特撮ばんざい!第11回:大爆笑SFコメディ『突撃!隣のUFO』スペシャル1 祝・映画初主演!ヨネスケ師匠インタビュー


落語家ヨネスケが巨大しゃもじを手にしてご家庭を突撃訪問し、晩ごはんのメニューを尋ねるワイドショーの人気コーナーが、ついに宇宙へ進出!? 2月3日公開『突撃!隣のUFO』主演・ヨネスケ師匠のインタビューをどうぞ!

写真/熊谷義久 文/秋田英夫

『突撃!隣のUFO』あらすじ
UFOや宇宙人の目撃情報を調査・研究する民間組織「URL(UFO・RESEARCH・LABORATORY)」の捜査官・滝史郎(ヨネスケ)は、地球に飛来していたUFOを「金のしゃもじ」で発見すると、その中へズケズケと入り込んでいく。その並外れた行動力に、相棒の岡本洋(濱田龍臣)は驚きを隠せない。なぜ滝はこんなにも宇宙人に対して図々しくなれるのか、そこには、UFOにさらわれた妻子を救い出したいという、彼の強い思いがあった。次々と侵略宇宙人を撃退する滝の前に、妻子を奪った桁違いの巨大UFOが出現する――。池袋シネマ・ロサ、ヒューマントラスト渋谷ほか、2月3日全国公開! 

公式サイトhttps://totsugeki-ufo.com/

本誌2-2号記事と合わせてお楽しみください!!

とうとう俺もここまで来たか!

――特撮コメディ映画を作り続けている河崎実監督の最新作『突撃!隣のUFO』の主演を依頼されたときの、師匠の率直なお気持ちから聞かせてください。

最初はイヤだったんですよ(笑)。本業の落語はひとりでやるもので、たとえ流れを間違えたとしても自分でどうにでもできるんだけど、映画となると何人もの共演者の方といっしょに芝居をするわけでしょう。みなさんがちゃんとしている中で、もし僕がセリフを間違えたらやり直しとか、そんなの申し訳ないですから。でも、河崎監督が浅草まで来てくれて、上手い喋りで乗せてくださったので、出演をOKしたんです。

――「隣の晩ごはん」ならぬ「隣のUFO」というタイトルについて、最初聞いたときはどう思われましたか。

とうとう俺もここまで来たか! と思いましたね。宇宙とかUFOとか行っちゃったら、もう誰が何を言おうと関係ないよね。今、民間人が月に行くみたいなプロジェクトが進んでいるでしょう。僕もロケットに乗せてくれないかな、なんて思ってます。それで、月面に大きなしゃもじを置いていくんだ。後から来た人が「ゴミじゃねえか」と思うかもね(笑)。

――師匠が演じる滝史郎は、普段はまるで高倉健さんのように寡黙で多くを語らない人物として描かれていますね。

僕が長いセリフを覚えられないからって、監督がそういう設定にしてくれたんですね。最初に言いましたから。私、長セリフ絶対ダメですよって。そんな僕とコンビを組んで、助けてくれたのが岡本役の濱田(龍臣)くん。彼は若い上にとても頭がよくて、芝居についてもいろいろ教えてくれました。こんど、彼のお父さんも呼んで3人で飲もうよって話もしてるんです。

――あの渋い滝の表情の作り方には、お手本のようなものがあるのでしょうか。

ああいう芝居は落語でずっとやっていることといっしょ。ご隠居のじいさんがヘソを曲げているときのような表情を作ればいいのであって、難しいものではないんです。ほんと、セリフを覚えてくることだけがツラかっただけですね。

これが「金のしゃもじ」だ!

――宇宙語を翻訳し、先端からビームを発射する万能アイテムとして、金色のメカニカルな「しゃもじ」を使われていますが、あのしゃもじを持たれたときのお気持ちは?

重かった~(笑)。テレビの「突撃!隣の晩ごはん」では発泡スチロールのしゃもじですから、軽いんです。でも映画で使ったしゃもじは中にいろいろ仕掛けがしてあるので、とにかく重い。ただ持ってるだけで筋肉痛になりますから。金のしゃもじには取っ手がついていたのでどうにか持っていられたんです。

――たとえUFOの船内でも、異次元空間でも、しゃもじを持ってズケズケと中に入っていく師匠のバイタリティが本作の見どころですね。合成を使った特撮場面が多かったと思いますが、目の前に何もない状態での演技についてはいかがですか。

何もないところで、いかにも何かしているように見せるのは落語といっしょですから、僕にとっては楽でよかったです。むしろ、実物があったり、人の芝居を受けて自分がセリフを喋るとかのほうが、難しいですね。

――セリフを覚えるにあたって、かなり苦労をされたのですね。

愛知県の蒲郡市に一週間宿泊ロケに行きましたけど、撮影の前は酒も飲まずにずっと台本を読んで、自分のセリフを覚えていました。なにしろ昨日何があったかも忘れちゃうんだから(笑)、周りの方々にご迷惑をかけないよう、頑張って覚えてました。たいへんだったのはやっぱりこのしゃもじでね、自分でもうまくセリフが言えた、いい芝居ができたなって思っても、そういうときに限ってしゃもじのライトが消えていたからやり直し……とか言われて、困りました。ひとつの芝居が終わるとホッとして、次に気持ちが移っていくのに、またさっきの芝居をやるのかって、ガックリきちゃうんです。

――撮影で使っていたしゃもじの小道具を、記念に持って帰ったりされましたか。

そんなことしませんよ。今は独り暮らしで、しゃもじを飾ったって仕方ないですから(笑)。撮影用のしゃもじは一個しかない小道具ですが、クラウドファンディングに支援してくださった方々への返礼用に、レプリカのしゃもじにたくさんサインを書かせてもらいました。

AKBとモロボシ・ダン!!

ヒロイン・大川小百合(左・服部有菜/AKB48)

――優しかった祖父(演:破李拳竜)の面影を滝に見て、好意を抱くヒロイン・大川小百合(演:服部有菜/AKB48)の存在も、滝という人物を渋く見せる役割を担っていますね。

うまい役を作ってくれたよね(笑)。でも実際、寡黙な男のほうがモテるんですよ。どこへ飲みに行っても、僕らはペラペラ喋っちゃうから、モテない。黙ってる奴のほうがモテる。

URL所長・国松忠(演:森次晃嗣)

――URL所長・国松忠を演じられたのは、『ウルトラセブン』のダン隊員でおなじみ、森次晃嗣さんでした。森次さんとのお芝居はいかがでしたか。

最初は怖い人かなと思っていましたが、ロケ現場で回りの雰囲気をなごませてくれたり、とても優しくていい方でしたね。僕がやりやすいような空気を作ってくださいました。

――師匠はウルトラセブンをはじめとする特撮ヒーロー作品などは、ご覧になったりしますか。

僕はどちらかというと、もっとシリアスな映画のほうが好きですね。特撮ものは、ウチの師匠(桂米丸)のほうが好きだったかもしれません。ただ、UFOというか宇宙人の存在については、絶対どこかにいると信じています。広い宇宙に地球人だけしかいないなんて、おかしいですよ。すでに宇宙人が地球に来ていて、人間が気づいていないだけかもしれないなんて、想像すると楽しいですよね。

――今回の映画のように、師匠が実際に超常現象、UFO現象に遭遇したことなんてありましたか。

僕はお墓の前を通るとき、目をつぶっているくらいの怖がりなんです。だから、もしも不思議な現象が身の周りに起きていても、観てないと思います。僕が生まれ育ったのは木更津で、自衛隊の駐屯地があるんですね。夜の海を見ていると、ずっと向こうのほうに何か光る物体があるように見える。でもそれは「自衛隊の飛行機のライトだな」って、正体がわかってるから不思議でも何でもないんです。お化けなんかも見たことないですね。仕事で各地のホテルにたくさん泊まりましたけど、よく「この額のところから(お化けが)出るんです」って話をよく聞くわりに、そんなのを目撃するわけでもなく朝までぐっすり寝ていたりしますね。

「蒲郡名物のカニは美味かったなあ」

――撮影で楽しかったことがあれば、教えてください。

カニをたくさんいただいたことですね。僕はカニが大好物で、死ぬ前にはカニを山ほど食って死にたいと思っているんです。映画の中で大きなタカアシガニを食べるシーンがあって、あれは美味かったなあ。生で食べたり、茹でて食べたりするのが好きな人が多いけど、僕は蒸し器で蒸したカニが最高。いくら食べても飽きません。撮影がぜんぶ終わって、打ち上げの席でもカニを出してもらって、嬉しかった(笑)。

――愛知県蒲郡市~幸田町のロケでは、地元の方々のご協力でお食事がとても充実していたそうですね。

すごいおもてなしをしてくださいました。夕飯も豪華でしたけど、昼飯も楽しみでした。トンカツや牛丼など、何種類もあってその中から選べるんです。しかも、みな温かい。撮影はいいからメシだけでもまた食いたいですよ(笑)。

――カニのような宇宙人と戦うシーンがありました。宇宙人とのバトルシーンを体験されたご感想は?

とにかく疲れました。宇宙人との戦いなんて、やったことないですからね(笑)。カニ星人の中に入っている人が巧くて、スムーズに動いてくださったので助かりました。

――今回の映画のようにUFOに突撃するのと、普通のお宅の晩ごはんに突撃するのとでは、どちらが怖いですか。

それはもう、人間のほうがずっと怖いですよ。突撃訪問しても「ダメです」って断るのは人間のほうだから(笑)。

――『突撃!隣のUFO』はバカバカしいまでのギャグ描写とハートウォーミングなストーリーが融合した、痛快そのものの娯楽映画となりました。もしもまた、河崎監督から師匠に映画の出演依頼が来たら、どうされますか?

もう、セリフを間違えないかどうかドキドキしながら芝居するのは勘弁ですね。セリフを言わない役だったらいいですよ。ワンシーンとか、短い出番ならぜひ(笑)。最近は新型コロナのせいで世間に「笑い」が少なくなってきてますから、この映画をご覧になって思いっきり笑ってほしいと思います!


ヨネスケ 1948年4月15日生まれ。千葉県出身。落語家。1967年、四代目桂米丸に弟子入りし、「桂米助」として浅草演芸ホールでデビュー。1981年、真打昇進。1985年、日本テレビ『ルックルックこんにちは』の「突撃!隣の晩ごはん」コーナーで人気を博す。


秋田英夫(あきた・ひでお) 特撮作品の取材・解説などを書くフリーライターです。ヨネスケ師匠のインタビューは河崎実監督のお店「ルナベース」で行なわれました。師匠はちょっと照れくさそうにしつつも、初の特撮映画、初の主演作品を熱烈アピールしてくださいました。