新行市佳の特撮放送局 第2回:特撮と万博 ʼ70

ディープな特撮ファンもビギナーも集まれ! ニッポン放送アナウンサー・新行市佳さんの特撮愛が炸裂する連載が読めるのはモノ・マガジンだけ! あなたに伝えたい特撮を熱く語ります!

文/新行市佳(ニッポン放送アナウンサー)

モノ・マガジン6月16日号(6月2日発売)
★本連載は『モノ・マガジン』誌面と同日公開です!

特撮と万博 ʼ70

 大阪・関西万博が開幕しましたが、皆さんは足を運ばれたでしょうか。

 実は、私は「万博」に行ったことがなく、2005年の「愛・地球博」の時は、地元の秋田でその様子をテレビで見ているだけでした。

 ですので、「今回こそは行きたい!」と、モノ・マガジンの5月16日情報号の万博特集を熟読している今日この頃です。

 ということで、今回のテーマはそんな万博にまつわる特撮作品をお伝えしようと思います。

 まずは『ウルトラマン』(1966年〜1967年)第26話『怪獣殿下(前篇)』、第27話『怪獣殿下(後篇)』。

Ⓒ円谷プロ

 南太平洋のジョンスン島に生息していた1億5千万年前の古代生物ゴモラザウルスの生き残りとして発見された怪獣のゴモラを生け捕りにして、万博で展示しようとしますが、科学特捜隊がゴモラを空輸している最中に麻酔の効力が切れて、ゴモラが覚醒。

 危険を回避するためにワイヤーが切断され、地上に落下したゴモラはウルトラマンを圧倒して、地底へと逃れます。(ここまでが前篇)

 その後、ゴモラは市街地で猛威を振い、大阪城に出現し、再びウルトラマンと戦うというお話です。

 続いては『ガメラ対大魔獣ジャイガー』(1970年)。

ジャイガーはガメラに卵を産み付けて寄生する恐ろしい敵! Ⓒ1970 KADOKAWA
『ガメラ対大魔獣ジャイガー』Blu-ray 価格5170円 発売・販売元 KADOKAWA Ⓒ1970 KADOKAWA

 この作品は、まさに物語の舞台が万博です。

 冒頭で、各国のパビリオンが映し出されますし、万博会場を背景にガメラとジャイガーの激闘が繰り広げられます。

 ウルトラマンもガメラも、当時の大阪万博への高揚感や「万博のためなら力を尽くす!」という現場の熱意が伝わってくるような気がするんですよね。

『怪獣殿下(前篇)』では、科学特捜隊がゴモラの輸送を依頼された際、ムラマツキャップが「本来なら、科学特捜隊の名誉にかけても怪獣の運び屋なんてお断りするところだが、万国博のためとあっては協力せざるを得ない。」と隊員に話しています。

 また、『ガメラ対大魔獣ジャイガー』では、ジャイガーを封じ込めていた石像「悪魔の笛」をウェスター島から大阪港へと運び、荷揚げをする時、船員のほとんどが悪魔の笛に触れて謎の病に侵されてしまった大ピンチの中、港湾の作業員たちが「万国博のためと言われたら!」「まかしとき!」と意気込む場面があります。

 何より、主人公の少年・弘の父親が万博会場で使われる遊戯用の潜水艇を作っているシーンから物語は始まっているのです。

 以前、私が担当している朝のニュース番組『飯田浩司のOK! Cozy up!』で、今回の大阪・関西万博のテーマ事業プロデューサーを務められている河森正治さんにお話を伺う機会がありました。

 小学生の頃に大阪万博に足を運んだという河森さん。

「あのときに万博に行っていなかったら、この仕事に就いていないと言えるぐらいの刺激を受けた。」とのことで、サターンV(ファイブ)のロケットエンジンの大きさ、月着陸船の異様な形に驚いたそうです。

 知識として知っていた国を実際に体感した経験や「太陽の塔」の内部にある「生命の樹」を見ていたことが、知らず知らずのうちに「マクロス」シリーズや「アクエリオン」シリーズに反映されていたとも語ってくださいました。

 大阪・関西万博が開催されている「今この瞬間のドキドキワクワク」は勿論ですが、この万博を経験したことによって、今後どのような物語が紡がれていくのかも楽しみです。

 繰り返しますが、ここまで書いておいて、私は未だ万博に行っていません……。

 まずは体感せねば!

新行市佳 (しんぎょう・いちか)
ニッポン放送アナウンサー。1992年東京都生まれ秋田県育ち。朝のニュース番組『飯田浩司のOK!Cozy up!』(月~金・6時~8時)で月曜から木曜のアシスタントを担当。大の特撮好きであり、『山崎貴のオールナイトニッポンGOLD~ゴジラ|ニッポン放送70周年スペシャル~』でアシスタントを務めた。モノ・マガジンwebで連載コラム「新行市佳のイチから特撮!」を公開中(連載終了)。

ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!
月曜日~金曜日の6時から8時まで生放送! ニッポンと世界の今が分かる朝のニュース番組。パーソナリティは飯田浩司アナウンサー。アシスタントは新行市佳アナウンサー。radiko、ポッドキャストでも聴ける。


『ウルトラマン』「怪獣殿下」は
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TSUBURAYA IMAGINATIONは円谷プロ公式のサブスク配信サービス。『ウルトラマン』全39話ほかヒーローざんまい!

『新行市佳の特撮放送局』はモノ・マガジンの誌面とwebを同日公開します。
次回は7月2日更新。ご期待ください!

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