あの情熱よ再び……
80’sのク•ル•マ

 齢40をとうに超えた筆者。歳をとると昔が懐かしくなるという。そもそも雑誌製作などに携わる人間として絶えず流行モノに敏感になるよう、ほうぼうアンテナを張り巡らせなくてはならないのだけれど、いつの間にか逆行してしまふ。
 しかし世の中レトロブームという言葉が生まれるようになると、逆にしっかりと流行を追いかけてるような気がしないでもない。レトロブーム、大きく分けると2つになるらしい。筆者より上の世代が往年を懐かしむ「昭和ノスタルジー」系とバブリーな時代を追い
かけるヴィンテージ•レトロ系がそれだ。大雑把に前者が昭和30年代後半から40年くらいまで、後者が昭和50年代後半から平成の前半までをさすようだ。特に1970年代生まれの筆者にとっては懐かしい=80、90年代である。
 1980年代といえば、モノマガジンでもお世話になっているファミリーマートが誕生(1981年)したり、任天堂の金字塔、ファミリーコンピューターが発売(1983年)されたりした年代。クルマは日本の自動車生産台数が世界第1位を記録(1980年)し、世界有数の自動車大国に。当然クルマが増えれば事故も増えるわけで、今でこそあたり前に締めているシートベルト。この着用が原則義務化(1985年)したのもこの頃。
 そんな80年代のクルマを独断と偏見で振り返るのが今回の主旨なのだ。今でこそ消費者に訴える主な性能は燃費やエコカー減税などになってしまったが、80年代は多くの自動車メーカーがイケイケ(死語)だった。また、最近では少なくなってきた感もある没個性的といわれたクルマも独自色豊か。ようは何かひとつでも分かりやすい突出した魅力を持っていた。例えばデザインがなんじゃこりゃあ、的な個性もあり、いやいや我が輩のクルマはエンジンパワー命の直線番長でも若者から支持されていたのだ。

 トヨタの80年代を代表するモデルの筆頭として挙げたいのはクラウンでもなければカローラでもない。やはりソアラだろう。

国内専用の高級クーペとして初代が81年にデビュー。ここで登場するのはそれをキープコンセプトした86年登場の2代目。高級を売りにするだけあり、フロントグリルに輝くエンブレムは伝統工芸品の七宝。世界初採用の真珠の輝きを表現したクリスタルパールマイカのボディカラーを採用。先代同様のデジタルメーターを進化させたスペースビジョンメーター(半透過式鏡の反射方式を採用)、フラッグシップモデルの6インチカラーディスプレイ、トヨタエレクトロマルチビジョンなど装備の面でも最先端であった。エンジンは2リッターと3リッターターボが用意され3リッターモデルは当時最強の230PS、足回りには電子制御のエアサスを奢るなど高級車にふさわしいモノ。またマニア的視点ならば89年発売のエアロキャビンはおさえておきたい。それは電動格納式のルーフとリアウィンドウを装備する2シーター。

 続いてはそれまでの北米向けだったセリカXXから一転、日本で初めてスープラのネーミングをつけたA70型。 

 ソアラの高級志向に対してコチラはスポーツ志向。2リッター、2.5リッター、3リッターと豊富なエンジンバリエーションを誇った。空気抵抗がウンヌンといってもリトラクタブルヘッドライトは今見てもカッコイイ。 

80年代のトヨタを代表する真打ちとも言うべきモデルにあがるであろうクルマは、AE86の呼び名の方が親しまれるカローラレビン/スプリンタートレノだ。

「頭文字D」など漫画などの影響もあり今でも人気の1台。2ドアセダンと3ドアハッチバックが設定され、エアコンやオーディオなど充実装備が人気。軽い車重と素直な操舵性など走り屋御用達。

次にテストに出そうなトヨタのクルマといえばなんといっても5代目マークIIだ。

この世代からコロナのサブネームが完全になくなった。6種類の豊富なエンジンバリエーションの頂点には国産初のツインカムツインターボエンジン搭載のグレードが 用意された。赤いベロア調の内装など銀座のクラブ調といわれた内装は今見てもお金かけて作ったなぁと感じること間違い無し。バブル経済前夜ということもあってか19万台以上のセールスを記録。

 次は初代MR2。

なんといっても日本初のミッドシップレイアウトの2シーターは当時の話題を独占したといっても過言でないはず。パワーユニットは1.5リッターと1.6リッターの直4。後者には途中からスーパーチャジャー付きも加わった。
 80年代のトリを努めるのはこのクルマしかない。そう、初代セルシオだ。

海外向け高級ブランド、レクサスのフラッグシップにして国内ではセンチュリーのすぐ下に位置するドライバーズカーとしても人気を誇った。ドアの開閉音にまでこだわったボディは当時世界一とうたわれた静粛性に貢献。

つづく。

海野大介(daisuke unno)
  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。