曲の飛び越し選曲機構を搭載。マーク2は1979年発売。

シャープ
ザ・サーチャーW GF-808S
1979年発売。シャープ最初のダブルカセットラジカセ。「一発編集」「二重再生」「連続再生」「多重録音」など録音、再生、編集機能が充実。ラジオで録音した曲の編集も便利。インジケーターの発光も魅力的。



ナショナル
RX-F333
ラブコール トリプル
1985年発売。ダブルカセット人気の時代に登場したカセット三連装ラジカセ。多機能トリプルカセットメカニズムで、カセット3巻が連続再生できて音楽が長時間楽しめた。スリムでワイドで幅は57㎝。



ビクター
CDian RC-X90
1988年発売。「バブカセ」と呼ばれるバブル時代の多機能CDラジカセ。ラジオ20局プリセットが可能で、4バンドシンセチューナーも搭載。重低音GXホーンEXで迫力のサウンド。