【宙翔ける広報】商品を売る前に自分を売れ! ACE・ジョニー物語 其の2

日本を代表するカバンメーカーのひとつ、ACE(エース)の名物広報”ジョニーさん”こと、難波敏史さん。自ら”ジョニー”という通称をつけた背景にある企業広報担当者としての覚悟とは!?

ACE・ジョニー物語 其の2

mono:ジョニーさんの由来がJohnny Deppさんとは意外でしたけど、なぜ通称をつけようとしたのですか?

ジョニー:最初に広報の仕事をやるとなった際、当時のある大手広告代理店の部長さんから「広報としてまず、自分の会社の商品を売る前に自分を売りなさい」と言われたんです。「自分が売れたら、必然的に商品の露出はついてくるよ」と。「その代わりカラダを壊すかもしれない。が、あなたのカラダが壊れた時にエースの露出は高まっている」と。どういう意味ですか?って聞いたんですよ、シンプルに意味が分からなかったから。そしたら、「いやね、君たちはね、マスコミの人とね、昼と夜が逆転しているようなものでしょ。当然、夜のお付き合いもしなきゃならない。そこで、一緒にお酒を飲んだりして、お互いフレンドリーな関係になってというのが結構大切だよ」と。今から17、8年前ぐらいの話ですから全然アリアリでしょ。

ACE・ジョニー物語 其の2

mono:要は自分が売れなければモノの露出は拡大できないと?

ジョニー:そう、まず自分を売りなさいと言われたの。当時は営業からきたばかりだから当然、派手な格好もしていないし、ファッションも普通の感じ。パンツも今みたいに白ではなくてグレーのスラックスで、足元もスニーカーではなくちゃんと革靴を履いていて……。どうしたらいいかと思ってまずやったのが、最初に新しいメガネ買う時に色の付いたレンズに。服もカジュアルにして、髪の毛の色も染めたかな。見てくれの部分から入ろうと思ったわけ。当時、いないよね、うちの社内にそういう人。ウイングチップの茶色い革靴履いて、そこにパンツはデニムでストライプのシャツを着てジャケット羽織る。上司に「難波、そんな格好でいいのか?」と言われたこともあったけど、笑ってごまかしてね。それがだんだん当たり前になってきて、足元も白いスニーカーを履いたりとか。今じゃ、全然普通だけど。

mono:ご自身のことをよく異端児だと言いますが、組織全体を俯瞰で見ながら新しい方向へと導いている気もしますね。

ジョニー:大学生の時に百貨店のバイトをしていたんですよ。ハンドバッグ売り場で販売もやったし、バックヤードのセンターでの返品とか、モノの流れを全部見られるような。そういうのも多少はあるのかも。当時、その百貨店に納品されていた真っ白に赤いACEのマークが入ったパッキンが目立っていたんですよね。就職活動であちこち受けましたが、最終的に父親から「ACEさんは創業者が1代で築かれて社員もしっかりしているいい会社だと思う」と言われたのが入社の決め手になりました。

ACE・ジョニー物語 其の2

mono:ACEに入って良かったことは?

ジョニー:いい先輩、いい同期に恵まれたことですね。1988年入社ですが、いまだに社内でも一番仲の良い同期がいて、これまでお互い切磋琢磨してきました。もちろん、憎いとかじゃなくて、2人とも体育会系だから1点差でも勝ちは勝ちとか。お互いスポーツマンだから自分の中では絶対負けたくないっていう気持ちだけでやっている。あと、今の社長※がサブマネージャーだった時に直接の上司部下の関係で仕事していろんなこと教えてもらって今に繋がっていることはたくさんありますね。

※エース代表取締役社長の森下宏明氏

mono:当時のエピソードを教えてください!

ジョニー:当時の現社長を見ていたら、やること全てが先の先を見ているんですよね。常に考えていて、泉のようにいろんな発想が出てくる。調子悪いからジッとしてようかというタイプではないですよね。何からしらアクションを起こしてやってダメなら次のアクションとか。できるできないではなく、どうしたらできるかを考えるという感じでしたね。

mono:仕事をする上で一番大切なことは何ですか?

ジョニー:愛ですね。いつも部下にも言っていますけど。愛とは何か? それは商品に対する愛情、それから会社に対する愛情が一番ですよね。会社が好きではないと仕事ってできないじゃないですか。あとは一緒に仕事をしている仲間への愛情。これがなかったら仕事は務まりません。とくに僕らの仕事は。ロイヤリティの塊って言われてもいいぐらい、愛情持ってやらないとダメ。これは会社の教えでもありますし、当時、現社長と仕事を一緒にしている時に、「みんなでもっといい会社にしような」とよく現社長が言っていたんですよ。一人ひとりがそういう気持ちを持ってやれば、会社も生活環境ももっともっと良くなっていく、ということだったと思うんですよね。     其の3へ続く

ACE・ジョニー物語 其の2
  • 80’sをこよなく愛するグラサン男。モノづくりやライフスタイルに強いこだわりを持つ人々の熱血応援サポーター。みなさんの熱いハートと想いを写真と文でほどよくゆるくお届けします!

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