神戸牛×トリュフなのに1000円でおつり?!
鳥羽シェフ×学生が挑戦する「GENKAI BUGER」

2022.01.22

「GENKAI BUGER」は原価でハンバーガーを提供する期間限定店。

未来のシェフを育成する、製菓・カフェ・調理の専門学校「レコールバンタン」の生徒が、ミシュランガイド東京で3年連続、星を獲得したレストラン「sio」のオーナー、鳥羽周作シェフ監修のもと、ハンバーガーショップ「GENKAI BUGER」を期間限定でオープンさせます。

参加した学生と鳥羽周作シェフ。

「レコールバンタン」では、将来、料理人として自分の店を持ちたいと夢を持った生徒たちが日々学んでいます。その教育の一環として、自分たちで作った料理を販売するという実習を行っていました。その中で、より実践につながる取り組みとして今回のオープンが決まったそうです。

気になるメニューですが、フードは「神戸牛“GENKAI”チーズハンバーバーガー」(990円)と「ポテト」(110円)のみ。このバーガーの原価はなんと981円、ポテトは108円が原価です。まさにこのバーガーが只者ではないこだわりを重ねた逸品。

まず、バンズは東京・新宿にある「蜂屋」の天然酵母バンズ。多くのグルメバーガー店が使っている知る人ぞ知る名店で、ここのバンズは酒種の天然酵母種を使っていて、苦味と少しの酸味があるのが特徴。

パティは最高級神戸牛100%。もはや説明不要の最高級ビーフの代名詞でもある神戸牛を惜しみなく使っていて、粗挽きにすることで食感もしっかり感じられ、肉を食べていると実感できます。ハンバーガーって肉料理なんだと再認識させられます。しっかり断面を焼いて香ばしくなったバンズや、野菜との組み合わせも抜群。

神戸牛100%のパティにトリュフやイタリア産チーズなどこだわりの具材。

そして、トップにはチベット産の黒トリュフが! この香り、神戸牛のパティともよく合います。というより、野菜やチーズ、ソースなど、全体のバランスを整えてくれているといっていい役割。トリュフの香りはしっかり感じつつ、ほかの食材の邪魔をしていません。

ほかにも、イタリア産パルミジャーノチーズとモッツァレラチーズをオリジナルブレンドしたり、赤ワインに3種の国産きのこを合わせた特製ソース、茨城のレンコンや有機セルバチコ、高知のブランド卵「土佐ジロー卵」など、こだわり抜いた食材を組み合わせています。

「クラフトコーラ」や「クラフトレモネード」、「クラフトジンジャーエール」(150円)などのドリンク類も、鳥羽シェフのお店で提供しているレシピを原価で味わえるようになっているのもポイント。

学生たちと鳥羽シェフの出会いが新しい化学変化を起こす。

このハンバーガー誕生は、鳥羽シェフとの出会いがスタート。「レコールバンタン」の細井信宏氏は、「コロナ禍で飲食業界は全体的に厳しい状況にあり、暗いニュースが続いていました。そんな中でSNSなどを通じて鳥羽シェフの活躍ぶり、元気に活動している様子を拝見し、今回の取り組みには鳥羽シェフ以外にはないと思い、オファーしました」。

これに対し「もう、二つ返事で引き受けました。料理人は、美味しいものを作って、たくさんの人に食べてもらいたい、喜んでもらいたいと思います。でも、ただ美味しいものを作る技術を身に着けるだけではダメなんです。それを提供する店を経営していかないと。そしてその店を続けていく経営手腕が必要。自分で店を持って、それを続けていくことがどういうことなのか、料理を提供してお金をもらうことがどういうことなのか、学生のうちに実践的に学ぶのはすごくいい機会だと思います」(鳥羽シェフ)。

「若き料理人の未来のためにやれることを」と鳥羽シェフ。

鳥羽シェフは、常々、料理人は料理だけをしていればいいわけではないと話しています。実際、ご自身もお店はもちろん、企業や飲食店とのコラボ・監修、SNS、テレビや雑誌など、多方面で活躍されています。これらはすべて「美味しいものを作って、たくさんの人に食べて欲しい」を続けるため。

「苦労するのが当たり前、長時間労働で薄給が当たり前だと、いくら夢であっても料理人を続けてはいけません。だからこそ、いろいろな可能性を探って料理人の価値を高めていかなければならないんです。そのためは、学生のうちから料理の技術だけでなく、実践に必要なことを学べる機会は貴重です」(鳥羽シェフ)。

今回のバーガーの“設計図”ともいえる具材の一覧。

今回の取り組みのスタートは鳥羽シェフの講義だったそうです。そこで、最初に学生に伝えたのは、鳥羽シェフが提供する「sioイムズ(ロジック)」の“5味+1”。これは、「5味(甘味、塩味、酸味、苦味、旨味)」に、+1として辛味や食感、香りが加わることで、立体的で奥行きがある料理になるという、鳥羽シェフの料理哲学。

この“5味+1”を最初に学生に話したことで、学生たちの考え方は大きく変わったそう。実際に今回参加した学生は、「自分たちのためになることを教えていただけました。これまで、“5味+1”という考え方は知らなかったので、驚きも大きかったのですが、それで改めてアイデアが出てきました」(坂野佑真さん)。

また、「“5味+1”を意識してハンバーガーの味を設計していく過程は、とても勉強になりました。また、何度も試食をしたのですが、鳥羽シェフがアドバイスしてくださって、それを実践すると問題点が解決され、味も全く美味しくなって、本当に感動しました」(安原亜実さん)。

ハンバーガーを入れるペーパーには、学生の夢が書かれています。

将来、自分のお店を持ちたいと思っている学生にとっては、「今回のハンバーガーをたくさんの人に食べてもらって、笑顔になって欲しい」という思いを、自分たちの目で見られるハンバーガーショップはかけがえのない機会のように思います。

ミニマムに“5味+1”を味わえます。

鳥羽シェフによれば、「ハンバーガーというメニューにしたのは、ファストフードのような手軽な食べ物でレストランの味を体験できるのがいい」と思ったからだそう。手軽で、幅広い層に受け入れられるメニューで、しっかりとレストランの味を出すことに意味があります。そして、食材を重ねて食べるスタイルは ミニマムに“5味+1”を味わえるからだといいます。

「“5味+1”の話をしたので、学生からのアイデアもとても広く出てきたと思います。普通にメニューを考えていただけではでなかった組み合わせや食材が、アイデアとして出てくるようになるだけでもすごいこと。美味しさの思考を理解し、味の設計図を作ることを学んでくれたと思います」(鳥羽シェフ)。

お客さんからに書いてもらう“フィードバックシート”

通常の飲食店では必要な人件費や店舗の賃料がかからないことから、期間限定ではありますが、原価でメニューを提供する「GENKAI BUGER」として営業します。

原価でハンバーガーを食べる代わりといっては何ですが、1オーダーごとに1枚、“フィードバックシート”を渡されます。ハンバーガーの味やサービスなど感想や意見、さらに、このバーガーが実際いくらの味だったかを書いてもらうという試みも行います。これが、すべて、未来の料理人である学生たちに届きます。

「レコールバンタン」では、今後も、未来のシェフを応援する仕組みを持つ“GENKAIシリーズ”を、ケーキやコーヒーなどいろいろな飲食分野で継続する予定だそうです。

「料理人が『たくさんの人に食べて欲しい、喜んで欲しいという』という思いはかけがえのないものですが、そのためにどうするか、美味しいものを届けるというのは商売として成り立たなければなりません。

実は料理の世界は離職率も高い。だからこそ、きちんと商売として成り立たせ、一人でも多くの若い料理人が夢を実現させ、継続させてくれたらと思います。そのために自分ができることは積極的に協力しますし、自分も学ぶことがあります」と鳥羽シェフ。

そんな料理人と未来の料理人の思いが詰まったスペシャルなバーガー。鳥羽シェフのいう“5味+1”を噛み締めながら、ぜひ味わってみてはいかがでしょうか。


GENKAI BUGER
場所:レコールバンタン東京レーヴ校舎
住所:東京都目黒区上目黒1-3-3
販売期間:1月22日(土)~3月27日(日)の土日のみ※2月12日(土)は休業
営業時間:11:00~17:00(LO16:30)
※イートイン、テイクアウト可
HP:https//www.lecole.jp/genkai/buger
※1月22日(土)、23日(日)はオープン記念で各日先着100名に無料配布。なくなり次第営業終了


  • 好奇心旺で、食べることが大好き。新商品や限定品にめっぽう弱く、ジャンルを問わず常に情報を集めてはトライ。地方の食材や調味料も発掘も楽しんでいます。また、北欧、特にフィンランドが大好きで、現地の蚤の市などではヴィンテージハントにハマっています。サウナも好きで週1~2回のサ活中で、フィンランドでは念願のサウナから湖へのダイブを体験。日々、美味しいものを求めながら、北欧雑貨とムーミンに囲まれて暮らしています。

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